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大岩 一平 副院長の独自取材記事

大岩医院

(墨田区/押上(スカイツリー前)駅)

最終更新日:2026/10/15

大岩一平副院長 大岩医院 main

曳舟駅から徒歩7分。下町のぬくもりが息づく墨田区向島に、1930年開業の「大岩医院」はある。曽祖父の代から地域の女性たちを見守ってきた同院は、壁に描かれた趣ある絵画や充実の設備が、その歩みの深さを物語る。4代目にあたる副院長の大岩一平先生は、大学病院や総合病院で産婦人科の研鑽を積んだ後、ウロギネコロジーと呼ばれる女性泌尿器科の専門性を携えて故郷に戻ってきた。婦人科の視点から排尿の悩みや骨盤底のトラブルまで幅広く診られるのが大きな強みだ。「患者さんが話しやすい雰囲気づくりを心がけています」と穏やかに語る姿には、デリケートな悩みを抱える女性に寄り添おうとする誠実さがにじむ。専門分野のことや地域医療への思いを聞いた。

(取材日2026年9月16日)

曽祖父の代から続く地域の医院で、骨盤底の専門医療を

まずは、こちらで診療を始められた経緯をお聞かせください。

大岩一平副院長 大岩医院1

私は墨田区の向島で生まれ育ちました。当院は曽祖父の代から産婦人科として地域医療を担い、昔はお産も手がけていた歴史ある医院です。現在は父が3代目の院長として診療を続けています。小さい頃から父が患者さんと向き合う姿をずっと見てきましたので、医師という職業は自然と身近に感じていました。ただ、家業を単に継ぐのではなく、自分自身もしっかり専門性を身につけて患者さんの健康に携わりたいという思いがありました。卒業後は大学病院や関連病院で産婦人科の研鑽を積み、さらに骨盤底医療の専門性を磨いてきましたが、受け継がれてきたこの建物で地域に貢献したいという気持ちから、2026年6月に戻ってまいりました。現在は婦人科と女性泌尿器科に絞って診療しています。

先生の専門分野について教えていただけますか。

ウロギネコロジーとは、ウロロジー(泌尿器科)とギネコロジー(婦人科)を組み合わせた造語で、日本語では「女性泌尿器科」とも呼ばれています。海外では産婦人科医師のサブスペシャリティーとして確立された分野ですが、日本ではまだあまりなじみがないかもしれません。扱うのは婦人科の臓器だけでなく、膀胱など排尿に関わる領域や、膣から臓器が下がってくる骨盤臓器脱といった女性特有の症状も含みます。骨盤底筋の緩みを治療して機能を回復させることが大きな目的で、お薬で頻尿の改善をめざす方法から、外科的に下がった臓器を戻すための手術まで幅広い選択肢があります。がん治療などが「生命予後」を扱うのに対し、排尿機能など日常の暮らしに関わる「機能予後」を扱う点がこの分野の大きな特徴です。

産婦人科の中でもこの分野を選ばれたきっかけを教えてください。

大岩一平副院長 大岩医院2

もともと他の診療科も考えていたのですが、産婦人科に進む前にお産と婦人科がんの患者さんのお看取りを同じ日に経験する機会がありました。人間の生と死をこれほど間近に感じられる分野は他にないのではないかと衝撃を受け、産婦人科に強く惹かれたのがきっかけです。家が代々産婦人科であったことも土台にはあったと思います。その中でウロギネコロジーの道に進んだのは、手術の奥深さゆえです。この分野は術者の技量によって患者さんの予後が大きく変わってきます。うまくいった時に患者さんから感謝していただけることも大きなやりがいとなりました。最初からこの領域を志していたわけではありませんが、携わるうちにやりがいの深さを実感し、専門として選びました。

婦人科の視点を強みに、デリケートな悩みに向き合う

どのような症状がある時に受診するといいのでしょうか。

大岩一平副院長 大岩医院3

ご相談の中で特に多いのは膀胱炎や頻尿、夜間頻尿です。一つの目安として、日中に8回以上トイレに行く場合や、夜間に1回以上起きてしまう場合は受診を考えていただきたいですね。急に強い尿意を感じる、産後にお子さんを抱っこした時に漏れてしまうといった症状も対象になります。「年のせいだから仕方がない」と考えてしまう方が多いのですが、実は病的な頻尿が隠れていることもあります。特に産後は骨盤底筋がかなり緩みやすく、そのままにしておくと将来の骨盤臓器脱や尿失禁につながる恐れがありますので、産後ケアなども活用しながら早めに治療を始めていただきたいです。来院される方は更年期世代を中心に幅広いのですが、長年我慢してこられた方にこそ、早めの受診をお勧めしたいですね。

