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長瀬 幸弘 先生の独自取材記事

たかつきクリニック

(昭島市/昭島駅)

最終更新日:2022/11/30

長瀬幸弘先生 たかつきクリニック main

JR青梅線の昭島駅北口から徒歩1分の「たかつきクリニック」。地域密着型のクリニックとして昭島市内を中心に立川市や武蔵村山市、福生市などから通う外来患者に向けて、心のセーフティーネットの一翼を担う同院では、本院である「高月病院」や併設するデイケア施設とともに、この地域の精神科医療を支え続けている。患者に寄り添った医療を展開する同クリニックでは、すべての医療スタッフが患者の状況のほとんどを把握しニーズに合ったサポートをすることで、患者が社会の中で生きがいを持って生活できるようになることをめざしている。そこで、同院で診療を行う長瀬幸弘先生に、クリニックの特徴、地域社会やスタッフとの連携、診療に対する思いについて話を聞いた。

(取材日2021年12月9日)

外来診療が入院治療と地域生活との懸け橋になるように

クリニック開院の背景や関連病院との連携についてお聞かせください。

長瀬幸弘先生 たかつきクリニック1

本院である高月病院は、主に入院患者さんを中心に診療を行っているのですが、受診アクセスの向上という意味でも路線の近くに外来患者さんを診る医療機関をつくろうと開院したのがこのクリニックです。当院には入院施設はありませんので、通院や投薬治療で日常生活が送れる方々が中心になります。当院は精神科の診療を専門的に行うクリニックなので、市内在住の方々ばかりでなく、立川や国分寺、武蔵村山、日野、八王子、青梅などから通われている患者さんも少なくありません。自ら来院される患者さんだけでなく、内科や産婦人科のクリニックからの紹介でいらっしゃる方もいます。併設しているデイケア施設では、病状が安定した段階の患者さんが社会復帰するため、集団でDVD鑑賞や料理、ゲームなどのプログラムを受けながら安定した社会生活を送っていただくためのサポートを行っています。

診断や治療はどのように行っているのでしょうか?

主に医師による面接です。治療は投薬治療が中心ですが、患者さんの中にはカウンセラーによる心理カウンセリングを利用される方もおられます。薬の処方に関しては、患者さんへの作用と副作用を比べて、当然マイナスであってはいけません。回復力というのは本人の中にあるものなので、とにかくそれを妨げないような工夫をする必要があります。薬物治療というのはあくまでも補助。健康になっていくための力を阻害しない、妨げのないように患者さんとご相談しながら処方しています。

患者さんの症状ではどのようなものが多いですか?

長瀬幸弘先生 たかつきクリニック2

うつ症状で通われる方が多いですね。うつ病までには至らない「うつ状態」も含めて、その原因は、事故に遭う、肉親が亡くなる、ペットロス、恋愛トラブル……と多岐にわたります。さらに、深いうつ状態は、統合失調症、神経症性障害、パーソナリティー障害などに起因することもあります。お子さまだと注意欠如・多動性障害、いわゆるADHDですね。特に最近では、若い世代でアスペルガー症候群などの発達障害が見つかり、社会とうまくコミットできずに社会参加が難しい状態になっている方が増えてきました。家族や会社の上司から「精神科を受けてみたら」と勧められて来る方もいますし、自ら「自分はもしかしたら発達障害かもしれないので診断してもらいたい」という方も多いです。そして昨今、認知症が病気として認識されるようになりました。当院でも行政が推し進めている認知症治療を行う施設として参加していることもあり、来られる方が増えていますね。

地域のかかりつけ医として多職種で患者を支える

若い人へのサポートや認知症治療についてはどのように取り組んでいますか?

長瀬幸弘先生 たかつきクリニック3

思春期の患者さんのニーズが高まってきたことから、思春期の世代の診療経験がある医師による外来を行っています。この世代はできあがった大人ではなく成長段階にあることが特徴ですので、今ある症状が病気による経過なのか成長による過程なのかをきちんと判断する必要があります。まだまだ対応に限りがありますが、少しずつ取り組み始めています。また当院は認知症疾患医療センターであり、認知症に関しても地域のかかりつけ医として昭島市の保健福祉部介護福祉課と連携し、早期介入・早期啓発に力を入れています。複数の医師、臨床心理士や精神保健福祉士が、病院や昭島市の保健福祉部介護福祉課などの行政との連携を含め、地域に密着した医療によるトータルサポートを行っています。

精神科の治療において重要なこととは何でしょうか?

