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原 憲司 院長の独自取材記事

原整形外科内科

(足立区/千住大橋駅)

最終更新日:2021/10/12

原憲司院長 原整形外科内科 main

千住大橋駅から徒歩約3分の「原整形外科内科」。大学病院や総合病院の整形外科で経験を積み、多くの手術にも携わってきた原憲司院長が、2019年に前院長から引き継いだクリニックだ。2年の時を経て、2021年3月に医院名を改名して新たなスタートを切った。勤務医時代は人工関節置換術を得意としていた院長だが、同院では手術を回避していく保存的治療に注力。「手術を行わずともつらい症状の改善をめざせるようなケースも多い」ことを発信している。優しい笑顔とわかりやすい説明で、患者との会話を大事にする院長に、同院の治療方針や治療の特色について聞いた。

(取材日2021年3月23日)

数多くの手術に携わって気づいた保存的治療の重要性

こちらの特色を教えてください。

原憲司院長 原整形外科内科1

当院は膝の痛みや腰痛の原因となる変形性疾患を中心に、整形外科の対象となる病気やけがを幅広く診療しています。私は大学病院や総合病院の整形外科で20年以上経験を積んだ後、この地で診療されていた金子昌夫先生から2019年に当院を承継しました。患者さんが困惑するのは良くないと考え医院名は変更せずにいましたが、地域の皆さんや患者さんにも認知されてきたことから2021年3月に「原整形外科内科」と改名しました。勤務医時代は、膝の軟骨がすり減って痛みを感じる変形性膝関節症のほか、靭帯損傷・半月板損傷といったスポーツ外傷、関節リウマチなどの症例を数多く担当し、手術で治療を行っていく方法と、手術を避けた保存的治療の両方を実施してきました。当院では保存的治療に重きを置き、どうしても痛みが取れない場合には手術の選択にも対応しています。

保存的治療を重視されるのはなぜでしょうか?

私は病院で膝の関節を人工の物に変えていく人工膝関節置換術の手術を多く行い、手術後に喜んでくださる患者さんの姿を見てきました。ただ、手術して数ヵ月ほどリハビリを続ける必要があり、その後も膝の動きに違和感を持たれるケースもあるなど、すべてが以前のままとはいきません。膝周りは筋肉が少なく痛みも出やすいためリハビリテーションへのモチベーションも低くなりがちです。一方で保存的治療で膝の痛みを軽減させていくプログラムを実践していただくことで、症状の改善が期待できる場合もあります。当院で保存的治療を重視するのは、私がこれまで診た患者さんから学んだ「手術しない選択肢」を、もっと多くの方に知っていただきたいからです。また、病院ではなく当院のような医院を受診される患者さんは、もともと手術を積極的に希望されない方がほとんど。そうしたニーズに応えたいと考えたことも理由の一つです。

そのほかどんな点に注力されていますか?

原憲司院長 原整形外科内科2

エコーと一般的に呼ばれている超音波による画像診断を活用して、肩の腱板断裂や炎症、肉離れなどの症状を確認できるようにしています。例えば肩の腱板断裂を確認するには、以前はMRIのような検査機器が必要でしたが、エコーの機械の精度が向上したことで、その場で検査と診断ができるようになりました。肉離れにしても、以前はエックス線検査で骨に異常がなければ、痛みを抑える薬をお出しするしかありませんでした。しかし最近のエコーでは炎症を起こしている部分の特定や、エコーを使いながら痛み止めの注射をピンポイントに打っていくことも可能です。また、画像は患者さんにも見ていただけるので、肩の腱板が切れている部分などを一緒に確認した上で、納得して治療を受けていただくことにもつながっています。

保存的治療だけでなく提携先の病院で手術にも対応

変形性膝関節症の保存的治療とはどのようなものですか?

