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高橋 日出雄 院長の独自取材記事

医療法人社団成風会 高橋クリニック

(足立区/大師前駅)

最終更新日:2020/04/01

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国際化が進む昨今、日本在住の外国人の数は年々増加している。貴重な労働力として日本経済を支える人材も多く、今やわが国の社会を構成する上で不可欠な存在だ。しかし、医療現場に目を移すと、外国人の患者は非常に少ない。彼らの足を遠のかせているのは、言葉や経済面の不安だという。そこにあるのは、国際化という言葉とはあまりにかけ離れた現実である。「高橋クリニック」の高橋日出雄院長は、そうした現状の中、「社会的立場や人種に関わらず、誰に対しても平等な医療を提供する」という信念のもと、多くの外国人患者を診療してきた。医学英語を駆使して真摯に治療にあたる高橋先生のもとには、遠方から通う患者も少なくないという。「医は心」の精神で治療を行う高橋先生に話を聞いた。
(取材日2015年7月2日/更新日2019年9月2日)

ガーナ出身の女性をきっかけに多くの外国人患者が来院

地域の患者さん、中でも、外国の方に広く門戸を開いておいでですね。

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開業からしばらくは近隣の患者さんが中心で、特に外国の患者さんが多いということもありませんでした。きっかけは、10年目に診たガーナ出身の女性です。ある時、その女性の近所の方から、「とてもつらそうなので、診てあげてほしい」という連絡があったのです。高熱を出して苦しんでいたので何とかクリニックに連れ帰りましたが、急性肺炎でかなり危険な状態で、1週間にわたる治療を行いました。すると半年後、彼女から赤ちゃんを抱いた写真入りでお礼のはがきが届きました。それから、周辺に住んでいるアフリカの方たちが来院するようになったのです。おそらく、日本に住む同胞のコミュニティーがあるのでしょうね。当院は日曜も診療しているので、仕事のために来日していて平日は通院できないという方もいらっしゃいます。多い時は、患者さんの半数以上が外国の方という時期もありましたよ。以来、国籍を問わず平等に診療するという姿勢を貫いてきました。

アフリカ・アジア系の方が多いのですか?

経済の変化などで、日本に働きに来ている方はだいぶ減ったようですが、それでもアフリカ・アジア系の患者さんは多いですね。やはり日曜に多くいらっしゃいます。慢性疾患をお持ちの患者さんの中には、かなり長いお付き合いの方もいます。急性疾患の場合には、国籍に関わらず診療するという当院の方針を聞きつけて、遠くから来院される方もいらっしゃいますね。日本人の患者さんは、高血圧、糖尿病、コレステロールという生活習慣病をお持ちの高齢者がほとんどです。

日曜も診療していらっしゃいますが、お休みはいつ取られているのでしょう。

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日曜診療は開業時からずっと続けていますから、休日は月に2回の火曜だけです。そこに違和感はないのですが、年を重ねるにつれだんだんと疲れが取れにくくなってきましたね(笑)。それでも、学会など仕事にまつわる用事がなければ、趣味を楽しんで余暇を過ごしています。晴れていればチョウの採集や温泉に出かけ、天気が悪ければ自宅でクラシックギターを弾いていることが多いですね。チョウの収集は、限定された時期と場所でしか採取できないチョウがいるので、信州の山奥や群馬県などいろいろな所へ行きますよ。外国へは時間の関係でなかなか行けませんが、以前はマレーシアの山まで行ったこともあります。採集したチョウはドイツ箱というガラスの箱に並べ、ナフタリンを入れて永久保存。出かけられない時は、それを眺めては楽しむわけです(笑)。

常に学びを怠らず、今も医学英語の研鑽を積む

先生が医師を志したのはどのような理由からですか?

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学生時代から、休みのたびに母の兄である伯父の外科病院に行ってはカルテの整理をしたり、手術の雑用をしたりしていて、早くから医療が身近にあったことは大きいと思います。加えて、母の家系に医療従事者が多く、その流れを受けて医師になったという気もしますね。流れの源をたどると母の伯父である黒須巳之吉先生に行き着くのですが、黒須先生は東京帝国大学を出てから今の六本木に大きな耳鼻咽喉科病院を建て、耳鼻科の医師として多くの患者さんの治療を手がけた人です。1972年に亡くなるまで精力的な活動を続けていました。黒須先生が私の医師人生のルーツであり、医師としての鑑のような存在でもあります。太い根を持つ木の幹が黒須先生であり、その枝葉に私や弟がいると強く感じますね。

開業を決めたのも、伯父さまの影響が大きいと思われますか?

