清川 重人 院長、清川 博史 副院長の独自取材記事
富士森内科クリニック
(八王子市/西八王子駅)
最終更新日:2025/08/29

JR中央本線・西八王子駅南口から徒歩約12分。武蔵野の面影を残す郊外の住宅街にある「富士森内科クリニック」は、清川重人院長が1988年に開業。以来、30年以上にわたり幅広い診療で地域の健康を守ってきた。かかりつけ医としての役割を担うと同時に専門的なリウマチ治療に取り組んでいる。一方、この春、新たに副院長に就任した息子の清川博史先生は、大学病院で消化器内視鏡検査や手術の研鑽を積んできたスペシャリスト。患者にとってより身近なクリニックで「日本人の死因ランキングでも常に上位の胃がん・大腸がんの早期発見に力を入れていきたい」と意気込む。快活な重人院長と温厚な博史副院長のやりとりに心和む患者も多いだろう。アットホームな雰囲気の院内で、両ドクターに診療にかける思いなどを語ってもらった。
(取材日2025年4月1日)
父と息子で脈々と八王子エリアの健康を守り続ける
重人院長はどのような経緯でこの場所に開業したのですか?

【重人院長】大学病院に勤務していた頃、週1回は都内の胃腸クリニックにアルバイトで通っていました。そのクリニックは、当時では珍しくCT、MRI、胃・大腸内視鏡、超音波などの検査設備・機器を備えた地域に根づいた診療スタイルで多くの患者さんの来院がありました。その姿を見て、私も開業したいという気持ちが芽生えてきたんです。開業にあたっては、ビルの一室ではなく一戸建ての医院に自分も住んで診療も行う地域密着型でありながら、多くの検査設備・機器を導入しようと考えました。立地を心配する声もありましたが、当時はあまりなかった診療スタイルだったので絶対に患者さんのニーズはあると信じ、この場所で1988年3月に開業しました。
博史先生が副院長に就任した経緯をお聞かせいただけますか?
【博史副院長】大学卒業後は聖マリアンナ医科大学の消化器内科に15年間勤務し、数多くの内視鏡検査と手術に携わってきました。得意としていたのは胃がんや大腸がんに対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)や内視鏡的粘膜切除術(EMR)です。日本人の死因ランキングでも常に上位の胃がん・大腸がんですが、内視鏡検査でポリープなどを早期に見つけ切除できれば予防につなげられますし、たとえがんが見つかっても早期ならば内視鏡下での手術が可能なんですね。ここ10年ほどは大学病院と並行して当院も週に1回のペースで手伝ってきたのですが、地域の方々も早期発見・早期治療で救いたいという思いから、副院長の就任を決意しました。患者さんに親身になって寄り添っていければと思っています。
博史副院長はこの場所で育ったのですね。

【博史副院長】はい。改装前は2階が住居でした。家族で食卓を囲んでいた場所が今では生体情報モニターなどを備えた大学病院にも劣らない内視鏡検査室となっているので、感慨深いですね。
【重人院長】八王子駅前にある分院長を務めている長男に続き、新たに当院の診療に加わってくれたことを心強く思っています。もともとわが家のルーツは台湾で、現地の医師であった祖父は1954年に開校した高雄医学院(現・高雄医学大学)の設立に関わった医師の一人でした。父は留学した慶應義塾大学医学部で学んだ後、そのまま大学病院で医師として働く中で母と結婚して日本に帰化。父が八王子市三崎町に内科医院を開業して以来、地域医療のともしびを今も絶やさず、息子たちと守り続けています。
地域医療のために中核医療機関との理想的な病診連携
クリニックの特色について教えてください。

