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長瀬 幸弘 先生の独自取材記事

たかつきクリニック

(昭島市/昭島駅)

最終更新日:2019/08/28

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JR青梅線の昭島駅北口から徒歩1分の「たかつきクリニック」。地域密着型のクリニックとして市内を中心に立川市や武蔵村山市、福生市などから通う外来患者に向けて、心のセーフティーネットの一翼を担う同院では、本院であり入院施設のある「高月病院」や隣接する「たかつき第2クリニック(デイケア)」とともに、この地域の精神科医療を支え続けている。今回は、たかつきクリニックの勤務医であり第2クリニックの院長も兼任する長瀬幸弘先生に、患者に寄り添った医療を展開するたかつきクリニックの特徴や、地域社会やスタッフとの連携、診療に対する思いについて、じっくりと話を聞くことができた。
(取材日2018年9月19日)

外来診療から、本院やデイケアクリニックとの懸け橋に

先生が医師をめざされたきっかけやご経歴について教えていただけますか?

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医師をめざしたきっかけは、今思えば、父の影響が一番大きかったように感じます。日本大学医学部を卒業した後は東京医科歯科大学の精神科に入局しました。医局で2年間研修医を務めてからは川崎市にある栗田病院で5年間勤務しました。大学病院に在籍中は指導担当医の指示のもとで診療していたところがありましたが、外の病院では自分で治療を進めなければいけませんでした。大学病院と栗田病院での7年間は医師として鍛えられた期間でしたね。

クリニック開院の背景や関連病院との連携についてお聞かせください。

本院である「高月病院」は、主に入院患者さんを中心に診療を行っているのですが、受診アクセスの向上という意味でも路線の近くに外来患者さんを診る医療機関をつくろうと開院したのが私たちのクリニックです。当院には入院施設はありませんので、通院や投薬治療で日常生活が送れる方々が中心になります。当院は昭島市でもあまりない精神科専門のクリニックなので、市内在住の方々ばかりでなく、立川や国分寺、武蔵村山、日野、八王子、もっと奥の青梅などから通われている患者さんも少なくありません。自ら来院される患者さんだけでなく、内科や産婦人科のクリニックからの紹介でいらっしゃる方もいます。隣接している第2クリニックでは、当院の治療によって病状がかなり安定してきた段階の患者さんが社会復帰するためのデイケアの場として、集団でDVD鑑賞や料理、ゲームなどのプログラムを受けながら学校や会社に戻るサポートを行っています。

診断や治療はどのように行っているのでしょうか?

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主に医師による面接です。治療は投薬治療が中心ですが、患者さんの中にはカウンセラーによる心理カウンセリングを利用される方もおられます。薬の処方に関しては、患者さんへの作用と副作用を比べて、当然マイナスであってはいけません。具合を良くする力というのは本人の中にあるものなので、とにかくそれを妨げないような工夫をする必要があります。薬物治療というのはあくまでも補助。健康になっていくための力を阻害しない、妨げのないように患者さんとご相談しながら処方しています。

訪問看護によるサービスで予防医療の充実を図る

患者さんの症状ではどのようなものが多いですか?

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「うつ」で通われる方が多いですね。うつ病までには至らない「うつ状態」も含めて、その原因は、事故に遭う、肉親が亡くなる、ペットロス、恋愛トラブル……と多岐にわたります。さらに、深いうつ状態は、統合失調症、神経症、人格障害などに起因することもあります。お子さまだと注意欠如・多動性障害、いわゆるADHDですね。特に最近では、若い世代でアスペルガー症候群などの発達障害が見つかり、社会とうまくコミットできずに社会参加が難しい状態になっている方が増えてきました。家族や会社の上司から「精神科を受けてみたら」と勧められて来る方もいますし、自ら「自分はもしかして発達障害かもしれないので診断してもらいたい」という方も多いです。そして昨今、認知症が病気として認識されるようになりました。当院でも行政が推し進めている認知症治療を行う施設として参加していることもあり、受診される患者さんが増えていますね。

精神科の治療において最も重要なこととは何でしょうか?

