医師や専門職スタッフがチームで支援する
リワークデイケア
あべクリニック
(荒川区/日暮里駅)
最終更新日:2024/05/16


- 保険診療
ある調査によればうつ病などメンタルの不調で会社を休職する人の数は近年増加傾向にある。休職期間中に治療を受けて職場復帰しようとしても、会社の中でうまく仕事ができるだろうか、復帰後に再発したらどうしようなどとさまざまな不安も多いだろう。「あべクリニック」ではそんな休職中の人たちが、自信を持って職場復帰できるようリワークデイケアを実施。さまざまなプログラムを用意して、一人ひとりの症状に即してオーダーメイドのデイケアを提供している。具体的にどのような内容なのか、阿部哲夫院長と、同院のリワーク部門・デイケア部門・心理部門で部長を務める臨床心理士・公認心理師の楳澤旬(うめざわ・じゅん)さんに話を聞いた。
(取材日2024年3月11日)
目次
自信を持って復職できるよう、認知行動療法などを用いて考え方の癖や対処法を学ぶなど実践的なサポート
- Qリワークデイケアというのはどういったものでしょうか。
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A
▲医師だけでなく、公認心理士など他の専門職も携わるチーム医療
【阿部院長】リワークデイケアは、うつ病や注意欠陥・多動性障害(ADHD)、パニック障害などの精神疾患によって休職している人の復職支援を行うデイケアです。3ヵ月から半年以上、さらに長期にわたる休職中の人がさまざまな訓練を受け、なぜ自分がそのような状態になったかを客観的に分析し、症状や対処方法を理解することで、自信を持って復職できることをめざします。休職中の人は皆さん、復帰後うまく働けるだろうか、再発するのではないか、といった不安を抱えています。実際、復職後に再発する例は少なくありませんから、リワークデイケアはそうした復職への不安を払拭し、復職後の再発を防ぐことを目的としています。
- Qどのようなステップで進んでいくのでしょうか。
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A
▲復職後の再発を防ぐために、デイケアは重要
【阿部院長】最初のステップでは週2日程度通所して症状や体調の回復や家族以外の人との交流に慣れることをめざします。次に週3~5日程度通所して、生活リズムの安定化や利用者との積極的なコミュニケーションを図っていきます。生活や睡眠リズムが安定したら週に5日通所して、休職要因の自己分析によってその課題を把握。対応策を検討することで自己管理できるよう訓練し、再発防止につなげていきます。そして最終的なステップでは週5日、就労形態に即して活動します。このように、徐々に負荷をかけながら心身の回復を図ります。次のステップにいつ進むかはご本人と専門職の担当者、医師などと相談しながら決めていきます。
- Qいろいろなプログラムがあるのですね。
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A
▲参加者同士の交流が、癒やしや励みになっていることも多いという
【楳澤さん】当院では集団認知行動療法に重きを置いています。認知行動療法では、休職に至った原因や症状につながる考え方の癖を自己分析し、それらを変える実践に取り組みながら問題解決できる方法を検討していきます。この認知行動療法を基本として、他に鉛筆画やパステル画などのアート系、音楽鑑賞などの音楽系、ストレッチやヨガなどの運動系などさまざまなプログラムを用意して、利用者の方一人ひとりの症状に即してオーダーメイドのカリキュラム作りを行っています。プログラムを実践する際は利用者さんに主体を置いて、その方の意見や考え方を尊重するように努めています。
- Qあべクリニックとしてはどのようなサポ―トがあるのでしょうか。
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A
▲現状を見極め、今後に生かせるようなアドバイスを心がけている
【阿部院長】当院を受診している患者さんは、リワークデイケアの進捗状況を随時診察に反映させています。また、企業の人事担当者とも連絡を取って進捗状況を報告しています。他院を受診している方の場合は、ご本人と担当者とで相談しながら人事担当者に連絡を取ったりしています。なかなか症状が改善しない場合などはその主治医に連絡するケースもあります。当院のリワークデイケアでは、公認心理師、臨床心理士、精神保健福祉士、看護師など精神医療の専門家が連携してプログラムを運営している点が大きな特徴です。心理的な相談から各種社会制度、身体や生活についてのアドバイスなど各専門性を生かし、幅広い視点でサポートしています。
- Q休職中の人へのメッセージをお願いいたします。
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A
▲考え方の癖に気づくことが、スムーズな復職の助けとなることも
【楳澤さん】リワークデイケアによって考え方や物の捉え方を変化させることは、再発防止に大いに役立つと感じています。以前のように働きたいという気持ちもわかりますが、「以前は頑張りすぎていた」「働き方や生き方を変えなくては」と、ご自身で気づくことができれば、それだけでリワークデイケアを受けた意味があると思います。最近ではマインドフルネスを取り入れた認知療法プログラムを行ったり、自己分析もワークシートを活用したりして、自己理解がより進むように工夫しています。自己分析というと難しそうですが、特性や行動パターンなど自分自身を知るという意味で前向きに捉え、気軽な気持ちで受けていただくのも良いと思います。