全国のドクター9,408人の想いを取材
クリニック・病院 160,467件の情報を掲載(2022年9月27日現在)

  1. TOP
  2. 東京都
  3. 八王子市
  4. 西八王子駅
  5. 西島産婦人科医院
  6. 西島 重信 院長

西島 重信 院長の独自取材記事

西島産婦人科医院

(八王子市/西八王子駅)

最終更新日:2022/07/05

37905 top

長引く新型コロナウイルス感染症流行の影響で、児童相談所への虐待の通告が増加しているという。「西島産婦人科医院」の西島重信院長も、そうした傾向に心を痛める一人だ。「産後の孤独やうつが引き金になるケースは、私たち産婦人科の医師が気づいてあげられる可能性が高いです。追い込まれる前に、助けを求められる場所があることを知ってもらいたいんです」と話し、SOSの早期察知に努めている。長年、ライフステージごとに移り変わる女性特有の悩みに対応してきた経験から、子宮頸がんの検診啓発にも注力。地域の中学校で行う性教育の講演でもワクチンと検診の重要性をわかりやすく伝え、子どもの未来を守る活動を続けてきた。地域と、地域で生きる女性への慈愛に満ちたまなざしで語る西島院長にさまざまな話を聞いた。

(取材日2022年3月16日)

妊産婦のSOSをキャッチし、適切なケアにつなげる

開業から約60年、産婦人科の幅広い領域を一貫して診ていらっしゃるそうですね。

1

1961年に父が開院した医院を、1993年に私が受け継ぎました。当時から変わらず、思春期から老齢期まで、あらゆる年代の患者さんの診療を行っています。大学病院の産科を経て開業医として働くようになって、産婦人科に求められる領域の広さを実感しましたね。女性の悩みはライフステージによって変わりますし、症状の出方や悩みのポイントも人によって異なります。女性の心身の健康を広く、深く診てその一生をサポートできることは、産婦人科の医師ならではのやりがいではないでしょうか。女性たちが一生を通じて抱える可能性がある、あらゆる悩みに対応できるよう、産婦人科の全領域の診療を高いレベルで提供することにこだわっています。

ライフステージごとに、どんなお悩みを抱える方が多いのですか。

いわゆる女性医学の領域では、思春期の月経前症候群や月経困難症といった月経にまつわる悩み、性成熟期の月経不順や不妊症、更年期のさまざまな不定愁訴、老年期の尿失禁や骨粗しょう症といった症状を診ています。専門領域にこだわらず広くさまざまな症状を受け入れているので、年齢を重ねるにつれて変化していくお悩みにも長く並走できるのが強みですね。ハイリスク妊婦を含めた妊娠34週くらいまでの診療から、子宮や卵巣のがん検査、子宮頸部異形成のレーザー治療、各種ホルモン治療、不妊症に対する人工授精まで行います。軽度の高血圧や糖尿病の管理を行う内科的な面も、更年期でうつ状態になっている患者さんの心のケアをする精神科に近い面もあるので、常に最先端の医療知識を習得するよう心がけています。

最近、気になる傾向があれば教えてください。

2

コロナ禍で、子育て中のお父さん、お母さんが思うように外に出られなくなったことで、さまざまな影響が出てきていると感じます。中でも、子どもの虐待の通告が増えているという事実は重く受けとめなくてはなりません。幸い、八王子市には、子育て家庭が地域の中で孤立化しないよう見守るネットワークがあり、保健福祉センターや子ども家庭支援センターをはじめとした受け皿も用意されています。育児はとても大変なものです。大切なのは、子どもを虐待するほど精神的に追い込まれてしまう前に、周りもSOSのサインを見つけてあげることです。そして、そうしたサポートにつなげてあげることだと思っています。これまで、気になる兆候を見つける役割は小児科や整形外科が主に担ってきましたが、今後はより早期の発見につなげるために、産婦人科も積極的に関わっていく段階にあると考えています。

