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中島 美知子 院長の独自取材記事

中島医院

(清瀬市/清瀬駅)

最終更新日:2019/08/28

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西武池袋線清瀬駅から徒歩3分の「中島医院」。中島美知子院長は、がんの痛みにオピオイドを導入したパイオニア的存在の医師。外来診療に加え24時間365日体制で在宅医療も行う。幅広い疾患に対応すべく各分野専門の医師をそろえ、チーム医療を実践。中島院長は、症状の対象部位のみを診るのではなく、患者の内面的な悩みにも眼差しを向けた緩和ケアを得意とする医師。心療内科医、ナース、ケアマネジャーや夫の中島修平病院付き牧師らとともに、全人的な癒やしをめざす診療スタイルが特徴だ。患者の身体と心と魂の癒やしをめざす中島院長に、緩和ケアへの取り組みや患者とのエピソードを聞いた。
(取材日2018年8月20日)

外来診療、在宅医療の2軸を1本化した診療が特徴

在宅医療を行っていると聞きましたが、まずは現在の診療体制についてお聞かせください。

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当院には私をはじめ総合内科、心療内科、がん、糖尿病内科、緩和ケア内科と各専門分野に長けている医師が5人在籍しています。看護師やケアマネジャーなどを含めるとスタッフは計39人です。この体制で24時間365日、在宅で日頃の治療・介護から自宅での看取りまで随時20数人の末期がんの患者さんを診ています。その他に認知症や生活習慣病、後遺症、難病など慢性疾患の在宅の方が50~60人ほどいらっしゃいますね。外来診療と在宅医療は2つで1つだと私は考えております。この診療スタイルは開院時から現在まで変わりません。外来では地域の窓口として患者さんを迎え入れ、自力での通院が難しい方に在宅医療を提供しています。

患者さんへの切れ目のない支援に重きを置いているのですね。

そうです。常にスタッフの誰かが出動できるよう待機しています。在宅総合医療や在宅ホスピス緩和医療を提供するクリニックとして、全国的に見ても先駆的に在宅医療での末期がん治療を行ってきました。訪問診療では、医療と介護の両面からアプローチをしている点も特徴です。私は難病指定医の資格を持ち、開院当初から多職種連携に注力しており、介護保険が始まったと同時にケアマネジャーの資格を取得しました。長年の在宅医療の経験を生かし、地元である清瀬市の介護認定審査会委員として18年間、現在は会長を務めています。また市の高齢者保健福祉計画事業策定委員を務めたこともありました。現在では強化型在宅療養支援診療所、在宅緩和ケア充実診療所として、クリニックの機能や体制を拡充しています。

中でも緩和ケアに力を入れているそうですね。

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緩和ケアに関心を持ったのは研修医1年目の頃です。当時日本ではがんの痛みを軽減する治療がほとんど行われておらず、目の前で激痛を訴える患者さんを救うことができませんでした。この時、がんの痛みを減らすことが私の使命に思えたのです。現在の国立病院機構東京病院の勤務医時代に、経口モルヒネの定時投与が、がんの痛みを取り除くことを医学会で発表し、厚労省から研究費を受け、多くの病院から処方の問い合わせをいただきました。その後この治療法が全国的に広がり今日に至っています。さらに南カリフォルニア大学やUCLAに留学し、帰国後はホスピス医療の普及に注力しました。各地で緩和ケア病棟の設立に携わり、救世軍清瀬病院の初代ホスピス長を経験した後、当院を開院するに至ります。数多くのオピオイド系鎮痛薬等を使いこなして苦痛緩和に貢献し、ご遺族の方にとっても満足のいく在宅看取りをしていると自負しています。

患者の心と向き合い、内に抱える悩みも解消する

診療時にはどんなことを心がけていますか?

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患者さんを総合的に診ることですね。身近な総合診療のことをプライマリケアと言いますが、私は医師にプライマリケアを教える活動もしています。腰が痛い、胸が苦しいなど、患者さんの多くは複数の悩みを抱えておられ、幅広くお応えするよう心がけています。心の奥にあるものが苦しめていないかということにも心を配ります。人間関係や死への恐怖など、精神的な問題が身体症状として現れているケースは実際に存在します。なかなか改善しなかった慢性疼痛が、心にも触れた診療で劇的に改善した患者さんもいらっしゃいます。通常の治療によって症状が改善する場合ももちろんありますが、それだけでは限界があるのも事実です。私が大切にしている新約聖書の言葉「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい」を胸に診療を行っています。

身体と心を診るようになったのは、何かきっかけがあるのですか?

