牛久保 順一 院長の独自取材記事
牛久保矯正齒科
(八王子市/八王子駅)
最終更新日:2023/09/07

京王八王子駅から徒歩5分、明神町なかよし公園の目の前にある「牛久保矯正齒科」。院長の牛久保順一先生は40年以上、八王子市で矯正歯科に従事してきた。矯正装置をつけて笑う口が描かれている玄関マットが迎えてくれる院内は、移転したばかりということもあり、隅々まで清潔でスタイリッシュなデザイン。咬み合わせを重視した、できるだけ永久歯を抜かない・削らない矯正を特色とし、必要な矯正装置を自作しているのは、歯科技工所では求める矯正装置を作れなかった時代から取り組んできたからこそ。患者にとって矯正治療が楽しい思い出になるよう、著書を通じて啓発活動も行う牛久保院長に診療にかける思いなどを詳しく聞いた。
(取材日2023年6月19日)
健康な咬み合わせを得られるような矯正治療を重視
100年以上にわたり、代々この地で歯科医院を営んでこられていますね。

はい、私の祖父は東京都八南歯科医師会が創立された1922年以前から歯科医院を開院していました。歯科医院が自宅に隣接していたので、晩年になっても白衣を着て患者さんの義歯調整をしていた姿を覚えています。父と祖父とでは教育年代や教育方針が異なっているので、治療法で衝突する事もあったようです。息子の私との衝突を避け、一緒に歯科治療ができるようにと矯正歯科専門の歯科医師の道を勧めてくれたのです。私が開業した1983年、八王子市で矯正歯科専門の歯科医院は当院ともう1院だけでした。そのため、当時「矯正歯科」専門歯科医院はほとんど認知されていませんでしたから、周知させるのも大変でした。それから40年以上になりますが、移転とともに今年の夏から現在の地での診療を続けています。実はすぐ近くの第四小学校の学校歯科医を長く担当していたこともあり、とてもなじみ深い場所なんです。
本当にたくさんの患者さんを診てこられたんですね。
初診の患者さんの9割が一般歯科からの紹介なので「会員制ですか?」などと聞かれることもあるのですが、そんなことはありません。矯正治療は早めの処置が有用なので、ご紹介いただく先生方には「小さなお子さんでも大丈夫ですよ」と伝えてあり、乳歯期の患者さんを連れて保護者の方がおみえになっています。お子さんの歯並びや噛み合わせに少しでも不安がある場合は、永久歯が生え替わる前でも構いませんので、早めに矯正歯科に相談してください。もちろん、大人の方にとっても自分の歯を長く残してあげるための矯正歯科治療は有用だと考えています。矯正治療で正しい咬み合わせを得ることで歯にかかる負担が減り、自分の歯を守ることにもつながります。
矯正治療において先生が大事にされていることを教えてください。

「咬み合わせ」を疎かにしてはいけません。ただきれいに歯を並べただけで矯正治療をしたと言えるでしょうか。さまざまな矯正治療法がありますが、患者さんが矯正治療法を選ぶのではなく、矯正をする歯科医師が患者さんの症状を改善するのに適切な矯正治療法を提案すべきなのです。私は、矯正治療で一番大事なのは「よく咬めるようにすること」であり、20年後30年後も自分の歯で正しく咬めるように治療し、全身の健康を守ることにもつなげようと思っています。
子ども、大人問わず患者さんの声に耳を傾けてくださっていますね。
そうですね。矯正治療の結果はセファログラム(頭部エックス線規格写真)などの計測数値でも表せますが、その数値を矯正治療で理想に近づけたからと言って、それが患者さんにとって快適な咬み合わせになっているとは限りません。矯正治療中の患者さんの咬合状態に変化はないか、常に伺いながら治療を進めて行くようにしています。
矯正治療を「楽しい思い出」に
そうしたお考えはできる限り抜歯をしない方針にもつながっていそうですね。

