安藤 義将 院長の独自取材記事
女性とこころのクリニック
(荒川区/町屋駅前駅)
最終更新日:2021/10/12

町屋駅の1番出口から歩いて1分ほど、きれいでモダンなビルの4階に「女性とこころのクリニック」はある。ビル自体が医療モールで内科・外科・皮膚科・整形外科などがあり、同院では産婦人科と精神科の両方を専門とする安藤義将院長が診療を行っている。2011年の開業後にも床のリフォームなどを行い、院内はホテルのように上質で安らげる雰囲気。患者は女性のみなので、待合室でも気兼ねせずに済みそうだ。長年、女性特有の悩みに寄り添ってきた、誠実さのにじむ院長に診療への思いを聞いた。
(取材日2018年10月10日)
不安が、うつなどメンタルの症状を助長することも
こちらは女性専用のクリニックなのだそうですね。

女性を産婦人科と精神科の両面からサポートしています。婦人科領域の疾患で、うつ症状を伴うことがあるので、女性は「不安」により症状が助長されやすいものですから、当院ではその「不安」について患者さんと一緒に原因を探り、コントロールすることを重視しています。それは、一般の婦人科クリニックとは異なる点でしょう。また、他院でメンタルの治療をされていて妊娠を望まれるような場合に、当院が紹介される場合も多いです。妊娠に向かう際、精神科で処方している薬の量の調整が必要になりますので、精神科の先生から依頼されるのです。出産に向けて病院と連携を行い、当院で36週くらいまで診て、出産後からまた当院でフォローするといった流れです。こうやって多くの患者さんのお世話をしてきましたので、患者さんに寄り添った診療が行えているのではないでしょうか。
何らかの婦人科系の悩みで来院される患者さんが多いのですか?
何となく気持ちが沈んでいる、ということで来院される方が多いのですが、細かく伺うと、やはり月経や性周期が気持ちに影響していることもあるようです。女性は月経前と出産後に、幸福ホルモンとも呼ばれるセロトニンの分泌が減るといわれています。また、このセロトニンを分泌させる神経細胞は、悩みや不安、苦しみなどの感情によって分泌にブレーキがかかり、結果としてうつ症状につながるとされていますが、もととなる不安感情がある程度解消されれば再びセロトニンが分泌されていきます。ですから対話など精神的なフォローや環境調整で改善できる部分もあるのですが、女性の中には、うつになりやすい体質の方がおられます。そういう方は神経細胞自体の働きが弱くなっている場合がありますので、抗うつ剤による薬物療法が必要です。タイプによって治療のアプローチは異なります。
メンタルの治療法は、いろいろあるのですね。

そうですね。初診では現在の状況から、これまでに治療をされていればその経緯も含め、じっくりと伺います。ただ、患者さんによっていろいろとお話しされる方もいれば、なかなかすべてをおっしゃられない場合もあります。女性ならではのお悩みや症状に数多く触れてきた経験から、医師としてお勧めできる治療法を提案はしますが、押しつけはしないように心がけています。納得されずに治療を進めても、それによる不安が治療を妨げてしまいかねません。患者さんが「この治療法をやってみようか」と思っていただけることが大切で、そのためのご説明に努めています。また、その方の様子で傾聴に徹するか、こちらから伺うようにするかも変えています。特に2~3回目の診察では、今の治療法で変化が見られるかを確認したいので、患者さんが話しやすいよう質問を工夫して、必要な情報を得るようにしています。
月経や更年期にまつわる不調や不安に応える
婦人科系では、どのような患者さんが多いですか?

