大熊 昭晴 院長の独自取材記事
大熊内科クリニック
(八王子市/西八王子駅)
最終更新日:2026/08/12
西八王子駅から徒歩1分、ビルの3階にある「大熊内科クリニック」。院長の大熊昭晴先生は日本呼吸器学会呼吸器専門医として、開業から四半世紀以上にわたり地域の呼吸器医療を支えてきた。現在は呼吸器・循環器・小児科それぞれを専門とする子どもたちが加わり、家族4人の医師体制で幅広い疾患に対応。眼科が隣接する利便性も生かしながら、院内で検査から治療まで完結できる環境を整えている。物静かで穏やかな語り口の中に、「家に帰ってからの本人の自覚が一番大事」と、診察室の外にまで目を配る確かな信念がにじむ。地域で呼吸器を専門とする医師が少ない中で医療を届け続けてきた大熊院長に、診療へのこだわりや家族の力を生かした診療体制、今後の展望を聞いた。
(取材日2026年8月1日)
専門性をもつ家族の医師がそろう、院内完結の診療体制
まずは、先生がこちらで開業されるまでの経緯を教えてください。

大学の医学部で呼吸器を専攻し、卒業後は埼玉県の病院で呼吸器領域の医長として臨床経験を積みました。その後、埼玉の父の医院や八王子の妻の実家の医院を手伝いながら、複数の医療機関を巡った時期もあります。そうした経験を経て、1998年にこの場所で開業し、気がつけばもう長い年月がたちました。呼吸器を専門に選んだのは、大学時代の先輩の導きに加え、八王子エリアでは呼吸器専門の医師がまだまだ足りていないと感じたことが大きいですね。だからこそ、地域の方の呼吸器のお悩みに専門的な知識でお応えすることが自分の果たすべき役割だと考え、ずっとこの場所で診療を続けてきました。
幅広い診療科を標榜されていますが、どのような体制で診療を行っているのですか。
当院では現在、家族それぞれが専門分野を生かして診療にあたっています。日本呼吸器学会呼吸器専門医である三女がほぼ常勤で私と一緒に呼吸器の患者さんを診療し、循環器内科と総合内科を専門とする次女は毎週土曜日に診療を担当しています。長男は小児科を専門とし週に1回来院し、ワクチン接種にも対応しています。ほぼ毎日2人体制なので、患者さんの待ち時間を短くしつつ、お一人お一人に余裕を持った説明ができるのは大きな利点ですね。以前は循環器の疾患が見つかると大きな病院にご紹介するしかなかったのですが、今は心不全や心房細動なども院内で対応できるようになりました。私自身も娘たちから新しい知識を教わることが刺激になり、それが患者さんにも還元されていると感じています。
同じフロアに眼科が隣接していると伺いましたが、連携されることもあるのですか?

お隣の眼科クリニックと待合室も共有して、連携しています。特に糖尿病の方は、内科での血糖管理と眼科での網膜症のチェックを定期的に行う必要がありますので、日常的に患者さんを紹介し合っています。逆に、眼科を受診されたことがきっかけで糖尿病が見つかるケースもあるんですよ。やはりご高齢の方にとって、内科と眼科が隣り合っているのは通院のご負担を軽くする大きなメリットだと思います。また当院では上部消化管の内視鏡や腹部超音波、甲状腺の検査に加え、心臓や頸部の超音波検査なども行える体制を整えています。幅広い検査を院内で完結できるのは強みの一つです。
呼吸器専門医として、自宅での生活まで見据えた診療を
呼吸器内科では、どのような疾患の診療に力を入れられていますか?

