蔦木 洋平 院長の独自取材記事
つたの葉デンタルクリニック・歯科口腔外科
(横浜市青葉区/江田駅)
最終更新日:2024/10/25

東急田園都市線の江田駅から徒歩1分の「つたの葉デンタルクリニック・歯科口腔外科」。蔦木洋平先生が院長を務める同院は、開業12年目を迎える地域密着型の歯科医院。大きなガラス窓からは北欧調のインテリアでまとめられた院内を見ることができ、夜にはライトアップされ、しゃれたたたずまいがひと際目を引く。車いすやベビーカーのままユニット横まで入ることができるバリアフリー設計の院内は、木のぬくもりを感じる居心地の良い空間。患者の話を「しっかり聴き、しっかり診る」、何よりも患者の気持ちに寄り添った診療を大事にする蔦木院長は、優しく穏やかな語り口が印象的な歯科医師。精度の高い検査・診断、正確な治療をモットーに掲げる同院は、医療機器にもこだわる。自身の地元である青葉区で日々患者と向き合う蔦木院長に話を聞いた。
(取材日2024年6月5日)
患者の不安・緊張軽減に配慮した院内設計
開業までの経緯を教えてください。

大学卒業後、東京医科歯科大学大学院顎顔面外科学講座に入局しました。幅広い視点で口腔の疾患を診る必要があると考えて口腔外科を選択。大学病院には親知らずの抜歯などの小手術から、全身麻酔下で手術が必要な入院患者さんまで大勢いらっしゃいますから、新人であっても多くの経験を積むことができました。開業医ではなかなか経験できない治療に携れたことは、自分の財産だと思っています。その後は大学の関連病院である市立甲府病院歯科口腔外科の副医長、青葉区の小児歯科クリニックで医長を経験。さまざまな医療機関で多角的に口腔疾患の診療に携わった経験を生かして、皆さんの口腔の健康、そして全身の健康維持にもつながる歯科医療に取り組んでいきたいと考え、自分が生まれ育った青葉区で開業しました。現在はクリニック以外でも経験を生かし、東京医科歯科大学病院で研修医の指導を行っております。
院内は開放感があり、居心地が良いですね。
患者さんにリラックスして治療を受けていただけるよう、診察室はプライバシーに配慮した半個室になっています。オープンスペースに高めのパーティションを配すなど、患者さんの動線を意識した造りになっていて、診療室で患者さん同士が顔を合わせることはほぼありません。メンテナンスの患者さんには、アロマが香る快適な予防専用の個室でクリーニングを受けていただきます。また、当院では初診の患者さんには、カウンセリングルームでゆっくりとお話を聞かせていただいています。医科では医師が患者さんの症状や訴えをヒアリングして、一通り聞き終わってから診察台に上がり、検査や触診などを行いますが、多くの歯科医院では患者さんは診察台にいきなり座らされてしまいます。こういった当たり前の習慣が実はとても不自然で、患者さんの不安や緊張をあおることになるのではないかと考え、このような場所を設けています。
特に重きを置いている診療は何でしょう?

何か一つに特化するというよりは、虫歯や歯周病の治療、入れ歯、インプラント治療、口腔外科など一つ一つの診療のレベルアップに努めています。当院はお子さまからお年寄りまでさまざまな年代の患者さんが来院されますから、一人ひとりの満足度をいかに上げていくかが課題です。それこそが当院のような町のかかりつけ医に求められる大事な役割だと思っています。口腔外科に関しては自分の専門分野ですので、親知らずの抜歯から顎関節症の治療、口腔内の粘膜疾患など、専門的な対応が可能です。口の中のできものを取るなど、簡単な小手術も当院で行っています。
患者の望むことを敏感に察知し、治療方針へつなげる
先生が歯科医師になろうと思われたきっかけは?

