福岡 利仁 副院長の独自取材記事
福岡医院
(日野市/南平駅)
最終更新日:2025/08/27

京王線・南平駅から徒歩5分の閑静な住宅街にある「福岡医院」。1967年に院長の福岡多美子先生が、まだ女性医師が少なかった時代に診療を始めた。2022年からは、長男で杏林大学医学部付属病院に講師として長く勤めていた福岡利仁先生が、副院長として本格的に診療に参加。地域住民に寄り添いつつ、専門性を生かした診療を続ける。2023年9月には、隣に新館をオープンし、新しい医療機器や設備を導入。一般内科や小児科、発熱や感染症治療など従来の診療はもちろん、副院長の専門である腎臓病や関節リウマチ・膠原病の治療、リハビリテーションなど、専門的な診療も提供している。「いつでも安心して、気軽に受診していただける医院でありたいと思っています」と語る副院長に、新館への思いや診療方針を聞いた。
(取材日2023年12月4日)
半世紀の歴史ある医院で、新館がオープン
どのような思いで2023年9月に新館をオープンされたのですか?

単なるプライマリケアだけでなく、一歩進んだ診療に加え、腎臓病や関節リウマチなど膠原病の診療に力を入れていきたいと思い、増設いたしました。小児科や一般内科など従来の幅広い診療に加え、専門性の高い診療にも対応できる設備を整えています。明るさの中にもリラックスできる空間づくりを大切にし、待ち時間を心地良く過ごせるでしょう。さらに、発熱や感染症の患者さんの診察のため、「感染症診察室」を完備。他の患者さんと動線が重ならないように、正面玄関とは異なる専用の出入り口もあります。また、点滴スペースも備えています。全面バリアフリーでユニバーサルトイレもあるので、安心してお越しください。
新館には広いリハビリテーション室があり、機器も充実していますね。
腰痛、関節リウマチ、膠原病、手足がうまく動かせないといった際に、整形外科領域のリハビリテーションを行っています。当院は、リハビリ病棟に10年以上勤経験のある神経内科の医師である妻が、木曜にリハビリを担当。脳血管疾患の後遺症に対応し、看護師や理学療法士と連携して患者さんの機能回復のために努めています。リハビリ室はスペースが広く、低周波治療器、乾式ホットパック装置、ウォーター型マッサージベッドなどを取りそろえ、患者さんに合ったリハビリの実践と日常生活や早期の社会復帰をめざしています。また、疼痛緩和のための物理療法だけの患者さんも受け入れています。
先進の医療機器をそろえているのですね。

当院では、通常の内科クリニックではあまり備えられていないCT、エックス線撮影装置、超音波診断装置、血液迅速検査装置、骨密度測定装置などがそろっています。特に、感染症による肺炎や、腎不全などを迅速正確に診断するためにCT検査ができるような体制を整えています。呼吸器感染症では、同時にコロナウイルスやインフルエンザ、マイコプラズマ、百日咳など16症状の病原体の検査が可能なPCR検査を導入しています。血液迅速検査装置も、採血してから10分ほどで血液検査の結果が出ます。例えば、血液検査で高カリウム血症が判明し緊急での処置が必要な場合の対応も可能です。腎臓病や膠原病は多臓器との関連が深いため、心臓や腹部、甲状腺、血管、関節などが調べられるエコーも備えています。また、高齢者の診療にも欠かせない骨密度測定や血管年齢などの検査も対応しています。
腎臓病や関節リウマチ・膠原病など専門的な治療に尽力
ご専門である腎臓病の診療で、どのような役割を担っていきたいとお考えですか?

