川本 晃也 院長の独自取材記事
川本歯科医院
(杉並区/東高円寺駅)
最終更新日:2026/04/07
東京メトロ丸ノ内線・東高円寺駅から徒歩10分の場所にある「川本歯科医院」は、1951年の開業以来70余年、地域密着の診療を続けてきた。先代である父と兄から歴史ある同院を引き継いだ川本晃也院長は、ユーモアにあふれ、気さくで話しやすい先生。予約制を取らず、困った時はいつでも駆け込める診療体制も同院の大きな特色だ。歯科を通して患者の健康を守りたいと願う川本院長に、同院の特徴や診療方針、今後の診療体制の展望などについて話を聞いた。
(取材日2018年12月14日/再取材日2025年10月29日)
予約制を取らず、患者の利便性を重視
こちらの歯科医院の特色を教えてください。

予約制を取っていないことが大きな特色です。父の代から、歯はいつ痛くなるかわからない、痛くなったらすぐに来ていただいて治療ができるように、という考えから予約を取らないようにしてきました。2回目以降の治療でも、いつ頃に来てくださいとはお伝えしますが、その前日に来ていただいても違う日に来ていただいても構いません。痛くなったらすぐに診られる、詰め物やかぶせ物が取れたらすぐに治療できるという姿勢は変えたくないですね。予約制でないことは、患者さんにとって利便性が高いと思います。ただ、最近は患者さんをお待たせすることが多くなっているので、待ち時間をいかに短くするかということも考えています。
治療の際に心がけていることは何でしょうか?
歯は28本、親知らずを入れると32本で1つの器官です。まずは、歯を失わずに残せるようしっかり治療します。そして、どうしても残せない歯はやむを得ず抜歯になりますが、28本の状態を保つためにブリッジ・入れ歯・インプラントで補うことが大切です。また噛み合わせも大事です。噛み合わせがずれると効率良く食事を摂取できないだけではなく、顎の関節にも障害が出やすくなります。顎は体の中で1つの動きに対して2つの関節がある唯一の器官です。この関節のバランスが崩れると、顎関節症や頭の痛み、腰痛などを引き起こすこともあります。私が歯科医師になった当時から今に至るまで、このことを常に意識しながら治療に注力しています。
患者さんとのコミュニケーションで大切にしていることを教えてください。

治療内容を十分に理解していただくために、専門用語をなるべく避けて、わかりやすく説明するよう努めています。治療方法を選択していただく際にも、それぞれのメリットやデメリットを説明するために、時には模型を見せたり絵を描いたりします。例えば、差し歯というと歯茎に差す物だと思っている方が多いのですが、実際は歯の根っこを残してそこに差しているんですね。それを絵に描いて説明させていただくと、患者さんも理解しやすいかと思います。また、ただ話すだけでも気持ちが楽になるということもあると思いますので、じっくりお話しして、患者さんに元気になってもらえたらうれしいですね。
感染対策を重視した体制を築く
歯科医師を志したきっかけを教えてください。

幼少の頃から、飛行機の模型やプラモデルなどを作るのが好きでした。そこから始まって、将来は義手や義足を作りたいと考えるようになったのが小学生の時です。結局それが入れ歯作りになった、ということでしょうか(笑)。中学に入る頃には将来は医師か歯科医師になろうと決めていました。その後、歯科医師のほうが向いているのではないかと考え、大学受験の時に進路を決めました。早くから医療関係に進もうと考えたのは、やはり両親の影響でしょうね。私が生まれた時にはすでに開業していて、その背中を見て育ちましたから。親から医療の道をめざすように言われたことは一度もありませんでしたが、働く姿を見ているうちに、憧れを抱くようになったんだと思います。
日本大学歯学部ではどのような研究を行っていたのですか?
日本大学歯学部総合歯学研究所材料研究室という、通称「材研」と呼ばれる研究室に籍を置いていました。ここでは、型採りに使われる印象材の研究や、型採りや石膏を流し込む際に付着した細菌をいかに取り除いて感染を抑えるかという研究をしていました。肝炎やエイズなど感染に関する病気に注目が集まっていた時期でしたから、興味を持ったんですね。そこで学んだことが、現在当院における感染対策に役立っています。感染対策が特に重要なインプラント治療は休診日である土曜に行うのですが、その日はスタッフしか診察室に入れませんし、部屋中を全部滅菌の状態にしてから行います。インプラント治療では、細菌感染を防ぐことが治療を進めるためにも重要となります。滅菌器も、高温高圧の飽和蒸気によるオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)の中でも高水準の物を導入しています。
先生のお子さんも歯科医師なのですね。

私の娘は日本大学歯学部を卒業した後、研修医として2年勤め、その後は大学で小児歯科を学び、現在は東京科学大学で歯周病を専門に従事しています。少し先の話ですが、将来的には当院で娘と一緒に診療を行っていく予定ですので、その際には二人診療体制に対応できるよう、院内設備やインテリアなどまで具体的に話し合っていかなくてはいけませんね。すでにユニットも2台設置していますが、患者さんにより良い治療を提供するための体制を整えるつもりです。今までどおりの予約なしの体制に加えて、娘が担当する患者さんは予約制にするなど、両立ができると良いのではないかと考えています。
全身の健康を守る地域密着型の歯科医院であり続けたい
往診も長く続けられているそうですね。

要請に応えるかたちで始めたのですが、往診を始めてもう数十年になります。行き先は病院や介護老人保健施設、後は杉並区診療所からの委託です。往診では100%の治療ができるわけではないので、ジレンマを感じることもあります。患者さんの中には口を開けることに抵抗を感じる人もいますし、新しい入れ歯を受け入れない人もいます。ただ、往診に行く以上は、患者さんが普通の食事を取ることができるようにして差し上げたいですね。施設で食べるミキサー食では味がわからず、唾液腺の機能が低下し、それが進むと口腔乾燥症になります。そうすると、口腔内の菌が増えるんですね。反対に、歯でよく噛めることは、食事だけでなく、口の中全体の健康にとっても重要なことなのです。診療を行うことで、元気になるための手助けができたらうれしいですね。
まさに食べることは、健康の源ですね。
当院では、父親の代から「護歯延齢」を診療のモットーにしてきました。健康のためには歯を守ることが大切、という考え方です。歯が悪いと消化器に負担をかけ、噛み合わせが悪いと腰痛など整形外科的な病気につながる。また心臓の病気、糖尿病など他のあらゆる病気につながりやすいと最近よく言われていますが、これは今に始まったことではなく、当たり前の話だと思います。歯を治療するのも予防するのも、ご本人の意識次第です。歯科医師は、痛みを和らげるためのお手伝いや治療などはできますが、大切なのは患者さんの力だと思います。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

「人在りて我在り、他を思いやり、慈しむ心」、そしてそれが「仁」である、と順天堂大学の学是にあります。この言葉は「人に一番必要なものは、自分のことばかりではなく、他人の立場になって考えること」といった意味です。歯科治療は、他の診療科以上に患者さんの協力が欠かせません。治療の多くは通院を重ねる必要があり、毎日の歯磨きなどセルフケアが治療結果に大きく影響するからです。また、治療計画が必ずしも予定どおり進むとは限りません。だからこそ、複数の選択肢やリスクを患者さん目線でわかりやすく説明し、納得いただいた上で治療を進めることを大切にしています。より良い医療を提供するためにも環境面だけでなく、講習会に参加し、新しい材料を学ぶなどブラッシュアップし続け、娘と2人の新たな体制での診療へとつなげていきたいと思います。親子で親しまれる歯科医院をつくることが今の目標です。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/35万円~、義歯/15万円~