数年間痛みで苦しんだ頑固な痛みが、劇的に改善したケースを経験しました。その方は骨肉腫で片脚を付け根から切除しており、ない足に猛烈な痛みを感じる幻肢痛に悩んでいました。対処法を模索していた最中、患者さんから夢の話を聞いたんです。その方は失った足を探してさまよう夢を見ていましたが、自分が眠るベッドの周りでシスターのような人たちが踊る夢を見たときは、足の痛みがなかったとのことでした。このお話を聞き、病院付き牧師や私との会話の時間を増やしました。牧師が「“ない足さん”を一足先に天国にお預けしましょう。天国に行く日が来た時に、“ない足さん”とあなたは一緒になれますよ」と語りかけた時、本人もご家族も「これが本当に一足先だわ」と、患者さんもみんな明るく笑い、その後痛みがほとんど消えました。車いすでの外出や歌を楽しむほど症状が改善し、本人もご家族も驚いていらっしゃいましたね。

心が救われると、不思議なことが起こるんですね。

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人間が重い病気をしたり、死に直面した際に、スピリチュアル、いわゆる魂のニーズを自覚するといいます。昨今、スピリチュアル・ケアが医療界ではトレンドとなっている一方で、その方法はいまだに模索中です。当院にはチャプレンと呼ばれる病院付き牧師がおり、全人医療に大きく寄与しています。高いスキルとノウハウが蓄積されているため研修も可能です。当院では音楽療法を取り入れ、患者さんやご家族や、ご遺族の心を癒やすイベントとして、プロの音楽家たちと一緒に毎月音楽会を開いたり、クリスマスや春の復活祭などを開催しています。音楽で癒やされる方は多く、音楽会は今年の10月で233回を数えます。

患者にとっての幸せと、自分たちにできることを考える

先生はなぜ医師を志されたのですか?

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私は愛知県に生まれ育ち、父は経営者で親族に医師はいなかったのですが、その父から勧められたことがきっかけです。私は理系だったので、高校3年時に進路を考えるにあたり、理学部や薬学部に進んでいる自分をイメージしました。しかしどれもしっくり来ませんでした。そんな時に父から「医学部はどう?」と聞かれ、生涯にわたって打ち込める仕事をしたかった私はすぐに「それにする!」と答えました。父は戦地から帰ってまもなく重い結核を患い、自宅療養をしていたことがあるのですが、その時に近くの開業医に相談して悩みを訴えたところ一冊の聖書を渡されたそうです。その医師との出会いが人生を考えるきっかけになり、医師に対しては特別な思いがあったようでした。

今後の展望をお聞かせください。

今後ますますニーズの高まる日本の在宅医療の一端を担う地域包括ケアの中核的存在として、専門的な医療連携を深めながら、より一層磨きをかけて前進していきたいです。当院の同じ理念と使命をもつ後継者たちも育ってきており、力強く感じています。チーム医療を行う当院はフットワークが軽いのが強みで、即日紹介・即日受け入れにもご相談に応じています。特に末期がんは時間との勝負です。住み慣れた自宅で最期を迎えたいという方は、ぜひ早めに相談にいらしてください。

最後に、改めて読者にメッセージをお願いします。

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医師になって今日に至るまで貴い仕事に携わっているという気持ちは常に変わりません。生きることとは何か、死ぬこととは何かを常に考えられることに感謝し、医師になって良かったと思っています。当院は「かかりつけ医」として、患者さんとご家族の長期的で包括的な健康管理や治療をサポートしています。当院が運営する「こもれび居宅介護支援事業所」や「デイサービス愛といやしの家」など介護の協力も必須です。さまざまな疾患や介護ニーズに対して、かかりつけ医として、患者さんやご家族とご一緒に歩んでまいります。目の前の患者さんの幸せを一番に考え、身体と心と魂を癒やすことのできるクリニックとして、これからも力を尽くしていきたいです。ご遠慮なくご相談にいらしてくださいね。

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