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阿部 哲夫 院長の独自取材記事

あべクリニック

(荒川区/日暮里駅)

最終更新日:2019/09/19

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JR山手線の日暮里駅から徒歩2分。利便性の高い立地にある「あべクリニック」は、開業から20年以上にわたって認知症や心の病を抱える患者を支える。デイケア施設も併設しており、デイケア、ナイトケア、リワークケア、さらに訪問看護・診療も提供する多機能型の精神科クリニックだ。双極性障害や新型うつ病、一過性のうつ病まで状態が多岐にわたるうつ病、パニック障害や統合失調症、近年増加傾向にある発達障害や、高齢化に伴い増えている認知症まで幅広い症状に対応している。優しく人を包み込むような雰囲気が印象的な阿部哲夫院長は、患者の利益を最優先しニーズに対応しながら地域の精神医療に貢献するベテラン医師。そんな阿部院長に、診療で心がけていることや精神医療の現状、今後の展望などを聞いた。
(取材日2019年8月26日)

患者ニーズに対応したどりついた多機能型精神科診療所

開院から20年以上と伺っています。こちらのクリニックの特徴を教えてください。

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開業は1997年です。設立の理念に「愛とほほ笑みを」を掲げ、精神障害を持つ方々に愛情を持って関わり、さまざまな活動を通してほほ笑みを取り戻していただけるようなクリニックをめざしています。開院前から地域診療に取り組みたいという思いがあり、開院後3年ほど経過した時点でデイケアをスタートさせました。もともと精神科リハビリテーションが専門で、開院前まで勤務していた病院では多くの認知症患者さんを診させていただいたので、認知症と精神科リハビリテーションが自分のスペシャリティーといえると思います。当院は診療に加えて、日中のデイケアと夜間のナイトケア、復職をめざすリワークケア、通院が難しい患者さんの訪問看護、訪問診療も行っています。

デイケアではどのようなことを行うのですか?

参加されている方によって目標は異なりますが、例えばデイケアの場合、日中の活動場所がなくて、そのままの状態だと引きこもってしまうからという理由で居場所として使われている方もいれば、コミュニケーション能力を高めたり、日常生活のリズムを整えたりすることにつなげ、次の段階へステップアップすることをめざす方などさまざまです。認知行動療法や運動、生活技能訓練などを行う集団療法もプログラムの一つとして取り入れています。リワークデイケアは現在の場所に移転した2008年に開設したので、始めてからもう10年以上になります。うつ病の方や発達障害で不適応を起こして就業を継続できなくなった方を対象にしたリワークプログラムで、週に1度マインドフルネスなども取り入れて行っています。

とても規模の大きなクリニックですね。

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非常勤の先生方が6人おり、看護師、精神保健福祉士、公認心理師、医療事務など他職種で連携して作業を進めていくというのが、当院の基本的な方針です。医師一人ができることにはある程度限界があるので、心理検査やカウンセリングは公認心理師に任せたほうがより時間をかけて専門性の高いものを提供できますし、患者さんの社会資源の提供に関しては、やはり精神保健福祉士から詳しく説明を聞いたほうが正確な情報を得られると思います。当院では、訪問看護も訪問診療も行っていますが、いろいろなメニューを提供できるという意味で、より患者さんに合った治療ができるのではないかと思っています。患者さんと長くお話しさせていただくために公認心理師に来てもらい、ほとんど毎日来られる患者さんのためにデイケアを開設するなど、最初からこういうスタイルをめざしていたのではなく、ニーズに合わせてメニューを広げたら今の形になったということですね。

新しい取り組みを取り入れ、チーム医療で患者に提供

こちらは地域連携型認知症疾患医療センターですが、その役割を教えてください。

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東京都が各区に1箇所ずつ指定している認知症診療の拠点で、当院は荒川区の認知症疾患医療センターに指定されています。主に認知症の鑑別診断をすることと、区民への啓発活動をすること、専門職の養成に協力するなどの活動により、各区における認知症診療の中心的役割を担うことをめざします。地域のかかりつけ医の先生から紹介された治療困難なケースや鑑別診断に困った方を受け入れ、落ち着いたらかかりつけ医の先生にお返しするという形です。認知症疾患医療センターに指定されたことで認知症患者さんの割合が増えていますし、社会の高齢化に伴い高齢者の精神疾患自体も増えているという印象があります。

最近の傾向として気になることがあれば教えてください。

発達障害の方の増加傾向が強まっていると感じています。発達障害の患者さんの多くは自閉症スペクトラムの人たちと、ADHDとも呼ばれる注意欠陥多動性障害の人たちの2群なのですが、注意欠陥多動性障害の人たちに関して言うと、対症療法ではありますが薬物療法が役立つ場合があります。薬物を使うことで考えのまとまりのなさや行動をある程度コントロールすることがめざせるケースがあります。注意力が散漫で仕事でミスが多い、次々に興味が移ってしまう、さらに私生活でも片付けができなかったり、約束や時間を守れなかったりといったことがありましたら、気軽に相談いただきたいですね。

診療の際心がけていることは?

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医療というのは、日進月歩で変わっていくので、僕が開業した20年前の医療と今ではまったく違います。他の科に比べると、精神科の進化は比較的マイルドなのかもしれませんが、診断カテゴリーやツールの使い方、薬などがすいぶん変わってきました。新しい取り組みはどんどん導入して、自分の中で消化し、それを患者さんに還元することを心がけています。患者さんがここに来るまでも結構敷居が高いと思いますから、診察室に入ってきたらリラックスしたムードで普通にありのままの自分を表現できるように、ということは常に念頭に置いていますね。

患者とスタッフが互いを支え合い良い影響を生む診療を

先生が精神科医師をめざされたのはなぜですか?

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人の心の動きなど心理的なことにとても興味があったので、自分に合っているのではないかと思いました。臨床心理学や精神医学が学びたくて大学は迷わず医学部に入りましたが、精神科に進むかどうかは迷ったこともあります。今から30年ほど前の精神科医療は内科や外科などと違い、かなり遅れていると感じていましたからね。でも、精神科医師で作家でもあった北杜夫などの本に感銘を受け、最終的には初志貫徹で精神科の医師になりました。

こちらの理念のひとつに「スタッフの夢をかなえる」というものがありますね。

患者さんの利益が第一ですが、その次にはスタッフの幸福を考えるということもしないと、クリニックとしての良い運営はできないのかなと思いますね。自分自身もそうですが、仕事をやるからには、そこで自己実現するということを図っていかないと、充実感ややりがい、生きがいを感じることはできないと思います。スタッフみんながやる気がなければ、当然患者さんもそれを敏感に感じて、病気も良いほうへは向かわないし、ここに進んで来ようとは思わないでしょうしね。そういう意味でも通ってくださる患者さんがいらっしゃることはありがたいですし、自分自身が患者さんにどう評価されているかということも自分のエネルギーになるので、患者さんと僕たちはお互いに支え合っていると感じています。

今後の展望をお聞かせください。

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10年、20年とお付き合いのある患者さんとは「昔は本当に具合が悪かったよね」と話をすることもあります。日々たくさんの患者さんがいらっしゃいますし、新患の方を引き受け切れないことが今の課題ですね。年々、メンタルケアを必要とする患者さんの数が増えているとことを実感しており、当院においても外来機能が飽和状態にあるため、可能であればドクターを増やすことを検討しています。地域診療の中核的医療施設として、患者さんが安心できる治療を安らげる環境の中で提供していければ良いですね。

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