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井上 聡 院長の独自取材記事

千住診療所

(足立区/北千住駅)

最終更新日:2024/04/08

井上聡院長 千住診療所 main

JR常磐線・北千住駅西口から徒歩6分の商店街通り沿いにある「千住診療所」。院長の井上聡先生の父が開業して以降、約70年にわたって北千住の地域から親しまれ続けてきた診療所だ。井上院長いわく、内科・整形外科に限らず、患者の不調については、局所の症状と全身状態との関連を重視する、東洋医学的な診方を心がけているという。些細な違和感でも遠慮せず話してもらえるよう、意識的に白衣を着用せず、同じ住民という立場で話し相手になるような立ち位置を心がけている。そんなことから井上先生は「手当て」を通じてのコミュニケーションで、体はもちろん、心も元気になれる診療のために研究を惜しまない。そんな井上院長に診療について大事にしているポリシーなど、詳しく話を聞いた。

(取材日2023年11月15日)

半世紀以上にわたり北千住で診療実績のある診療所

まずは医師をめざしたきっかけを教えてください。

井上聡院長 千住診療所1

一番は、父が医師だったからでしょうか。父に似て、私は人に強制されるのが大嫌いな性格で、勤め人には向かないと思いました。また、薬剤師だった母が、向学心の旺盛な人で、私も物事を考えるのが好きなほうなので、高校3年生の時、一念発起、医学部を志す決心をしました。両親は放任主義でしたので、高校大学とラグビー、オートバイ、ボクシングといった危険と隣り合わせのスポーツに打ち込んで、肩の脱臼、目の眼球出血、顎の骨折、前歯の喪失など、大ケガをしました。今から思えば、ケガの功名と言いますか、患者さんのつらさを身をもって経験し、臨床に役立ったと思います。

お父さまの代を含めると、こちらの診療所は70年以上の歴史があるのですよね?

そうですね。父は若い頃に軍医として日本陸軍に従軍しており、帰国して数年後にここの裏手で診療所を開業したんです。当時はまだ私が生まれる前でしたので、父らの話を聞くと、手術も行い、少人数ではありますが入院患者も受け入れられる有床診療所だったと聞いています。緊急対応、夜間往診もしており、まさに地域に根差していた診療所だったのでしょう。今でも、父の代から知っているという患者さんが来られては、ざっくばらんに相談していただけるような関係性が続いています。私が診療所を継いだのは1993年で、院長歴も20年を超えるほどになりましたが、昔も今も変わらず、なんでも話し合える、診療所らしくない診療所でありたいと思っています。

どんな患者さんが、どんな主訴で来院なさいますか?

井上聡院長 千住診療所2

当診療所では内科と整形外科を扱っていますが、私が整形外科を専門としていたため、腰痛や膝の痛み、首肩の痛み、手足のしびれ、そのほかには捻挫・打撲などの主訴をお持ちの方が多く来院されます。もちろん内科の受診者も多く、風邪や腹痛などの症状から、高血圧症や糖尿病、生活習慣病まで幅広いですね。当診療所にお越しになるのは、周辺にお住まいの方がほとんどです。特に高齢者の割合が多く、全体の7割ほど。ですので、日常的に違和感があれば、雑談ついでに来院されたりと、気さくにお越しいただけているのがありがたいところです。顔見知りの方も多く、患者と医師という垣根なく人情でつながっているような関係性です。

漢方など、東洋医学を取り入れている

診療をしていく中で大事にしていることはどんなことですか?

井上聡院長 千住診療所3

大学時代の恩師が、私たちの卒業アルバムに「よく聞き、よく診て、よく治せ」というメッセージを贈ってくださいました。私も心がけていますが、当たり前のことのようで、なかなかうまくいかない。その教授先生自身も、なかなか腰痛などは診断が難しいことは直接言っていました。日常的な腰痛の8割は原因不明といわれているぐらいですから、異常個所が見つからないと、患者さんにも明確に原因をお伝えできません。手術も考慮される程度の椎間板ヘルニアのような腰痛は「これが痛みの原因です」とはっきり言えるのですが、急性腰痛、いわゆるぎっくり腰は、原因を見つけるのが難しいです。なので、患者さんの訴えを大事に、「よく聞き、よく診て、よく治す」の実践を心がけています。

特に得意な治療はどのようなものでしょうか?

漢方について学んできたこともあり、東洋医学を取り込み診療していくことは得意だと思います。なんでも西洋薬に頼るという前に、他にできることはないのかと考えて患者さんに提示していきたいですね。インフルエンザや新型コロナウイルス感染症も含む風邪に関する諸症状や、何となく変だといったような不定愁訴の診療も、よほど重症でない限り、漢方が有用な場面もあると思います。

診療で大事にしていることは何ですか?

井上聡院長 千住診療所4

患者さんとの心と体の触れ合い、手当てを大事にしています。人間の体は、脳波、脈拍、呼吸をはじめとした、さまざまな波動でコントロールされています。この波動を、必ず行う脈診により感じ取って、それに共鳴して、お互いに安心感の得られるような手当てを心がけています。私が子どもの頃のドクターは、触れるだけで患者さんを安心させてしまう名人芸の先生が多かったように思います。安心すれば、免疫が高まることが期待できます。そして笑うことでさらに治癒の促進につながります。原始的と思われる方もおられると思いますが、人間の体も関係も、基本的には太古の昔と変わっていませんから、今でも手当てが医療の原点だと思っています。万能と思われるAIでも、手当ては絶対に不可能です。

「手当て」による心と体の触れ合いが医療の原点

若い頃はラグビーやボクシングをされていましたが、今スポーツは?

井上聡院長 千住診療所5

最近はもっぱら筋力トレーニングが中心ですね。医師は体が資本ですので、週4回ほどジムに通い、なるべく体を動かして健康でいられるように努めています。やはりトレーニングで体を動かしていると、仕事から離れてリフレッシュできますからね。しっかり集中してトレーニングすると、終わった後のすっきり感がまるで違ってくる。そうしてまた気分新たに仕事に向かっていけるんです。ジムに通っていると、アスリートの方とも知り合いますし、いろんな情報交換ができることもあります。それが自分のアップデートにつながり、臨床に役立ったこともありますね。それから、年を取ってから始めたピアノも指先の感覚を養うのにいいですね。

今後、どのような診療所であろうと願っておられますか?

先日、肩の痛みを訴えて、近くの病院を受診されたら、ドクターに「肩の異常はないから、首のMRIを取りましょう」と言われたという患者さんが、当院に来院されました。もちろん、最新の医療機器の性能は素晴らしいし、頼りにはしています。でも得られる情報は体の一側面でしかありません。全身的、総合的な判断は、人間の領域です。温故知新、古きを温めながら新しきに応じていく診療所でありたいと思っております。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

井上聡院長 千住診療所6

生活に密着した東洋医学の考えは、科学が進歩しても変わらない、人間の仕組みに根差しています。現代医学で最新の科学的知見と膨大なデータを駆使して得た、病気の予防やその悪化を防ぐ生活指針も、例えばがんなら「偏食、過食をしない、嗜好品は制限する」、感染症なら「身の回りの清潔」、認知症なら「よく動き、よく話し、よく笑う」といったものが多い。これなら、江戸時代の「養生訓」のほうが、精密で具体的だと私は感じるのです。現代の生活にも通用する、昔の知恵を生かした医療を実践していく所存です。もっとも、私を知る患者さんからは、親譲りの酒好きなので、「先生、医者の不養生、地で行ってんじゃないの」と冷やかされそうです。

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