原憲司院長 原整形外科内科3

薬によって膝の痛みを和らげていきながら、筋力を鍛える、歩き方を変える、体重を減らしていくなどの工夫で症状の改善をめざしていく方法です。変形性膝関節症は加齢によって軟骨がすり減ることなどが原因で、歩くときに膝の痛みを感じ、やがて正座や階段の上り下りも難しくなっていく病気です。人間の体は、歩くときに膝に体重の5倍の負荷が、階段では8倍の負荷がかかるともいわれ、症状の改善には体重の適切な管理も重要なポイントです。また、歩く際に足の外側から着地するO脚の方も多く、これも膝への負荷を増やす原因の一つ。そこで膝を内向きに入れるエックス脚を意識した、踵から足の親指歩行を指導しています。大腿四頭筋の強化は膝関節の安定化や痛みの軽減にもつながっていくため、筋力の向上・維持の指導も行っています。

保存的治療が難しい場合の手術について教えてください。

膝関節の場合、患者さんの適応があれば、変形したO脚を矯正して痛みを取る骨切り術、あるいは膝関節を人工のものに置換する手術などが考えられます。人工膝関節には全置換と半置換があり、このうち全置換とは膝関節を丸ごと人工関節に置き換える手術です。膝の痛みに関連する部分を取り除いていく一方、膝の動きが機械的になってしまうために違和感があったり、階段を下りるときに不安定さが生じたりすることもあります。半置換は痛みの原因となっている部分だけを取り除いていく方法で、正常の靭帯や半月板などは温存するため、置換後の不安定さは生じにくくなります。手術による出血や腫れが少なく、全置換に比べてリハビリテーションも早く始められる傾向にあります。こうした手術は提携する草加市立病院で、私が行っています。

腰の痛みにはどのような対応を?

原憲司院長 原整形外科内科4

ヘルニア、脊柱管狭窄症、圧迫骨折といった明確な原因がある場合を除き、姿勢のアンバランスさにより腰への負荷が大きくなると、腰痛が起きやすくなる傾向にあります。特に高齢の方は大腰筋の力が落ちて、頭が前に出た前かがみの姿勢でいることが多く、本来なら腹圧と背骨で上半身を支えるはずが、背骨だけで支える状態になっています。前かがみの姿勢で歩いてしまっている姿勢を正すことが腰痛の改善、予防につながると考えています。そのため、背骨の横にある大腰筋を鍛えることで姿勢を正すことにつながり、腰痛の改善が期待できます。当院は、そうした正しい姿勢やトレーニング方法を実際に体を動かしながらご紹介しますから、痛みが続いて気になる方はご相談ください。

健康で楽しい毎日を支えるのが整形外科の役割

医師を志したきっかけを教えてください。

原憲司院長 原整形外科内科5

実家から自転車で20分ほどの場所で、親戚が小児科・内科の医院を営んでおり、以前から医療の世界は身近にありました。夏休みなどは、医院の準備を手伝ってお小遣いをもらったりしていましたね。大学受験の時は当時人気だった自動車レースへの憧れから工学部をめざしたものの、再チャレンジの時は現実路線というか、以前から親しみのあった医学部も受験し、医師になる道を選択しました。大学時代は勉強だけでなく遊びにも没頭し、2年生からはスノーボードに夢中に。午前中の講義を終えて、午後は友人たちとスキー場でスノボを楽しむなどの過密スケジュールも当たり前でしたね(笑)。

なぜ整形外科を専門にされたのですか?

膝や腰の痛みで歩くことが嫌になったり、けがで旅行やスポーツを諦めたりした患者さんの、治療が終わった後の笑顔にやりがいを感じたからです。生死に直接関わるような症状でなくても、その方のQOL(生活の質)を向上させてハッピーな暮らしを後押ししていくのは、整形外科の大きな役割と考えています。私は大学卒業後、東京医科歯科大学医学部附属病院やその関連病院で診療し、整形外科の中でも膝を専門としてきました。人工膝関節置換術も行い、亀田総合病院や湘南鎌倉総合病院に移ってからも人工関節の手術を数多く経験しました。ただ、近年は手術をせずに治療する方法、膝や腰を悪くしないための予防に関心が移り、それが当院のコンセプトになっています。

最後に診療の際に心がけていることを教えてください。

原憲司院長 原整形外科内科6

当院では患者さんから詳しく話を伺い、その方の治療目的を明確にするよう心がけています。整形外科の診療は、ご本人がどのような点に悩み、どう改善したいのかによって違ってきます。例えば膝や腰に痛みがある場合でも、高齢で近所の散歩が楽しめればいいなら、薬などで痛みを抑えていく保存的治療がいいでしょう。しかしもう少し若くて遠出やスポーツを楽しみたいのであれば、手術も選択肢として考えられる。症状と併せて、どのようになりたいかも話していただけるようコミュニケーションを重視しています。また受診は早い方が治療の選択肢は広がり、特に膝を手術しない、保存的治療も選べる可能性が高くなります。数週間痛みが続くようなら、受診していただきたいですね。

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