呼吸器専門医として、気管支喘息やCOPDといった慢性の呼吸器疾患をはじめ、睡眠時無呼吸症候群、間質性肺炎、非結核性抗酸菌症など幅広い疾患に対応しています。一般内科としても高血圧症や脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病の患者さんが多くいらっしゃいますね。呼吸器の治療では吸入ステロイドや気管支拡張剤など吸入薬が非常に多いので、一つ一つの薬について正しい吸い方を丁寧に指導することに力を入れています。喘息の方は症状が落ち着くとつい薬をやめてしまうことが少なくありません、しかし、自己判断で中断すると再び悪化してしまうこともあるため、安心して治療を続けられるよう継続的にサポートしていくことが私たちの大切な役割だと考えています。
慢性的な呼吸器疾患の患者さんへは、どのようなフォローに努められていますか?
やはり一番大事なのは、患者さんが家に帰ってからだと思っています。治療は来院された時だけでは完結しないことが多いので、自宅での薬の管理や過ごし方を十分にご説明する必要があります。睡眠時無呼吸症候群でCPAPをお使いの方には、インターネットを通じた使用データを毎月確認し、外来で一緒にお話しするようにしています。具合の悪い方にはこちらからお電話もしますし、重症のCOPDで在宅酸素が必要な方には訪問看護と連携してフォローしています。私が研修医の頃はまだ吸入ステロイドが普及していなかったので、重い喘息発作に向き合う場面も少なくありませんでした。あの経験があるからこそ、今ご自宅できちんと薬を続けて使うことの大切さを、つくづく実感しています。
咳がなかなか治まらないときは、どのように対処すれば良いのでしょうか。

耳鼻咽喉科や一般の内科でなかなか咳が治まらない方が来てくださることは少なくありません。そうした方を詳しく検査してみると、喘息の可能性が高いとわかったり、慢性的な感染症が隠れていたりすることが考えられます。当院では呼気中のNO(一酸化窒素)を測定する検査を行うことで、気道の炎症の程度から喘息の診断に役立てています。咳の原因をきちんと見極めることが、適切な治療につながります。原因によって治療法は大きく変わるため、呼吸器専門医として丁寧な診断を心がけています。また、専門的な検査や新しい治療薬が必要になることもあります。咳がなかなか治らないときや、普段とは違う症状が気になるときは、お気軽にご相談ください。
小さかった子が大人に。長年の信頼と新たな展望
長年地域の患者さんを見てこられた中で、印象深いエピソードはありますか。

小さい頃を知っている患者さんが社会人になっていることが何度もありました。体の大きさの違いに感慨深くなることもしばしばです。一方で、患者さんから「あんなに小さかったのに、こんなに大きくなったのね」と声をかけていただくこともあります。娘たちも幼い頃からこのクリニックで患者さんに温かく見守られてきましたので、今は一緒に診療に携わっていることに驚かれる方も少なくありません。中には親子3世代にわたって通ってくださるご家族もいらっしゃいます。こうした地域の皆さんとのつながりは、長年この地で診療を続けてきたからこそ築けた大切な財産だと感じています。
今後の展望や、新たに取り組みたいことがあれば教えてください。
睡眠時無呼吸症候群については、自覚症状がないまま見過ごされている方はもっといらっしゃると感じています。ご家族に指摘されて初めて気づくケースがほとんどですからね。精密検査のポリソムノグラフィは従来、大きな病院で一泊入院して行う必要がありましたが、最近はご自宅で実施できる機器が登場しています。当院でも導入準備を進めていて、簡易検査で診断がつきにくい方にはご自宅での精密検査をご提案したいと考えています。また、禁煙の外来にも力を入れています。喫煙はさまざまな病気のリスクとなりますが、ご自身の意思だけでやめるのは簡単ではありません。薬による治療など医療の力も活用しながら、禁煙をめざす方をしっかり支えていきたいと思っています。今後も呼吸器を柱として娘たちと協力しながら、新しい知識を吸収し患者さんに還元していきたいです。娘たちには、それぞれの立場でクリニックの未来を支えていってくれたらと思っています。
最後に、地域にお住まいの方へのメッセージをお願いいたします。

私自身、今でも講習会に足を運んで新しい知識を学んでいますし、娘たちが新しい情報を持ってきてくれることも大きな刺激になっています。そうした知識を患者さんにどんどん還元して、地域に新しい治療法を届けていきたいというのが私の思いです。当院は呼吸器・循環器・小児科と複数の専門がそろい、隣接する眼科とも連携していますので、検査を含め幅広く対応できる体制が整っています。体のことで気になることがあれば、どんなことでもご相談いただければと思います。地域のかかりつけ医として、これからもお子さんからご高齢の方まで皆さまの健康を支えてまいりたいと考えています。