最近の精神科診療は、社会資源を上手に生かせるようになりつつあります。ひと昔前なら、医師が「自分がすべてを診る」というスタイルが主流だったかもしれませんが、今は始まりから終わりまで一人の医師で治療を完結させることは難しいと思います。診療室に入るのは医師と患者さんだけなのですが、治療にはご家族はもちろん、行政の保健師やケースワーカー、看護師、デイケアのスタッフなど、患者さんと関わるさまざまな人たちの協力が必要になります。その中で医師の一番の役割は、チームのかじを取ることです。混雑しているネットワークをマネジメントしながら、医療スタッフとともに船を漕いでいき、患者さんを支えていくんですね。マネジメントがうまくいけば、患者さんが望む社会の中で自ら歩む力を育むことができると考えています。

訪問看護にも注力されているのですね。

長瀬幸弘先生 たかつきクリニック4

訪問看護はクリニックから外に向けて発信するサービスです。患者さんに来院していただくのをお待ちしているのではなく、看護師が患者さんのご自宅にお伺いします。例えば、お薬がちゃんと飲めているか確認に回ったり、受診の時に話せなかったことをお聞きしたり。診療ではニコニコ笑っていた方でも家の中がぐちゃぐちゃ、ということもあるんですね。そして、入院されていた方が退院し日々の生活を続けていく中で、病状を悪化させないためにどのように働きかけるか、次の入院までの期間をいかに引き延ばせるかという予防医療の役割も担います。利用を希望される方のもとへ、順番に回らせていただいています。今後もさらに、外来と同様に訪問看護の充実を図っていきたいと思います。

進化する精神科医療により、患者の日々の充実をめざす

先生ご自身の医師としてのやりがいはどのようなことですか?

長瀬幸弘先生 たかつきクリニック5

何年もずっと通い続けてくださっている患者さんもおられます。その方たちがずっと安定を維持して地域生活に溶け込み、入院をせずに通院で何とか維持できているのは何事にも代えられない喜びです。そうするとご本人たちも自信がつきやすくなり、もう少しいろんなことが自分でできるんじゃないかと思うようになるんですね。それをサポートしてくれるさまざまな人たちもいるので、そういった人たちと関わってもらいながら、さらにご自身の生きがいを見つけて充実した毎日を送ってもらうことをめざし、日々患者さんと向き合っています。そして、私だけでなく、スタッフも同じ気持ちでいてくれると思います。当院の医療スタッフは日々来院される患者さん一人ひとりの症状をほとんど把握しています。とても頼もしく、誇りに感じています。

今後の展望についてお聞かせください。

精神科医学というものは進化しつつあり、新たな治療法が毎年、毎月出ることも。発達障害や認知症などの社会支援も進んでいますし、私たち医師も常に勉強していかなくてはなりません。投薬についてもたくさんの選択肢があります。例えば飲み薬だけでなく注射の方法をとることで毎日服薬する手間を省くことが期待できます。その方に合った方法を導入していくため、ご本人にも理解していただけるような工夫をしていきたいと思いますね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

長瀬幸弘先生 たかつきクリニック6

精神科クリニックは他の科に比べると入りづらいと思われがちですが、私どものクリニックは若い方から認知症を患っているお年寄りまで来院していただいております。そもそも精神科は「心の病気」を診るところとよくいわれますが、では心はどこにあるかというと科学的には脳なんです。胃や腸、肝臓、腎臓などの体の一部と同じく脳を診る科だと捉えていただければ偏見も少なくなるのではないでしょうか。昨今、精神科のクリニックへの受診は随分ハードルも下がってきていますので、些細なことでもご相談ください。気軽に門を叩いていただければと思います。多様な患者さんや地域から必要とされるサービスを提供できるように努めてまいります。

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