土屋 杏平 院長の独自取材記事
土屋クリニック
(荒川区/南千住駅)
最終更新日:2026/03/19
南千住の住宅街で長年診療を続けてきた「土屋クリニック」。2023年には、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医や日本肝臓学会肝臓専門医など複数の資格を有する土屋杏平先生が3代目院長に就任。専門とする消化器内科疾患をはじめ、全身の不調など、子どもから高齢者まで幅広い年代の悩みに対応できるのが強みだ。「生まれ育ったこの場所で、地域医療に貢献したいです」と穏やかな笑顔を見せる土屋院長に、クリニックの方針や今後の展望について聞いた。
(取材日2026年2月12日)
地域を支える、3代続く信頼のかかりつけ医
おじいさんの代から受け継いでこられたクリニックなのですね。

当院は、祖父がこの南千住の地で診療を始めたことに端を発します。祖父の想いは父、そして私へと受け継がれました。2代目の父は消化器内科医として専門性を高めながら地域医療に尽くし、2023年からは南千住で育った私が3代目として診療にあたっています。親子3代で通っているご家族もいますので、長い年月の中で築かれた信頼の重みを日々感じています。現在も毎週火曜日は父が診療を担当し、開業当初からの患者さんを丁寧に診察し続けています。通院が難しくなった方は訪問診療へ切り替えるなど、住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、人生の段階に応じつつ、無理のない医療を届けたいと考えています。「木村病院」「永寿総合病院」「東京都立墨東病院」「三井記念病院」など近隣の他科とも連携し、地域全体で患者さんを支える体制を整えています。
町のかかりつけ医として、どのような想いで診療にあたっていますか?
私の診療の基本は「どんな患者さんもまず受け止める」です。年齢や症状にかかわらず、不安な気持ちを丁寧に伺うようにしています。内科・小児科を中心に、風邪や腹痛、生活習慣病、アレルギーなど幅広い疾患に対応し、必要に応じて適切な医療機関へ責任を持って紹介します。これまで消化器内科、救急医療、肝臓がん治療、家庭医療、小児科などの分野で研鑽を重ねてきました。その経験を生かし、お子さんから働き盛りの世代、ご高齢の方までご家族全体を診ています。
幅広い分野で学んでこられたのですね。

当院では体質や生活背景、服薬内容まで含めて総合的に理解し、医療の主軸を担うことを大切にしています。消化器内科を専門としつつ家庭医療を学んだのも、そのためです。医療の専門化が進み、複数の診療科に通う方は珍しくありません。不眠で精神科、花粉症で耳鼻咽喉科、その他にも皮膚科、内科、消化器内科……。気づけばいくつもの医療機関にかかっていることもあります。しかし全体を把握する存在がいなければ、治療の方向性や責任が見えにくくなります。原因のはっきりしない不調や介護の負担にも目を向け、必要に応じて地域と連携しながら、まず相談できる存在でいたいと考えています。
地域住民の健康を守るため、病気の早期発見を重視
先生のご経歴についてお話しください。

東邦大学を卒業後「東京都立墨東病院」で救急医療と消化器内科の診療に携わりました。その後「三井記念病院」へ出向し、肝臓疾患を中心に専門的な診療を経験し、内視鏡を用いた検査・治療、ラジオ波治療など、数多く担当しました。消化器は食道・胃・大腸だけでなく肝臓・胆嚢・膵臓まで幅広く、臓器同士の関連も深い分野です。検査をしても原因がすぐに特定できない症状もあるのですが、その難しさに向き合うことが、この診療科の奥深さだと感じています。その後は「河北ファミリークリニック南阿佐谷」で家庭医療を学び、専門性に加え、年齢や臓器にとらわれず幅広く診る力を養ってきました。
内視鏡検査にあたって工夫していることはありますか?
私の専門は消化器内科と家庭医療で、特に胃カメラと大腸カメラには力を入れています。内視鏡は早期の胃がん・大腸がん・咽頭がん・食道がん・ポリープなどの発見に役立つ大切な検査です。しかし「苦しい」という印象からか、敬遠されがちです。そうした思いを少しでも和らげるため、経鼻内視鏡の導入や先進的な大腸内視鏡検査機器への更新を行い、挿入方法や観察手順にもこまやかな工夫を重ねています。検査時間をできるだけ短くしつつ、見落としのない丁寧な観察を心がけています。早期がんはほとんど自覚症状がありません。病院勤務時代に早期胃がんの治療を行ってきた経験を生かし、治療を見据えた視点で検査を行えることが当院の強みだと考えています。安心して一歩を踏み出していただければと思います。
定期健診やがん検診にも注力しているのですね。