低年齢化する子宮頸がん検診の啓発にも注力

妊産婦の段階から、気になる家庭をケアしていくのですね。

3

女性のヘルスケア領域を長く診てきた立場から言うと、ホルモンの影響もあって、女性のうつはとても多いんです。特に妊娠中や産後は、心の揺らぎが起きる可能性が高い時期。健診にいらした段階で「いつもと違うな」「ちょっとつらそうだな」と思ったら、不安なことや心配ごとの有無をお聞きして、あなたのことを気にしている人がいるよ、話を聞くよ、というメッセージを伝えるようにしています。つらいときに相談できる窓口がたくさんあることを知ってもらえるように、母子手帳交付時の妊婦面談や、産後4ヵ月までの保健師による赤ちゃん訪問といった市の取り組みを案内することもありますね。宿泊型の産後ケア事業を行う自治体も増えていますから、必要な人に情報が行き渡るように橋渡しをしていきたいと思います。

核家族化が進んで子育て家庭が孤立化しがちな現代に、うれしいフォローだと思います。

先ほど申し上げたとおり、妊産婦さんは不安や悩みを抱えやすいものです。誰かに相談できる環境、子育てをフォローしてもらえる環境があれば状況は違ってきますが、実家が遠い、近所と付き合いがない、何らかの理由で親を頼れないなど、安心できる環境で出産を迎える方ばかりではありませんよね。孤独を感じている人や、漠然とした不安を抱えて生きている人の存在を「見つけてあげられる人」が増えれば、悲しい事件も減っていくのではないでしょうか。

虐待防止のための妊産婦のヘルスケアと同時に、子宮頸がん検診の啓発にも力を入れていると伺いました。

4

子宮頸がんは、近年、低年齢化が問題視されている疾患。20代から40代前半の若い女性に急増しており、中には20代で子宮摘出を余儀なくされる方も少なくありません。子宮を摘出すると、出産ができなくなる上、手術の後遺症である尿漏れや便秘に悩んだり、人工肛門を装着せざるを得なかったりといったケースもあり、生活の質が著しく低下します。これを防いでいくには、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)のうち、高リスク型のHPVへの感染を防ぐためのHPVワクチンの接種と、定期的な子宮頸がん検診による早期発見しかありません。逆にいうと、この2つをしっかり行えば、かなりの確率で子宮頸がんで苦しむ人を減らすことができると考えています。ワクチンと検診の重要性については、中学校で行う性教育の講義などでもお話ししています。

全方位的に女性を支える高レベルな医療提供をめざす

八王子市は、子宮頸がん検診の内容充実や検診促進にも積極的なのですよね。

5

子宮頸がん検診は、子宮の入り口を綿棒などでこすり、採取した細胞をそのままスライドガラスに塗布する方法で行う自治体が多いのですが、八王子市は医師会の意見を早くから取り入れ、ブラシで採取した細胞から不純物を取り除いてスライドに塗布する「液状化細胞診」と呼ばれる手法に移行しました。液状化細胞診は、従来法に比べて採取した細胞の観察がしやすい手法。自治体側に「検診の精度を高めて一人でも多くの人を救いたい」という強い熱意があるのは、非常にありがたいことですね。しばらく受診をしていない方には検診を促す受診勧奨通知が郵送されるんですよ。これからも地域全体で、良い検診を提供していきたいと思っています。

先ほど出た性教育のお話は、先生ご自身の取り組みなのですか。

はい。2004年ごろからボランティアで始め、今に至ります。話す内容は、対象年齢によってさまざまですね。中学生なら、性別の違いによる体の違いと特徴、また妊娠や中絶、性病に関する話、HPVワクチンと子宮頸がんのことなど、一通りお話しします。若い人に子宮頸がんが増えていること、原因は性的接触によるHPV感染が多くを占めることなどをお話しすると、みんな真剣に聞いてくれますよ。性行為に伴うリスクや、緊急避妊などの対処法に関する話は、知識として持っていてもらうことが重要なので、「皆にとって今すぐ必要な知識じゃないかもしれないけど、いつか困っている人がいたら教えてあげてね」と伝えています。

ありがとうございました。最後に、地域の皆さんへのメッセージをお願いします。

20220404 6

検診は病気を早期発見できるチャンスです。子宮頸がん検診については、成人式を迎えたら早期に検討してください。また、産婦人科の特性を生かして、虐待防止にもより積極的に取り組んでいくつもりです。地域と協力しながらより良いサポート体制を築いていきたいですね。なお、当院でも受診は予約制ですが、継続的な診療が必要な場合、診察後に次の予定をこちらでお取りすることで患者さんの負担軽減を図っています。今後もさらなる改善に努め、すべての年代の女性に対して高水準の医療を提供できるよう努めてまいりますので、産婦人科領域でお悩みがある方、出産・育児に伴う悩みや不安がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。

Access