佐藤 元律 副院長の独自取材記事
竹の塚糖尿病内科・ヒフ科
(足立区/竹ノ塚駅)
最終更新日:2025/01/15

竹ノ塚駅から徒歩6分、閑静な住宅街の一画にある「竹の塚糖尿病内科・ヒフ科」。元は皮膚科専門のクリニックだったが、2024年7月に佐藤元律先生が副院長に就任し、糖尿病・内分泌内科が併設された。佐藤元泰院長は、皮膚科を専門とする医師として30年以上この地域に従事。元律副院長は糖尿病と内分泌代謝科を専門とし、安易な投薬を避け、食事や運動など生活習慣の見直しをメインとした治療に努めているという。糖尿病をはじめとする高血圧、脂質異常症、痛風などの生活習慣病全般に加え、内分泌代謝科のスペシャリストとしてバセドウ病や橋本病など甲状腺疾患の診断治療も得意としている。「慢性疾患に悩む患者さまの生涯を支えていきたい」と心意気を語る元律先生に、診療の特徴や大切にしていることについて話を聞いた。
(取材日2024年12月9日)
生活習慣改善による根本的な治療をめざす
クリニックのコンセプトや信念を教えてください。

当院は皮膚科と糖尿病・内分泌代謝科、甲状腺の診療を専門とするクリニックとして、専門性に特化した医療の提供を信念にしています。医師が開業する場合、麻酔科以外は専門でなくても、看板に書く、つまり標榜することが可能です。特に皮膚科は、昔から標榜しやすい診療科の一つでした。そのような状況でも私の父である元泰院長は、皮膚科専門の医師としてのプライドを持ち、皮膚疾患に特化して適切な治療を提供する数少ないクリニックとして30年以上足立区で従事してきました。足立区は糖尿病患者が多いのにもかかわらず、残念ながら糖尿病専門の医師、内分泌代謝科専門の医師が非常に少ない地域です。私も父の姿勢を尊敬し、糖尿病と内分泌代謝科を専門とする医師として地域の患者さまの健康を守れるよう専心していきます。
診療の専門性を非常に大切にされているのですね。
専門の医師でなくても診断や処方ができる疾患は多いです。しかし根本的な解決を図るなら、専門家に相談するのが適切だと考えています。糖尿病や高血圧、脂質異常などのいわゆる生活習慣病は他の疾患と違い、薬さえ飲めば完治するという病気ではありません。根本的な改善には食事や運動などの生活習慣の改善が必要で、薬はあくまでも足りない部分を補うための手段と考えています。定期的な検査で身体の状態を確認しながら、現在の生活習慣の問題点を丁寧にヒアリングする。そして食事と運動の指導を行いながら、必要十分な処方薬で改善につなげていきます。生活習慣の指導もマニュアルどおりの指導を行うのではなく、患者さま一人ひとりのライフスタイルに合わせた内容を提供するのが重要なので、専門性が高い、よりその疾患のエキスパートに診てもらうべきです。
そもそも糖尿病とはどんな病気か教えてください。

糖尿病は、インスリンが出づらくなるインスリン分泌低下や、肥満などによりインスリンが効きづらくなるインスリン抵抗性が生じたために、血液中のブドウ糖(血糖)が細胞に取り込めなくなり、血液中にブドウ糖が慢性的にだぶついてしまう病気です。ブドウ糖の過剰な状態である高血糖状態でも自覚症状はほとんどないですが、長期にわたって高血糖状態が続くと、全身の血管にダメージを与え、さまざまな合併症が現れます。自覚症状がないからと放置していると、心筋梗塞や脳梗塞、人工透析や失明、足切断など、深刻な合併症が起こる可能性が通常の何倍も上がります。そのような事態に陥らないよう、健康診断などで血糖値が高いことを指摘された方や糖尿病家族歴がある方は、お早めに受診・治療することが大切です。
糖尿病と内分泌代謝科、甲状腺が専門性のクリニック
糖尿病・内分泌内科では、どのようなクリニックをめざしていますか?