生涯続けられる仕事として何か資格を取りたいと思っていましたが、歯科医師になりたいと思っていたわけではありませんでした。意外と言われるのですが、小さい頃は体が弱く何度か入院生活も経験しました。その頃から体の不思議さみたいなものを考え、自然と医療系の仕事に興味を持ち、さらには手先が器用だったこともあり歯科医師の道へ進みました。歯科医師になったからには、いずれは開業し地域医療に貢献したいと考えていましたし、開業するなら地元の青葉区でと決めていました。やはり地元は居心地が良いですよ(笑)。2013年の開業から12年目を迎えることができたということは幸せですね。
患者さんと接する際、大切にしていることは何でしょう?
大学病院では高度な専門性の医療技術を学んできましたので、この経験を次は地元住民に還元したいと思い、開業しました。医学的に正しくても、患者さんがそれを望まないということがあります。代表的なのは、神経を取る、取らない、歯を抜く、抜かないというケース。患者さんの訴えをどれだけ的確に捉えて、どう治療していくのかというプロセスを大事にし、その中で自分の持っている知識と技術を精いっぱい出せるようにしています。だからこそ、患者さんが何を望んでいるかに対しては敏感になりますね。歯の治療は1回で終わるものではないので、患者さんのちょっとしたしぐさや表情で気持ちをくみ取るよう心がけています。
医療機器に対するこだわりを教えてください。

超高齢社会の中、高血圧症や心疾患、肝・腎疾患、糖尿病などの持病のある方でも、安心して歯科治療が受けられるよう機器を充実させています。2024年6月からCAD/CAMインレーの製作工程においてデジタル印象採得装置、いわゆる「口腔内スキャナー」を用いた診療が保険適用になりました。患者さんにとって有用性が高い機器ですので、もともと導入については前向きに考えており、2023年末から具体的な導入準備に入っていたのですが、その数ヵ月後の2024年春、この診療方法が保険適用になるという報にふれることに。偶然ですが、良い時期に導入をすることができました。患者さんの中には、型採りのための印象剤を口の中に入れると嘔吐反射を起こす方がいます。口腔内スキャナーを利用すれば、その不快感の回避が望めるだけでなく、治療時間の短縮化、肉体的および心的な負担の軽減にもつながります。
重視しているのは話をよく聞き、丁寧に説明すること
先生の診療方針を教えてください。

常に患者さんの立場になって考え、話をよく聞くことです。いくら良い治療でも患者さんが納得できないなら意味がないので、できる限り患者さんの希望を尊重した治療を心がけています。患者さんに納得いただくために必要不可欠なのはわかりやすい説明です。ただ、この“伝える”という作業が、実はとても難しいのです。口頭の説明だけでは不十分ですから、口腔内カメラや歯科用CTの画像をお見せしたり、虫歯や歯周病のメカニズムが一目でわかる模型などを使って、視覚に訴える説明を行います。模型には触れていただくこともできますので、患者さんの理解度は大幅にアップするはずです。
今後、どのような治療に力を入れていきたいですか?
義歯で苦労されている方が結構いらっしゃいます。何度も調整してもらっても、フィット感が足りない、痛いなど。そういう時に、義歯の下にインプラントを埋め込むインプラント義歯を提案します。義歯が痛いのは、動くからなんですね。動かなければ痛くないはず。ではどうしたら動かなくなるのか、入れ歯にもいろいろありますが、歯が少ない方や粘膜が薄い方の場合、通常の入れ歯ではフィットさせていくのが難しい場合があります。そのような時に、例えば2本だけインプラントを入れて、その上に義歯を乗せることで、安定させていきます。インプラントは管理が大変ですが、本数が少なければ負担も少ないですし、上に乗せる義歯は取り外しができるので管理がしやすいため、義歯で悩んでいてインプラントに前向きな方に適した治療法の一つだと思います。
最後に読者へメッセージをお願いします。

歯科医師ですから歯科治療はできて当然なのですが、一生懸命治療をして、患者さんと症状の改善をともにめざしたり、心から喜んでくれる方がいたりすると、この仕事をしていて良かったと思うもの。慣れ親しんだ地域の皆さまに支えられ、開業から12年目を迎えられたということは幸せですね。一人ひとりの患者さんの気持ちに寄り添い、自分が持っている治療の引き出しの中から提案し、しっかり説明すること。お口の中の所見を取って、診断して、説明して、治療して結果を得る。その過程は変わりませんが、それぞれの過程の質を上げていきたいと思って取り組んできた11年間であり、これからもそうありたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/1本38万5000円~、インプラント義歯/22万円~