お子さんから高齢者まで、できるだけ永久歯を抜かない矯正治療をするよう心がけています。歯を削って隙間を作るためにディスキング(歯横のエナメル質を削って歯幅を小さく調整する治療)をする矯正方法もありますが、私はしたことがありません。一度抜いたり削ったりした歯は元の形に戻りはせず、それぞれの歯には役割があって、いらない歯なんてないんですよ。例えば、現在口ゴボ、Eラインといった言葉を気にして矯正治療で治したいという患者さんもいますが、セファログラムを撮影し、顎骨の状態を精査しないと、矯正治療で治すことは難しい症例もあるのです。咬み合わせはもちろん、将来的に健康な美しい歯に考慮して矯正していきたいです。
「将来的な美しさ」とはやはり歯並びのことでしょうか?
もちろん、歯並びも大切です。しかし、私は矯正治療をしても、「天然歯の歯面や形態にダメージを与えないこと」が重要だと考えています。そのためには、歯の表面を傷めないような接着剤を使用する必要があります。私が患者さんにメタルブラケットを使用しているのも、除去しやすい接着剤がメタルブラケットの使用を推奨しているからなんです。患者さんの口腔内の安全のため、矯正治療後の歯面へのダメージを極力抑える事を大切にしています。
矯正装置は先生が作られていると伺いました。

開業した頃は既製の矯正装置はあまり多くなく、必要な矯正装置を製作してくれる歯科技工所もありませんでした。そのため自分で作るしか手段がなかったので、今でも使用する矯正装置は自分で製作しています。治療後の保定装置も院内で製作していて、後戻りを心配される患者さんにはブラケットを撤去した日に保定装置をセットすることも可能です。また、現在話題になっているマウスピース型の装置も、日本に導入される以前から歯科用加圧成形器で自作していました。
患者さんと接する際、どんな点に注意していますか。
矯正治療は長期間にわたるので、患者さんに通い続けてもらわなければいけません。そのためには、患者さん一人ひとりとのコミュニケーションが重要です。どんな方とも話がはずむように、読書、映画、音楽鑑賞、料理など、あらゆる分野にアンテナを張り巡らせています。たとえどんなマニアックな患者さんが来ても、会話できるようでなければ駄目だと思うんですよ。患者さんにとって矯正治療が楽しい思い出になればうれしいです。
著書や講習会を通して地域医療へ貢献
矯正治療に関する啓発活動にも力を入れていますね。

患者さんが矯正歯科を選ぶ際に役立つ知識を届けたいと思っています。やはり、矯正はコストも時間もかかるので、正しく判断して後悔のないようにしたいですよね。著書『大切なのは咬み合わせ 矯正歯科がわかる本』にもまとめましたが、実際に私の本を読んで来院してくださる方もいらっしゃいます。セカンドオピニオンの相談も歓迎していますので、矯正を始める前に来ていただければと思います。一方、矯正歯科の後輩たちには一般歯科の先生とどうコミュニケーションを取っていくべきかなど、伝えています。この待合室は今後後進育成のための講習会の場にも使用する予定なんです。一般歯科の先生との連携も強化することで、よりいっそう地域医療に貢献していきたいと思っています。
今後もご相談が尽きないかと思いますが、他にも何かお聞かせください。
私の手、小さいんです。ゴルフのグローブも女性用がジャストサイズだったりします。おかげで患者さんの口腔内でも手を動かしやすいです。もともと細かい作業が得意なこともあり、とても矯正向きだと思います。勉強会では「私はそんなところからワイヤーを入れられない」と驚かれることもあるくらいですが、これからも「この手だからこそできる治療」を極めていきたいです。
最後にこの記事の読者へメッセージをお願いします。

矯正治療費は高額で、一括で支払わなければならないと考えられている方が多いようです。ご相談の際にも、費用の関係で矯正治療を始められないという意見をよく伺います。学校歯科検診などで歯列・咬合に問題がある生徒さんを指摘するのは、矯正治療に適切なタイミングを逃さないためです。永久歯の萠出や、悪習癖による歯列の問題で発音に影響があり、健全な顎骨の成長が阻害される場合もあるのです。成長期に適切な矯正治療ができれば顎骨も健全に成長し、上記症状もかなりの確率で大切な永久歯を抜かずに矯正治療をする事ができます。「矯正治療はしたいけど高いから始められない」「矯正は大人になってからでいい」という患者さんのために、当院は無金利での院内分割支払いも導入しています。歯並びや咬み合わせの問題でお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは矯正前治療費
・一括払い:33万円
・分割払い:34万円(着手金10万円+月々1万円×24回)
一期治療費(10歳未満・永久歯交換迄):55万円(着手金10万円+月々1万5000円×30回)
二期治療費:48万円(月々2万円×24回)
一・二期治療費:103万円
学生矯正治療費 (18歳未満の中高校生):105万円(着手金15万円+月々2万5000円×36回)
成人矯正治療費 (18歳以上の永久歯列):110万円(着手金20万円+月々3万×30回)
※基本装置代、調整料が込み
※その他、別途費用いただく場合もございます
※初回相談無料で承ります