初期には気づかない慢性腎臓病
健診を受けて早期治療と対策を
福岡医院
(日野市/南平駅)
最終更新日:2025/10/14
- 保険診療
腎臓は「沈黙の臓器」といわれ、注目されにくい臓器だ。しかし、腎臓の機能は加齢とともに低下し、それに生活習慣病や腎臓特有の病気が加わると機能低下が加速する。その状態を慢性腎臓病(CKD)というが、初期の段階ではほとんど自覚症状がなく、気づく頃にはかなり病気が進んでいるという。一度悪くなった腎臓はほとんど元には戻らないため、早期に発見し、治療をすることが重要だ。そのために、「定期的に健康診断を受けて、異常を見つけることが重要です」と話すのは、「福岡医院」の福岡利仁副院長。日本腎臓学会腎臓専門医として、現在でも杏林大学医学部付属病院の腎臓内科の外来を週1回担当する、腎臓疾患のスペシャリストだ。「透析になる患者さんを1人でも減らしたい」という福岡副院長に、慢性腎臓病の原因と治療について聞いた。
(取材日2025年9月5日)
目次
初期には自覚症状がなく、進行すれば回復が難しい慢性腎臓病。栄養管理や生活改善など、多職種連携で対策を
- Q慢性腎臓病について、詳しく教えてください。
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A
▲腎臓病は初期症状が少ないため、定期的な健診での早期発見が重要
腎臓の障害がある、または腎臓の働きが低下している状態が3ヵ月以上続いている病気の総称で、「CKD」と呼ばれることもあります。初期では自覚症状がほとんどないので、多くの人は定期的な健康診断で指摘されて気づきます。腎臓の働きを調べるための「クレアチニン値」「eGFR値」などが指標となり、異常があれば腎臓の詳しい検査を勧められます。自覚症状として、尿が泡立つ、朝起きたときに目の周りがむくむ、急な血圧の上昇、夜間頻尿などがありますが、気づいた頃にはすでに進行していることが少なくありません。腎臓の機能低下は、ある程度進行すると自然に治ることが難しいので、早期発見と対策が重要です。
- Qどのような原因が考えられますか?
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A
▲生活習慣病との関係も深く、放置すると心血管病のリスクも高まる
腎硬化症や糸球体腎炎、多発性嚢胞腎といった腎臓の病気が原因の一つです。また、加齢とともに腎機能が低下することもわかっています。腎臓は血管がたくさん集まる構造をしているので、動脈硬化の影響を受けやすいのも特徴です。そのため、糖尿病、高血圧症、肥満症、脂質異常症といった生活習慣病による動脈硬化によって、腎機能が悪化することもあります。健診で異常が見つかった時に放っておくと、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの心血管病のリスクを上げる可能性も少なくありません。慢性腎臓病が悪化すれば慢性腎不全となり、透析や移植が必要となるケースもあります。原因に応じた適切な治療を受け、重症化を防ぐことが重要です。
- Q受診するタイミングは? また、どのような検査をするのですか?
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A
▲腎機能に異常があれば、内科や腎臓内科で詳しい検査を。
定期的な健康診断で腎機能の詳しい検査を勧められたら、内科や腎臓内科があるクリニックを受診しましょう。自覚症状がないうちに、早期に対策をするのが安心です。当院での検査内容は、血液検査、尿検査、超音波検査、CT検査、連携医院で受けるMRI検査を用意しています。尿検査では、尿に漏れ出ている血液やタンパク質の量を測定できます。血液検査では、尿素窒素とクレアチニン値を測定し、eGFR値を計算します。超音波検査やCT検査では、腎臓の形や大きさ、結石の有無や腫瘍などについて調べます。さらに必要であれば、私が週1回外来を担当している杏林大学医学部付属病院に入院していただき、腎生検を行うことも可能です。
- Qクリニックでは、どのような治療を受けられますか?
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A
▲腎臓病の重症化を防ぐために管理栄養士による個別指導を実施
原因によって、治療の内容が異なります。高血圧症や糖尿病といった生活習慣病が原因の場合には、降圧薬や糖尿病治療薬といった内服薬による治療や生活習慣の改善などが検討されます。腎臓自体の病気が原因の場合も、病気の治療が優先です。近年は、慢性腎臓病全般に有用なSLGT2阻害薬も登場し活用されています。そのほか慢性腎臓病の共通した治療として、生活習慣の見直しは必須です。規則正しい生活を意識する、体重を適正に保つ、タンパク質や塩分の過剰摂取を控える、禁煙するなど適切な生活習慣の維持がとても重要です。中でも毎日の食事管理は難しい面もあるので、当院では管理栄養士が患者さんに合わせた個別指導を実施しています。
- Q先生のような、腎臓専門医に診てもらうメリットは?
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A
▲専門家が総合的な診断と継続的な支援を行う
腎機能の評価において従来のクレアチニン値に加えて、シスタチンCや尿中アルブミンなどの指標データを確認し、精密な診断ができます。腎臓の病気は種類が多いのですが、豊富な臨床経験から重大な病気の可能性を見逃しにくいこともメリットです。また、慢性腎臓病の進行を抑えるには、血圧、血糖、コレステロール、尿タンパク、食事の塩分やタンパク質、体重などの項目を管理する多角的なアプローチが求められます。これらを継続的に評価・調整するのは腎臓専門医が得意とするところです。進歩する医療知識の収集にも意識を向け、常に先進の情報を取り入れて診療に生かすように心がけるのも役割だと考えています。