私は、順天堂大学の糖尿病内分泌内科に10年以上在籍してきました。現在も週1回は大学病院で外来業務をしていますが非常に混んでおり、どうしても患者さま一人ひとりに丁寧なヒアリングや指導ができないことがあり、歯がゆさを感じていました。また、慢性疾患なのにもかかわらず、大学病院では転勤などもあり、同じ患者さまを長年診れないもどかしさがありました。当院の糖尿病・内分泌内科では、患者さまと膝を合わせてじっくりお話ができるよう、予約制を導入し、少ない待ち時間で質の高い診療を継続的に提供できるよう環境を整えています。また、大学病院と当院の一番の違いは「患者さまが当院の近くに住んでいることと、私が今後数十年当院に勤務すること」だと考えています。当院に受診していただいている地域の方々の健康を包括的に何十年と守っていけるクリニックにしたいと思っております。
管理栄養士さんによる栄養指導も受けられるとか。
他院であまりない取り組みとして、当院には栄養相談室があり、希望者は生活習慣病や肥満改善の知識に長けた管理栄養士による栄養指導が受けられます。約30分間、食事や運動に関する指導を十分な経験をもった管理栄養士さんが行います。医師に話しにくいこともどんどん質問し相談してください。もちろん食事指導も運動指導も、患者さまの負担になりすぎるような指導は行いません。生活習慣病の治療は、無理なペースで挫折するよりもコツコツ長く続けることが大切です。もし指導どおりの生活を過ごせなかった時も、決して患者さまを否定しません。生活習慣を変えるのは大きな労力が必要だと十分理解していますので、安心して治療に臨んでください。
内分泌代謝科を専門とする医師として、甲状腺疾患にも精通しているそうですね。

バセドウ病や橋本病、甲状腺腫瘍などの甲状腺疾患の診断や治療も、私の専門分野です。甲状腺疾患は女性に多く見られますが、「原因がはっきりしないけどなんとなく体調が悪い」といったいわゆる不定愁訴として症状が現れることが多く、病院を受診しても見逃されてしまうケースが少なくありません。疲れがなかなか取れなかったり、首の甲状腺が肥大してきたと感じる場合は、躊躇せず受診してください。初期段階で適切な治療を受ければ、生命に関わるような悪化防止が望めます。当院では血液検査で甲状腺ホルモンや抗体を調べ、超音波検査で甲状腺の腫れ具合を確認して診断します。内分泌代謝科、甲状腺疾患を専門とする医師や施設は足立区には特に少ないので、ぜひ当院にご相談ください。
患者の生涯に寄り添う覚悟で信頼関係構築を重視
元律先生はなぜ糖尿病・内分泌代謝科を専門に選ばれたのですか?

私はボディービルの大会に出た経験もあり、体を鍛えるために食事や栄養、ホルモンを考えるのがもともと好きでした。もちろん父が皮膚科として開業していたので皮膚科も考えましたが、せっかく仕事にするなら自分の好きなこと、得意なことで患者さまや地域に貢献したいと思い、食事や運動が疾患改善に直結する糖尿病内分泌内科を選びました。このクリニックに就任するまで勤めていた順天堂大学ではスポーツを科学する部門で運動や食事に関する研究をしており、今も非常勤助教として外来ももっております。特に運動療法は専門としており、2024年の糖尿病治療ガイドラインの運動療法の執筆にも携わりました。好きだからこそ学びが苦にならないので、栄養や運動に関する指導は他院に引けを取らないと自負しています。
治療する上で大事にしていること、大切にしていることを教えてください。
まず絶対に怒らないということです。指導内容が実践できなかったとしても、その人の今までの人生・生活があり、それが疾患にとって悪い習慣だとしてもなかなか変えるのは難しいのを理解しています。診察に来るという行為だけでもご本人は少なからず、変えたい、良くしたいという意思があると思うので、そこを摘んでしまうような指導はしたくないからです。当院に通うことがご本人の精神的重荷にならないよう、できたことは褒めて、少しずつでも良い方向に導いていけたらと思っています。
読者へ一言メッセージをお願いします。

糖尿病や甲状腺疾患を疑われる症状がある場合は、迷わず当院を受診してください。早い段階で適切な治療をすれば、重篤な合併症の防止も望めます。生活習慣病の治療には生活習慣の見直しが欠かせませんが、好きな食べ物の摂取が制限され、苦手な運動を取り入れなければならないことをつらく感じる方もいるかもしれません。当院では、私自身が食事や運動を実践している経験も生かし、患者さまのライフスタイルに合わせた無理のない指導を提案します。生活習慣病も甲状腺疾患も長く付き合っていかなければならない疾患ですが、患者さまが苦しく感じない無理のないペースで一緒に頑張っていきましょう。