阿部 純久 院長の独自取材記事
阿部内科クリニック
(相模原市南区/相模大野駅)
最終更新日:2026/06/26
相模大野駅からすぐの商業施設にある「阿部内科クリニック」。阿部純久院長は、大学病院の循環器内科で心臓カテーテル治療に携わり、救急対応も数多く経験してきた心疾患の専門家。これまでの経験を生かし、地域に根づいた医療を提供したいと2013年に開業した。同院では循環器内科や、循環器疾患の予備軍である生活習慣病のほか、風邪などの一般内科にも幅広く対応。北里大学病院をはじめとする専門施設との連携にも力を入れ、地域医療に貢献している。穏やかで優しい笑顔が印象的な阿部院長に、クリニックの特徴や診療に込める思いを聞いた。
(取材日2026年3月12日)
循環器内科での経験と新鋭機器で、質の高い診療を追求
クリニックの特徴を教えてください。

長年、循環器領域で培ってきた経験を地域で生かしたいと考えて開業したクリニックです。循環器では、心筋生検を含むさまざまな検査で確定診断を行い、治療法を選択するところまで、自分でほぼ完結できるレベルの経験を積んできたと自負しており、しっかりと診ていくことが可能です。もちろん地域の内科クリニックとして、風邪や腹痛といった一般的な症状にも対応しています。こうした日常的な疾患を診ていると、今さらながら新たな発見があり、とても興味深く感じていますし、専門分野以外も幅広く診療できるよう努めています。また、循環器疾患の予備軍ともいえる生活習慣病の治療にも積極的に取り組んでおり、看護師と協力して減塩などの食事指導を行っています。動脈硬化性疾患の早期発見にも注力しており、頸動脈エコー検査を活用しています。高血圧症や脂質異常症、カテーテル治療後の患者さんに対しては、オンライン診療も取り入れています。
循環器診療において、直近での変化などはありますか?
心臓の動きを調べるデバイスの進歩は、近年目覚ましいものがあります。当院でもこれまで24時間ホルター心電図を活用してきましたが、新たに最大7日間まで測定できるホルター心電図を導入しました。不整脈が毎日起こる場合は24時間の測定でも十分ですが、週に1〜2回といった頻度で起こるケースも少なくありません。そのような場合には、より長期間測定することで不整脈を発見できる可能性が高まります。また、最近では市販のスマートウォッチでも、上位機種には心電図機能を備えたものが多く、異常を早期に察知することが可能です。比較的手頃な価格で入手できる製品も増えてきており、気がかりがある方にはお勧めする機会が増えています。
オンライン診療はどのように活用しているのでしょうか。

午前と午後の診療の合間といった隙間時間を活用して行っています。対面診療との併用が前提ではありますが、オンライン診療であれば移動や待ち時間が不要なため、仕事や子育てで忙しい方でも効率良く受診できます。オンライン診療には2つのタイプがあります。1つは生活習慣病の定期受診です。高血圧症、脂質異常症、軽度の糖尿病の方については、一部をオンラインで対応することがあり、足の悪い方や遠方の方でも移動の負担なく受けられる点がメリットです。もう1つが発熱患者さんの診察です。当院は設計上の制約から出入り口が1つしかなく、空間にも限りがあるため、感染リスクのある発熱患者さんを直接対面で診察することは困難です。しかし、オンラインであれば感染リスクを避けながら診察することが可能です。
「患者のため」を基本に、何ができるかを考える
地域連携にも熱心に取り組んでいると伺いました。