更年期障害の方はやはり多いですね。閉経が平均51歳で、その前後5歳くらいの年代です。ただ、プレ更年期といって、まだ月経はあるけれど不順になってきた時に、同じようなイライラや火照り、うつ症状を感じる方が増えています。閉経に向けては微妙なもので、しばらく月経がなくて終わったかと思うとドッと出て、不正出血かと不安になることもあります。それらも含め、40代50代からのご相談ですね。更年期とプレ更年期の違いは、持続的か、性周期に伴っているか。プレ更年期なら月経前や排卵期に不調になるといった波があるので、そうした説明をして安心してもらいます。
更年期やプレ更年期の患者さんには、どのような治療がありますか?
ホットフラッシュがひどく、夜中に何度も目覚めてしまう場合はホルモン補充療法が適しているといえます。うつやイライラなら、漢方薬もよく用います。体力や胃腸の丈夫さと、睡眠の様子によって6種類から選びますが、よく使うのが抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)。感情の不安定に働きかける抑肝散に、消化器に働く陳皮と半夏を加えたものです。こうした説明があれば納得され、安心して治療を進められます。そのように症状を整理して、漢方薬や精神安定剤、抗うつ剤など、複数の選択肢から選んでいただいています。ご自身であらかじめ希望の治療がある場合は尊重しつつ、よい方法を考えます。鎮痛や血糖値を下げるという目に見えることでなく、不安をなくすという治療ですので、お薬の選択で不安を与えてはいけません。婦人科も精神科も、不安への配慮が重要なのは共通していますね。
そのほかの患者さんは、いかがでしょう。

月経前症候群の方が、この病名が一般に知られるとともに増えています。当院では18歳から診ていて、20代が多いですが、他の世代でも見られます。出産後であったり、40代で更年期の相談に見えても、実は月経前症候群だったということがあるのです。就職など、生活の変化で悪化するケースもよく見受けられますね。月経困難症や月経不順などの症状で低用量ピルを用いる場合は、2~3ヵ月ごとに通院していただいています。その他には、肩こり、腰痛など身体疲労や自律神経失調症状、不眠治療や、脇の重度の多汗症に対するボツリヌス療法も扱っています。また、風疹の抗体の検査や結婚、出産、妊娠を考えている方へのオーダーメイドのブライダルチェックも行っています。
女性特有の悩みに注力して、体と心、両面のケアを
精神科と産婦人科の両方を専門にされた経緯を教えてください。

父が精神科医で、母も心理学を学んでいたので、幼少から精神科については常に身近でした。ただ、医学部の実習で各科を回った時に、産婦人科の手術の技術の高さに圧倒されまして、その先生に師事することを決めたのです。そしてその後、産婦人科で学ぶうちに、入院患者さんの不安など、心のケアについて考えるようになりました。決定的だったのは、ある末期がん患者さんのことです。今思えば、うつ症状でしょうが言葉も少なく、食も細くなられ、どうすればよいかわからなかったのです。それが精神科の先生に診てもらい、薬を処方したところ、たちまち笑顔が戻られました。それを機に、6年間没頭してきた産婦人科の勤務を続けながら、精神科に改めて入局したのです。それが2001年のことでした。
2011年に開業されたのは、両科の診療をバランスよく行うためですか?
そうですね。患者さんと深く関わって、体だけでなく心のケアも行っていきたいという私の理想を形にするには、開業がよかったと思います。当院では「来院された方に安らぎを、帰宅される方に幸せを」をモットーに、スタッフ一同、患者さんにとにかくリラックスしていただけるように心がけています。女性は特に、男性よりも人間関係に敏感で、人に言われたことを気に病まれたり、自分の言葉が人を傷つけていないかも気にされるもの。そうした積み重ねが心や体を蝕むことがあるのです。また、当院には産後うつの方もいらっしゃいますが、家族に言われてやっと来られているようです。心の不調に悩むお母さんは、実際にはもっと多いのではないでしょうか。それ以外でもメンタルでおつらいことなどあれば、当院は女性の患者さんのみで待合室も広く、予約制ですから、ぜひ一度気軽な気持ちで相談いただければと思います。
プライベートはどのように過ごされていますか?

中学・高校では吹奏楽部で、野球の強い学校だったため、甲子園で指揮も振りました。今は音楽からは離れていますが、時々クラシックコンサートにも行きます。また、小学校の頃に通っていたスイミングを、開業以来週2回ほど続けています。夕方から1500mは泳ぎます。泳いでいる間は無心ですし、泳ぎきった後の解放感がたまらないのです。泳ぐことで自分を解放することによって、残りの時間は患者さんのことに集中できるのが良いですね。
自由診療費用の目安
自由診療とははしか(麻疹)抗体検査/5400円前後
風疹・麻疹混合ワクチン(MR)/9300円
ブライダルチェック/5000円~
※ブライダルチェックは検査項目を選ぶことが可能です。検査項目により値段も異なります。
※詳しくはクリニックまでお問い合わせください。