牛久保 順一 院長の独自取材記事
牛久保矯正齒科
(八王子市/八王子駅)
最終更新日:2025/09/12

京王八王子駅から徒歩5分、児童公園や市立小学校からも程近い「牛久保矯正齒科」。院長の牛久保順一先生は、歯列矯正がまだ一般に浸透していなかった40年以上前から矯正歯科診療を続けてきた噛み合わせと歯並びのスペシャリスト。そんな牛久保先生の診療方針は、患者に丁寧な説明を行う、永久歯を抜かない、装着時間が短く、口腔内の違和感が少ないメタルブラケットを使用する、無利子の分割払いを採用するなど、すべてにおいて「患者のため」の精神が貫かれている。診療はもとより書籍や絵本の執筆を通じての啓発活動や後進の指導にも尽力。人を包み込む温かい笑顔が印象的な牛久保先生に、診療にかける思いや矯正歯科医院の選び方を中心に話を聞いた。
(取材日2025年7月28日)
矯正歯科の黎明期から地域住民の歯並びを守る
おじいさまから3代にわたって、歯科医師だそうですね。

祖父が自宅の隣に当院を開業したのは、東京都八南歯科医師会が発足された1922年の数年前。当時、ここ八王子市には歯科医院は数えるほどしかなかったそうです。その後、父も歯科医師となり、祖父と一緒に当院で働き始めました。私は小児歯科に進みたかったのですが、父に矯正歯科の道を勧められそれに従いました。矯正歯科専門の歯科医師になるためには、大学卒業後に大学病院の矯正歯科に残ることが一般的ですが、私は父の後輩が開業している矯正歯科医院での勤務を選択しました。そこで5年間勤務医を務めた後、1983年から当院で矯正歯科の歯科医師として働き始めました。当時は矯正は世間に浸透していなくて、八王子市内を見渡しても矯正歯科が専門の歯科医院は少なく、周知していくのは一苦労でした。そして2023年にこちらに移転し、現在に至っています。
紹介で来られる患者さんが多いそうですね。
ありがたいことに近隣の一般歯科からの紹介が最も多く、次いで患者さんからの紹介が多いです。拙著『大切なのは噛み合わせ 矯正歯科がわかる本』を読んで来院される方もいらっしゃいます。年齢層は4歳から60歳代までと幅広いですね。矯正の前にむし歯の治療を終えてくる方が多いのですが、むし歯が進行していない限りその必要はないと考えています。歯はきれいな歯並びと、良い咬み合わせだからこそ詰め物を詰める際も治療がしやすいのです。当院では、歯並びが悪いとむし歯になりやすいことを加味して、むし歯治療前のブラッシング指導を徹底しています。万が一むし歯があった場合には、暫定的にコンポジットレジンなどで充填してもらうよう依頼し、患者さんには矯正治療後きちんと最終補綴をしてもらうようお伝えしています。
抜歯をしない矯正を行っていると伺いました。

すべての歯には役割があるため、できるだけ永久歯を抜かないよう心がけています。若い時に抜歯を伴う矯正を行うと、加齢で下顎骨が下がる時に歯が少ないことで余計に後ろに下がり、ほうれい線が目立ち、老けて見えてしまうのです。また、矯正は子どものうちに始めるほどいいと考えます。大人の場合、矯正後に時間がたつと歯が元の位置に戻っていくことがありますが、子どもはこれから顎骨が成長していくため、歯が元の位置に戻る懸念が少ないからです。成長期に適切に矯正を行うことで、顎骨の健全な成長も見込めます。
患者にとって歯科医師は自分一人
診療において大切にしていることは何ですか?