開業から10年以上たち、近隣の病院とのネットワークは広がり続けています。北里大学病院とは胸痛ホットラインを結んでおり、患者さんをすぐに搬送できる体制を整えています。北里大学病院には直接顔を合わせたことのある先生も多く、スムーズに受け入れていただけるのは本当に頼もしい限りです。また、相模原病院も緊急の患者さんを受け入れてくださっており、とてもありがたく感じています。最近では、逆にこうした病院から症状の安定した患者さんをご紹介いただくことも増えています。さらに、近隣の消化器内科、泌尿器科、皮膚科、整形外科、脳神経外科などのクリニックとの連携も深まっており、循環器疾患が疑われる患者さんをご紹介いただく機会も多くなっています。
患者さんに接する際、心がけていることはありますか?
基本コンセプトは「For the patient(患者さんのために)」、「ホスピタリティー」、そして「コミュニケーション」です。患者さんのためにというのは当たり前のことですが、困っている方の話をよく聞いて診察し、診断に必要な検査を行う。つまり、その人に対して何ができるかを考えて接しています。私が話すよりも患者さんに話してもらい、その方のキャラクターを理解することが大切ですね。また、スタッフ間のコミュニケーションも同様に重要で、定期的にミーティングを行い、それぞれの立場から意見を出し合う時間をつくっています。ホスピタリティーに関しては、電話応対の統一や、足が不自由な方にはこちらから近づいてお話を伺うなど、教育も含めて、患者さんが心地良いと感じられる環境づくりを引き続き進めていきたいと考えています。
患者さんとの印象的なエピソードはありますか?

勤務医時代、検査をしても特に異常が見つからなかった患者さんがいましたが、2回目の診察の際にぽつりと話された日常の出来事が、原因究明につながったことがありました。初診時には踏み込んだ話まではできませんが、相手の様子を見ながら話し方を変えていくと、次第に患者さんのほうからさまざまなことを話してくださるようになり、そこから原因の発見につながることがあるのだと学びました。また、開業初日が大雨の荒れた天候だったにもかかわらず、朝9時には前の病院で診ていた患者さんが来てくださり、さらに「高齢なので通うのは難しいかもしれない」と言われていた患者さんまで来院してくれました。本当にうれしかったですね。
心疾患の予防に取り組み、安定期を長くフォロー
話は変わりますが、先生が医師を志したきっかけは?

私は宮崎県都城市の出身で、父が薬局を開業していました。近くに病院はなく、医院も数軒のみで、熱が出ると父のところへ薬を求めて来る人もいました。休みもほとんどなく、朝7時半から夜9時半頃まで店を開け、夜中に自宅の呼び鈴を鳴らして解熱剤を求める人にも嫌がらずに対応する父が、私に医師になることを勧めたんです。当時の私はトランペットを吹くブラバン少年で(笑)、医師になる気はなかったのですが、結局、高校の途中くらいで医師をめざすことを決めました。もともとは父に勧められて選んだ職業でしたが、今ではこの仕事が好きで、自分に向いていると感じますし、医師になって良かったと思っています。
循環器内科を専門に選んだ経緯についても教えてください。
私が医学部を卒業した頃は、その後の2年間で内科全領域を経験できた時代で、血液、腎臓、膠原病、消化器、呼吸器、循環器、神経と、各専門分野の知識を幅広く学ぶことができました。その後の2年間は関連病院に配属され、実際に主治医として患者さんを診ていくのですが、勤務初日には急変した患者さんの気道を確保するために気管チューブを挿入する「気管挿管」が必要となる場面がありました。その時は先輩の先生に対応していただきましたが、以後は教本を繰り返し読み、さまざまな手技を身につけていきました。こうして最初の2年間で内科の基礎を学び、続く2年間で実務を経験しました。この間、自分の手技で治療を行い、素早い判断で勝負するカテーテル治療に魅力を感じ、循環器内科に進むことを決めたのです。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

心疾患のリスク因子となる生活習慣病の治療や管理に取り組むと同時に、すでに心疾患を抱えている方についても、治療と二次予防の両面から支えていきたいと考えています。最近は慢性心不全の患者さんが少しずつ増えている印象もあります。心不全になると入院加療が必要になることもありますが、当院では専門施設と連携しながら、できるだけ安定期を長く保てるようフォローしていきたいですね。また、歩くと息苦しい、胸が痛い、動悸がする、といった症状がある場合は注意が必要です。特に更年期世代の女性では、「胸が苦しい」「動悸がする」と受診される方が少なくありませんが、貧血などが原因のことも多くあります。動脈硬化による病気と紛らわしいケースもありますので、調子が悪い、不安がある、困っていることがあるといった場合には、どうぞ気軽に受診してください。