当院は地域のかかりつけ医として、日常診療に加え、定期健診やがん検診にも力を入れています。元気で自分らしい時間を長く過ごすためには、病気のリスクを知り、早期発見・早期治療につなげることが大切です。健診結果に不安があれば放置せず、早めにご相談ください。荒川区の胃がん検診では、リスクの高い方を丁寧に診察し、早期発見に努めています。2026年4月からは肺がん検診も各医療機関で受診可能です。肺がんは非喫煙者でも発症しますが症状が出にくいため、当院では胸部エックス線にAI診断補助を導入し、見落としの低減に努めています。検査は短時間で終了し、ウェブ予約による待ち時間の軽減にも配慮していますので、ぜひご利用ください。また、放射線業務や船上業務など特定職種の方を対象とした特殊健康診断にも対応しています。生活習慣病や禁煙治療も含め、地域の皆さんが元気に長く暮らせるよう今後も支援していきます。
通いやすさを重視し、安心できる医療を提供したい
患者さんが安心して通院できるよう、工夫していることはありますか?

新型コロナウイルス感染症が流行した時に、待合室にはパーティションを設置し、現在も継続しています。インフルエンザや新型コロナウイルス感染症などは季節を問わず発症するため、基礎疾患をお持ちの方やご高齢の方にも安心して通っていただける環境を守りたいと考えているからです。発熱のある方は原則予約制とし、診療時間や待機スペースを分けるなど、動線にも配慮しています。急な受診の場合も可能な限り空間を分け、他の患者さんへの影響が最小限となるよう工夫しています。さらにウェブ予約や事前ウェブ問診、電子カルテの活用により、院内滞在時間の短縮を図り、身体的・心理的な負担の軽減にも努めています。健康情報や予防医療の知識をわかりやすく発信するために、2025年末にはデジタルサイネージを導入するなど、安心と学びの両立もめざしています。
通いやすく相談しやすいクリニックであるために、大切にしていることは何ですか?
患者さんが「ここなら安心して話せる」と感じられるクリニックであることを大切にしています。正確な診断や適切な治療は当然の責務ですが、その前提として、患者さんの背景や不安を理解する姿勢が欠かせないと考えています。ウェブ問診を活用することで、診察前に症状や経過を整理できるため、限られた時間の中でも本質的な対話が可能になります。診察室では、表情や声のトーンにも注意を払いながら、小さな違和感や言い出しにくい悩みにも気づけるよう努めています。慢性的な不調や生活習慣病など、すぐに答えが出ない問題も少なくありませんが、一度きりの診療ではなく、継続的に伴走する姿勢を大切にしています。待ち時間の短縮や院内環境の整備も含め、受診すること自体が負担にならない体制づくりを意識しています。
最後に、今後の展望をお聞かせください。

勤務医として急性期医療や専門治療に携わる中で、日常を支える医療の重要性を強く感じるようになりました。体調が悪いときにすぐ相談できる場所があること、顔なじみの医師が継続して診てくれることは、想像以上に大きな安心につながると思っています。当院では基本的に私が診療を担当し、経過を長期的に見守る体制を整えています。紹介が必要な場合も、これまで築いてきた病院との連携を生かし、適切なタイミングで橋渡しを行います。南千住の住宅街に位置するクリニックとして、子どもから高齢の方まで幅広い世代の健康を支えることが使命です。また、小学校の校医として地域に関わる中で、病気の治療だけでなく予防や健康教育の大切さも実感しています。これからも地域のかかりつけ医として、困ったときに真っ先に思い出してもらえる存在であり続けたいと考えています。