少なからずあると思いますが、直接のきっかけは、大学で研究を続けるうちに「もっと直接的に病気の診断と治療に携わりたい」「患者さんの近くで診療をしたい」という思いが強くなったからです。1987年に、弟と一緒に開業しました。途中から弟は松戸の分院に移りましたが、今でも交替で診療をしています。地域の患者さんを診るという点では、当クリニックも松戸のクリニックも変わりありません。当初は小児科も含めていましたが、私の専門が消化器、弟は循環器であることから、主に心臓や胃腸の疾患、糖尿病、生活習慣病などの慢性疾患および急性疾患を中心に診ていくことにしました。

開業前、研究の傍ら海外でインターンもなさっていますね。

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アメリカで臨床研究を行うためには、日本の医学部を卒業した上で試験を受ける必要があります。私は独学で勉強し、アメリカに渡るチャンスを得ました。しかし、インターンとして働くためには、希望する総合病院にあてて自分で手紙を書いて応募し、採用されなければなりません。私も、おそらく300通ほどは手紙を書いたでしょうか。そのうち2通ほどが採用されて、ようやくアメリカのイリノイ州ロヨラ大学付属セント・フランシス病院でインターンになることができました。それでも英語はなかなか習得できませんでしたね。帰国後も暇を見つけては勉強していたので、アジア・アフリカ系の患者さんが増えてからは医学英語で診察することができました。2、3年前には、医学英語の検定試験やドイツ語検定も受けましたよ。周りは若い学生ばかりだったので、こっそりと(笑)。

社会的立場や人種関係なく、公平・平等な医療を

今、力を入れているのはどのような分野ですか?

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内視鏡検査によるがんの早期発見です。高齢の患者さんが多いので、必然的にさまざまな検査をすることになり、結果としてがんの早期発見につながるというケースがよくありますね。食道・胃・大腸の検査では「細経ファイバースコープ」を使用し、かつ検査に時間をかけないことで、患者さんの苦痛をできる限り軽減するよう心がけています。

これまでに印象的だった患者さんとのエピソードはありますか?

外国人を積極的に診るきっかけとなったガーナの女性との出会いと、ザイール出身で日本在住のある男性との出会いですね。その男性は学生時代にこの近所に住んでいたのですが、肝臓を悪くして治療をしていたんです。彼は非常に社交的で、豊富な人脈を持ち、私のところにもたくさんの患者さんを連れて来てくれましたよ。私も院内で使わなくなった機器をアフリカに送るなどして、彼の治療が終了してからも交流が続きました。その後次第に外国人の患者さんが増えていくわけですが、日本人と並んで多くの外国人が診療を待っている様子は印象深く、今も忘れられません。知り合いに聞いたり、インターネットで調べたり、さまざまな手段を経てようやくここにたどりついたという人もたくさんいましたから。国際化が進んでも、彼らに拒否反応を示す医院が多いということかもしれませんね。

治療の信条をお聞かせください。

よく説明するということですね。薬の処方でも、治療法でも、患者さんにもご家族にも納得していただけるまで説明する。性格的にテキパキと動くのが好きで、スタッフもそれを知って無駄のない動きをしてくれているのですが、患者さんとの会話に関しては別ですね。できる限り時間をかけます。

最後に、今後の展望について伺います。

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外国の患者さんと日本人の患者さん双方に、できる限り的確な診療を提供していきたいです。社会的立場も人種も関係なく、公平・平等かつ的確な医療で、地域の患者さんの役に立てればいいですね。カルテを見ると、開院から今日まで60ヵ国以上から患者さんが来てくださっています。自分が海外に出かけて病気やけがをした場合、どの病院に行けばよいか、そして言葉は通じるのか、といった不安に駆られるでしょう。それは今、日本に来ている外国人の方も同じです。地域に貢献する医療活動を続けるとともに、外国人医療の問題にも積極的に取り組んでいきたいですね。

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