地域のかかりつけ医として、腎臓病の早期発見と早期治療に貢献できればと思っています。慢性的に腎臓の機能の低下が続く状態を総称して慢性腎臓病(CKD)といいますが、CKDは狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの心血管病のリスクを上げてしまう恐れがあることがわかっています。さらに腎臓は一度悪くなると回復は難しく、透析や移植手術が必要になることもあるため、早期に治療を始めることが重要です。また、CKDの治療では薬物療法だけでなく、禁煙や食事、運動など生活習慣の改善がポイントになります。大学病院での勤務医時代は、看護師や栄養士、薬剤師など多職種と連携して勉強会を定期的に開催し、腎臓病についての説明や、生活習慣のアドバイスをしていました。当院でも、患者さんへの生活指導の他、地域の方々を対象とした勉強会にも取り組んでいきたいですね。
関節リウマチなど膠原病についてはいかがですか?
関節リウマチなどの膠原病は、かつては難病というイメージがありました。しかし、ここ数十年で新しい薬がたくさん登場し、多くの患者さんが良い状態を維持しながら日常生活を送れることが期待できるようになっています。一方で、膠原病を専門的に診療している医院は少なく、大学病院などの大きな医療機関に通院されている方もいるのではないでしょうか。私は、内科全般や腎臓病、リウマチ、膠原病の診療や研究に長く携わり経験を積んできました。日本内科学科総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医のほか、日本リウマチ学会リウマチ専門医の資格も持っていますので、身近な医院で専門的な診療を行っていければと思っています。
医院の診療方針を教えてください。

院長の多美子先生は、開業当初からずっと、全身の相談に乗り、全身を診ることをモットーにしています。例えば赤ちゃんが泣きやまない場合、全身をくまなく診てみると、ヘルニアだったり、足の爪にケガをしていたり、思わぬところに原因が見つかる場合があります。それは大人も同じです。多美子院長は、「風邪をひいた」という相談でも、下痢をしていないか確認し、おなかが痛い人には必ずおなかに触れ、聴診器を当てる、舌圧子を使って喉を診る、耳鏡で耳の中を診るといった基本的な診察をしっかり行うことを大切にしています。私も、院長の診療を継承しながらも、大学病院での経験を生かした診療を実践できればと思っています。また、患者さんと親戚のようなお付き合いをして寄り添う院長の姿勢を、今後も見習っていきたいです。私はこの地で生まれ育ったので、地域のお役に立てることを目標にしています。
温かさと専門性を兼ね備えた医療を地域で実践したい
この地で長く診療を続けられてきたと伺っています。

多美子院長が開業したのが1967年ですから、もう56年になりますね。院長は東京医科歯科大学の出身で、当時は学年に40人の学生がいましたが男子学生ばかりで、女子学生はまだまだ珍しい時代だったそうです。大学卒業後は母校の大学病院で小児科の診療と研究に取り組み、その後八王子の仁和会総合病院で小児科を開設。5年間医長を務めた後、この地に小児科・内科の医院を開業したのです。地域の子どもたちみんなの面倒を見よう、元気な子どもに育てよう、そんな思いで開業したそうです。開業当時、私はまだ赤ちゃんだったのですが、その後は医師になり、杏林大学医学部付属病院で長年腎臓・リウマチ膠原病内科の診療をしていました。2016年頃から月2回ほど診療に携わるようになり、2022年からは副院長として患者さんの支えになるため診療にあたっています。
院長は地域の活動にも力を入れてこられたそうですね。
多美子院長は、地域に小学校や幼稚園ができた時からずっと、校医・園医を務めています。お子さんたちの健康診断だけでなく、風疹やインフルエンザなど感染症の流行時には学級・学年閉鎖をするかどうか、する場合は休業の期間などを医療的見地からアドバイスしていました。「子どもたちの健康を守る」というほど大げさなことではなく、地域のかかりつけ医として地域医療に貢献するのは当たり前のことという考えだったそうですが、私も同じ思いで診療を行っています。
読者へメッセージをお願いします。

新館では、大学病院での診療経験を生かした、より専門性の高い診療を実践しています。私は総合内科専門医でもあるので、内科疾患全般の診断・治療も得意です。「おなかが痛い」という症状でも、ただ薬を出して終わりではなく、触診や血液検査の結果などから重症化リスクを見落とすことなく精密検査へつなげることも心がけています。開業以来こだわっている、院内処方も継続しています。風邪症状や腹痛といった日常的な体調不良から生活習慣病、予防接種まで幅広く対応し、一歩進んだ医療の実践を心がけています。お困りの際はぜひご来院ください。