過程の一つ一つを丁寧に説明することです。矯正専門の歯科医師は技術はもちろん、患者さんを不安にさせないためにきちんとした説明ができなくてはいけません。患者さんとの雑談も大事にしています。矯正装置をつけた直後は引っかかる箇所がわかりにくいので、それを発見するために、治療後に患者さんと雑談をします。話すことで引っかかる部分がわかり、患者さんの帰宅前にその箇所を調整することができるのです。また当院の矯正では、矯正装置の力のかけ方がスムーズになるよう調整しています。診療後にご飯が食べられないということがないよう、綿密に行っています。さらに患者さんに安心感を与え不安にさせないために、診療では常に話かけることを心がけています。「歯科医師がたとえ何千人と患者を診ていても、患者にとって歯科医師は自分一人である」そのことを常に肝に銘じるとともに、後輩にも伝えています。
矯正装置もお手製と伺っています。
私が矯正専門の歯科医師となった頃は、矯正装置を製作している歯科技工所はなく、自作する他になかったのです。今では患者さんの口を見ただけで、ワイヤーをその形に合うように曲げることができますよ。素材はメタルブラケットを使用しています。金属なので形態も小さくでき、装着した時の違和感やワイヤーとブラケット間の摩擦も少ないため、装着期間も短くなることが望めるのです。金属以外の素材のものは強度を高めるためにブラケットの高さと厚みが増すため、装着すると口腔内が圧迫され違和感を感じやすくなります。透明のブラケットが目立たないと思われがちですが、カレーを食べると黄色く染まるなどのトラブルもあるため、実は金属のほうが目立ちにくいと感じます。また、歯の表面を傷めないような接着剤を推奨しているのがメタルブラケットであることも、当院がメタルブラケットを使用している理由の一つです。
矯正歯科医院を選ぶポイントを教えてください。

一番重要なポイントは、患者さんに対しきちんとした説明ができるかどうかです。「任せておけば大丈夫」と言って患者さんにあまり説明をしないのは、絶対にいけないことだと考えています。また、セファログラム(頭部エックス線規格写真)を撮ることと、その撮影写真についての説明があることもポイントでしょう。看板に「一般歯科・矯正歯科」と両方書かれている歯科クリニックもありますが、その際に確認すべきことは矯正専門の歯科医師が常勤しているかどうかです。クリニックによっては、矯正専門の歯科医師は月に数回しか来ないところもあり、その場合は急に痛くなってもすぐに対応してもらえません。矯正専門の歯科医院か、矯正専門の歯科医師が常勤している歯科医院を選んでほしいと思います。
適切な時期の矯正で、噛み合わせに困らない一生を
矯正に関する啓発活動や後進の育成もされているそうですね。

先ほどお話しした著作だけでなく、2025年の末には矯正歯科に関する子ども向けの絵本を上梓する予定です。この絵本で子どもさんや親御さんが歯並びや噛み合わせの大切さを理解してくれるとうれしいですね。また、今人気のマウスピース型装置を用いた矯正については、懸念があることが否めません。日本のメーカーの良い製品もたくさんあるため、このことをテーマにした勉強会を後進に向けて開きたいと考えています。
長らくこの仕事をされていて、印象に残った出来事はありますか?
勤務医時代に、ある女の子のお母さんが「成人式の振袖の代わりに、きれいな歯並びをあげたい」と来院されたことがありました。その女の子は小学生の頃から高校生になるまで真面目に通院し、矯正を頑張ってくれました。その頑張りから自信を持てたようで、ミスコンテストにエントリーしたんです。夏祭りではパレードに参加したそうなのですが、その協賛企業が呉服店だったので、お礼にと振袖がもらえたと耳にしました。彼女は矯正の経験と振袖、両方を手にできたんですね。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

「矯正はお金がかかるから、大人になってから自分の稼ぎで受ければいい」という声をよく聞きますが、それは間違いだと考えます。先ほどもお話ししたように、矯正は小さいうちに始めるほど効果が見込めますし、費用もかかりません。当院は利子のない院内分割を採用していますが、それは患者さんに費用が高いという理由で矯正に適している時期を逃してほしくないからです。小児を診られる矯正歯科医院がもっと増えてほしいのが本音ですね。また、若い時に矯正しても、数十年後に中年太りなどで口腔内にも肉がつき、歯列が押されるといったケースもあります。そのような時も、きちんとメンテナンスいたします。車と同じで、矯正も定期的なメンテナンスを行うことで、問題のない噛み合わせを保つことが望めるのです。
自由診療費用の目安
自由診療とは矯正前治療費
・一括払い:33万円
・分割払い:34万円(着手金10万円+月々1万円×24回)
一期治療費(10歳未満・永久歯交換まで):55万円(着手金10万円+月々1万5000円×30回)
二期治療費:48万円(月々2万円×24回)
一・二期治療費:103万円
学生矯正治療費(18歳未満の中高校生):105万円(着手金15万円+月々2万5000円×36回)
成人矯正治療費(18歳以上の永久歯列):110万円(着手金20万円+月々3万×30回)
※基本装置代、調整料込み
※その他、別途費用いただく場合もございます
※初回相談無料で承ります