力を入れている診療や、強みについて教えてください。

婦人科的な観点から診察できるところが当院の強みだと考えています。頻尿の背景に子宮筋腫などの婦人科疾患が隠れているケースもあり、排尿の問題と婦人科の診察を合わせて行うことで、原因をより見極めやすくなります。婦人科と泌尿器科のどちらを受診すべきか迷われる方も多いと思いますが、骨盤底に詳しい医師が窓口として診察することで、その判断もしやすくなります。詳しい検査や治療が必要な場合には泌尿器科などの専門機関にご紹介しますし、私自身も週に1回は東海大学八王子病院で外来と手術を続けていますので、手術が必要なケースのご相談にも対応できます。ありがたいことに、当院の専門性を調べて遠方から来てくださる方も増えてきました。

患者さんとの向き合い方で大切にされていることはありますか?

大岩一平副院長 大岩医院4

女性泌尿器のお悩みはデリケートな問題ですので、ご本人からはなかなか切り出しにくいことが多いものです。そのため、なるべく患者さんが話しやすい雰囲気をつくることをまず大切にしています。問診ではこちらから、「どういう時に漏れますか?」など生活の場面に即した具体的な質問を投げかけて、患者さんが答えやすいきっかけをつくるようにしています。漠然とした聞き方よりも、場面を絞ったほうがお話しいただきやすいと感じているからです。そうして伺った内容はさらに詳しく掘り下げていきますので、問診にはかなりの時間をかけています。内診が必要な場合もありますが、抵抗のある方には問診と最低限の触診で対応します。内診を行う際にはしっかり説明し、ご理解いただいた上で進めることを大切にしています。

骨盤底から、女性の健康と生活の質を支えたい

院内の雰囲気づくりで工夫されていることはありますか?

大岩一平副院長 大岩医院5

不安を抱えて来られる患者さんが気を落としてしまわないよう、院内は明るい雰囲気づくりを大切にしています。当院の受付スタッフはハキハキとした対応で人当たりが良く、診察前のちょっとした声かけなどもきめ細かく行ってくれています。デリケートな問題を扱う診療科だからこそ、そうした日々の気遣いが患者さんの安心感につながると考えています。また、私が着任した際にウェブ予約やキャッシュレス決済を導入し、受診から会計までスムーズに進められる体制を整えました。こうした仕組みを整えたことで若い世代の来院も増え、生理痛や子宮内膜症のご相談で予約を取られる方もいらっしゃいます。下町の温かい地域柄、気さくに話しかけてくださる患者さんが多いのもうれしいところです。

地域の中で、どのような存在でありたいとお考えですか?

婦人科と女性泌尿器科として地域に貢献し、女性の体のトラブルについてまず相談できる存在でありたいと考えています。骨盤臓器脱のようにあまり知られていない疾患もありますが、まずはそうした病気の存在を知っていただくことが大切です。気になる症状に少しでも心当たりがあれば早めに受診していただくことで、予防につなげられるケースも多いのです。そうした思いから、ブログやSNSなどでの情報発信にも取り組んでいます。地域の皆さんが気軽に相談できる場所をこれからもつくっていきたいと思っています。

最後に受診を迷っている方へメッセージをお願いします。

大岩一平副院長 大岩医院6

女性泌尿器の悩みはデリケートな問題ですから、受診のハードルが高いのは十分に理解しています。ただ、こうした症状は決して恥ずかしいことではありません。「もしかして私だけ?」と考えて人に話せずにいる方もいらっしゃいますが、同じ悩みを抱えている方はご自身が思っている以上にたくさんいます。専門の医師に早めにご相談いただければ、日常生活の質を上げるお手伝いができると考えています。女性泌尿器科という相談先があることを、ぜひ知っていただきたいです。頻尿や尿漏れなど排尿のことで気になる症状がありましたら、遠慮なくご相談ください。骨盤底から皆さんの健康と暮らしを支えていきたい、それがこの地域に戻ってきた私の一番の思いです。