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廣部 誠一 病院長の独自取材記事

東京都立小児総合医療センター

(府中市/西国分寺駅)

最終更新日:2020/06/05

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西国分寺駅や府中駅からバス便のある「東京都立小児総合医療センター」。ガラスの開口部が広く取られ、光が差し込む明るい院内は、木製のオブジェやうさぎ、ウリ坊、ムササビなど、子どもが喜びそうなパステルカラーのイラストで壁も彩られている。カフェやレストランスペースも多く取られ、キッズルームやファミリールーム、患者家族用の宿泊施設なども用意されている。診療面では、多摩地区の小児医療拠点として、また重症度の高い状況に対しては全国からの受け入れも可能な救命救急施設として運営されているのが特徴。舵取りを担うのは、2018年4月に病院長に就任した廣部誠一先生だ。地域の医療施設との連携の深化、周産期診療と連携した新生児治療、「多摩総合医療センター」と連携した思春期と若年成人(AYA)世代のがんに対する治療、病気と闘う患児に寄り添うファシリティドッグの導入など、現代社会に求められる医療に積極的に取り組む廣部病院長に話を聞いた。
(取材日2020年3月26日)

成人への移行期まで、心と体の健康を支える

まず、病院の特徴を教えてください。

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当センターは、2010年に清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ヶ丘病院の精神科、府中病院小児科が移転統合し、多摩メディカルキャンパスの地に開設されました。以来「子どもの成長とともに歩む医療の提供」「こころとからだを統合した医療の提供」「東京都における小児医療の拠点」「子ども中心の医療の提供」「社会とともに創る医療の提供」の5つの理念に基づき運営しています。病院内は武蔵野の森をイメージして「空・森・丘の〇番地」と病棟を示し、手術室にもおもちゃを配するなど、リラックスできる環境にしています。私自身は、清瀬小児病院に小児外科医師として着任してから、チームワークとチャレンジ精神で患者さんに寄り添ってきました。病院長に就任した2018年には「都立病院新改革実行プラン2018」が策定されたところで、以来、これまで以上に小児医療における高度専門化や重症救急に対応するために院内外の連携を強化してきました。

小児に関わる診療科はほぼ網羅されていますね。

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専門の外来は地域の病院、開業医から紹介された方を完全予約制で診療しています。一方、救急の外来は北米型ERのスタイルで紹介状なしでもよく、トリアージで緊急度を判定して救命救急部門と総合診療部門で対応しています。例えば気管狭窄など、呼吸が不安定で一般の救急車では搬送できないお子さんに対しても、緊急度に応じて人工肺を使って搬送できるのは当院の特徴です。病状や地域によって、ドクターカーやドクターヘリと、飛行機や新幹線での移動を組み合わせての対応も行っており、北海道や九州、香港からの受け入れ例もあります。また隣接する多摩総合医療センターと連携して、緊急救命処置が必要な妊産婦を必ず受け入れ、胎児期や出産に際しても早期に対応できる体制を整えており、地域の分娩のできる産科医療機関とも連携を深めています。出生前診断やカウンセリングにも力を入れ、適切な母体・胎児管理から出産後の新生児治療にも注力しています。

「こころとからだを統合した医療」も大きな特徴ですね。

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561床という大規模な病床の中に、202もの精神科病床を有しており、性別・年齢別・症状別に7つの病棟で入院治療を行っています。神経病院や府中療育センターが近接しているため、成長に伴い、移行していく体制がとりやすいのも特徴といえるでしょう。近年は、学童期や思春期にも家庭や学校、地域社会におけるさまざまな人との関わりの中で、心の症例も低年齢化や重症化が顕著に見られるようになっています。また、体の治療過程で心のケアが必要になったり、その逆のニーズも少なくないことから、両方にしっかり対処できる当院の役割は大きいと考えています。外来・入院とも臨床心理士や精神保健福祉士を含む、心の専門家であるリエゾンチームが早期から介入し、適切にお子さんや親御さんたちに対応しています。また、病気と闘う子どもたちに寄り添うファシリティドッグを導入するなど、医療環境の向上にも取り組んでいます。

地域連携や一般市民への情報提供について教えてください。

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地域の開業医や病院の先生方とは定期的に医療連携会議を持ち、当院の専門的医療や救急医療の体制をご理解いただける機会としています。また、退院後も医療的なケアを必要とする患者さんに対する地域支援体制を整えるためにも、地域の医療機関や福祉施設、行政との退院支援カンファレンスを積極的に行い、関係機関との調整を含めた在宅移行および療育支援の体制づくりにも力を入れています。一般の方々向けには、市民公開講座などで育児中に悩まれることの多い異物誤飲や、鼠径ヘルニア・臍ヘルニアなどをテーマとしてお話もしています。救急救命科としても、誤飲事故などの再発防止を含め、親御さんに気をつけていただきたいことや万一の際の対処法など、啓発活動を行っています。緊急時には、北米型ERというオープンなスタイルで重症度に応じて適切に対応していますので、特に多摩地域のご家族には、ぜひ頼っていただきたいですね。

今後の展望をお聞かせください。

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当院では、胎児期、出生から小児、思春期、成人期へと子どもの成長とともに継続的な医療を提供しています。中でも慢性の特定疾患や難病、各種のがんなどについては思春期以降もこまやかな対応が望まれます。そこでAYA世代といわれる思春期から若年成人を念頭に、多摩総合医療センターとも連携し、専用病棟や環境づくりの強化を考えています。図書コーナーや自習室、卓球などができるプレイルームなど、世代に応じた生活空間も視野に入れた病棟設備が必要と考えています。もちろん、就学・就労・自立・心理・福祉的課題に対する支援体制の整備とともに、AYA世代の患者さんの一般病院へのスムーズな移行も進めていきます。また病院スタッフに対しても働きやすい環境を整えて、全員がチームワーク良く、笑顔のあふれる病院をめざして取り組んでいきます。患者さんやご家族に、これからも安心して受診していただける医療を提供したいと思っています。

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