【重人院長】当院の特色は、一般的なかかりつけ医療と同時に、リウマチと消化器に関する専門的な診療を行っている点です。私は勤務医として消化器を中心とした治療に携わりながら、大学院進学時の担当教員に勧められたリウマチ学の研究を続けて博士号を取得しました。大学での研究経験を生かしたリウマチ、新人だった頃から臨床を続けてきた消化器。この2つに関しては専門的な治療ができるのは大きな強みと自負しています。また、当院で行っているCTやエコー検査は、大学病院時代に意気投合した診療放射線技師の友人が統括しています。後進の育成にもあたっていたスペシャリストが検査を担当しているというのも、当院が自慢できるところです。
一般的な内科診療のほか、どのような専門的治療が受けられますか?
【重人院長】一つは私が専門としてきたリウマチの治療です。抗リウマチ生物学的製剤の登場によりリウマチは寛解や治癒がめざせる病気となりました。当院は八王子市内でも数少ない抗リウマチ生物学的製剤を扱える医院の一つ。副作用に細心の注意が必要な薬剤ですが、私、長男、大学病院のリウマチ科の先生方など、複数の日本リウマチ学会リウマチ専門医が治療にあたっているのでご安心ください。
【博史副院長】当院のもう一つの特徴は、消化器内視鏡検査です。こちらも、私、みなみ野の分院長、大学病院の先生方を含め復数の日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医が担当しています。みなみ野の分院長は女性医師なので、男性医師に抵抗がある患者さんもご相談ください。
近隣の中核的な医療機関との連携体制はどのようになっているのですか?

【重人院長】当院での検査を通じてがんなどが発見された場合、地域の中核医療機関である東海大学医学部付属八王子病院や東京医科大学八王子医療センターなどに患者さんを紹介しています。逆に大規模病院から患者さんを当院に戻してもらうケースも多いですね。例えば、早期がんの場合、手術で腫瘍を摘出できたら治療は終了し、後は半年や1年に1度の定期検査を受けるだけで済みます。そこで、私たちのように検査設備を備えた地域のクリニックに患者さんを戻しているのです。まさに理想的な病診連携ができているといえるのではないでしょうか。
【博史副院長】私が現在も週に1日外来を続けている聖マリアンナ医科大学病院へもスムーズに紹介できます。いざ手術となったとき、私が治療チームに入ることもできるのでご安心ください。
患者の笑顔を守るため、さらなる検査設備の充実に意欲
時間外の電話受付、在宅医療など、地域医療にも力を入れているとか。

【重人院長】当院では、夜間・休日など休診時の患者さんからの電話が、私のスマートフォンへ転送される電話相談サービスを採用。大変ではありますが「いつでも医療につながれる」と患者さんに安心を届ける、地域医療サービスの一環として実施しています。一方、当地で長年診てきた患者さんの高齢化も進み、脳梗塞を起こしたり、腰が痛くて動けなくなったりといった問題も急増中です。これまで通院していた方限定ではありますが、月1回の訪問診療を行っています。そのほか、無料送迎バス2台を運用、1台は3院や各駅を循環し、もう1台は希望があればご自宅までの送迎などに使用しています。
医師としての目標や、やりがいについて教えてください。
【博史副院長】たとえがんになっても「早期の発見だったため、内視鏡の治療だけで済み、臓器を温存できた」という患者さんを一人でも多く増やすことが、医師としての目標であり、大きなやりがいとなっています。早期発見・早期治療につなげ、一つでも多くの命を守りたいです。
【重人院長】やはり、患者さんから感謝の言葉をいただく瞬間は医師冥利に尽きます。ただ、がんが見つかって手術を行っても、進行がんで間に合わなかったというケースもないわけではありません。そういった事態を招かないためには、患者さんに定期的に検査を受けていただくことが大事です。患者さんが「また受けよう」となるよう、できるだけ苦痛のない検査を追求していきたいと思っています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

【重人院長】さらに利便性の良い場所へ分院を出したいと考えています。やはりリウマチの患者さんは足が悪い人が多いので、駅に近いほうが通院にストレスがないですからね。また、現在のCTやエコーのほかにも検査機器を拡充し、定期健診や人間ドックにも対応していきたいです。
【博史副院長】当院はリウマチや消化器が得意分野ですが、内科クリニックとしてあらゆる相談に応じています。何科に相談したらいいかわからない症状でも、話を聞いてほしいというだけでも構いません。何よりも大事にしているのは患者さんの笑顔です。「この病院に来て良かった」と思っていただけるよう、スタッフともども力を合わせていきますので、気軽にお立ち寄りください。
自由診療費用の目安
自由診療とは人間ドック/2万8000円~