最近の精神科治療は、社会資源を上手に利用することができます。ひと昔前なら、医師が「自分がすべてを診る」というスタイルが主流だったかもしれませんが、今は始まりから終わりまで一人の医師で治療を完結させることはとてもできません。診療室に入るのは医師と患者さんだけなのですが、治療にはご家族はもちろん、行政の保健師やケースワーカー、看護師、デイケアのスタッフなど、患者さんと関わるさまざまな人たちの協力が必要になります。その中で医師の一番の役割は、チームの舵を取ることです。混雑しているネットワークをマネジメントしながら、医療スタッフとともに船を漕いでいき、患者さんを支えていくんですね。マネジメントがうまくいけば、患者さんが望む社会の中で自ら歩む力を育むことができると考えています。

訪問看護にも注力されているのですね。

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訪問看護はクリニックから外に向けて発信するサービスです。クリニックに患者さんが来院していただくのをお待ちしているのではなく、われわれ医師や看護師が患者さんのご自宅にお伺いします。例えば、お薬がちゃんと飲めているか確認に回ったり、受診の時に話せなかったことをお聞きしたり。診療ではニコニコ笑っていた方でも家の中がぐちゃぐちゃ、ということもあるんですね。そして、入院されていた方が退院し日々の生活を続けていく中で、病状を悪化させないためにどのように働きかけるか、次の入院をいかに引き延ばせるかという予防医療の役割も担います。おかげさまで利用を希望される方が多く、順番に回らせていただいています。今後もさらに、外来と同様に訪問看護の充実を図っていきたいと思います。

進化する精神科医療とともに患者の日々の充実をめざす

先生ご自身の医師としてのやりがいはどのようなことですか?

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何年もずっと通い続けてくださっている患者さんもおられます。その方たちがずっと安定維持して地域生活に溶け込み、入院をせずに通院で何とか維持できているのは何事にも代えられない喜びです。そうするとご本人たちも自信がついてきて、もう少しいろんなことが自分でできるんじゃないかと思うようになるんですね。それをサポートしてくれるさまざまな人たちもいるので、そういった人たちと関わってもらいながら、さらにご自身の生きがいを見つけて充実した毎日を送ってもらうことをめざし、日々患者さんと向き合っています。そして、私だけでなく、スタッフも同じ気持ちでいてくれると思います。当院の医療スタッフは日々来院される患者さん一人ひとりの症状をほとんど把握しています。とても頼もしく、誇りに感じていますね。

今後の展望についてお聞かせください。

精神科医学というものは進化していて、新たな治療法が毎年毎月出てきます。発達障害や認知症などの社会支援も進んでいますし、私たち医師も常に勉強していかなくてはなりません。投薬についてもたくさんの選択肢があります。患者さんはお薬をちゃんと飲めずに飲み残してしまうことがありますが、例えば飲み薬だけでなく注射の方法をとることで毎日服薬する手間を省くことができます。その方に合った方法を導入していくため、ご本人にも理解していただけるような工夫をしていきたいと思いますね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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いつまでも地域の方々に気軽に利用していただけるクリニックでありたいと思っています。精神科クリニックは他の科に比べると入りづらいと思われがちですが、私どものクリニックは若い方から認知症を患っているお年寄りまで来院していただいております。そもそも精神科は「心の病気」を診るところとよく言われますが、では心はどこにあるかというと科学的には脳なんです。同じ胃や腸、肝臓、腎臓などの体の一部である脳を診る科だと捉えていただけば偏見もないのではないでしょうか。まずは気になる症状をご相談いただき、その方に応じた診療を進めていく、もしくは適切な医療施設への橋渡しをさせていただきます。ぜひ気軽にご利用いただきたいと思います。

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