長間 勝義 院長の独自取材記事
東陽ながま歯科医院
(江東区/東陽町駅)
最終更新日:2025/05/02

東陽町駅から徒歩1分、永代通り沿いの医療ビルにある「東陽ながま歯科医院」。2007年に「口のかかりつけ医」をめざして同院を開業した長間勝義院長は、東京歯科大学卒業後、都内の歯科医院に勤務し、千葉県内の医療法人では予防歯科部門の立ち上げに携わるなど幅広い経験を持っている。2017年には診療環境の改善と医療機器の拡充を図るため現在地に移転した。長間院長は、診療の精度向上や患者の時間的・経済的負担の軽減のために、歯科医療のデジタル化を推進し、さまざまなデジタル医療機器を導入している。また歯科技工士の資格も取得し、自らの手で技工物を作製している。そんな長間院長に、診療の特徴やデジタル化の利点などについて聞いた。
(取材日2025年1月30日)
デジタル技術を活用し、より良い診療を実践したい
どのような患者さんが多く来院しているのでしょうか。

小さなお子さんからご高齢の方、上は90代の方までさまざまな年齢の方がいらしています。来院の目的も、顎が痛い、インプラントを入れたい、矯正をしたい、口臭が気になるなど実にさまざまです。あるいは他院に通っていた方が口コミで当院に来られるケースもあります。地域の方々の口のかかりつけ医をめざして診療していますので、どのような悩みや困り事でも診ています。人によって歯科に対する意識は異なり、口の中の状況も異なりますので、その患者さんのニーズに合わせて幅広く対応しています。また、それに対応できるだけの医療体制を整えています。
クリニックの特徴について教えてください。
なるべく歯を削らずに可能な限りご自身の歯を長く残せるような治療を診療方針としています。実践するにはより精密な診査・診断・治療が重要ですが、そのために当院ではさまざまなデジタル医療機器を取り入れています。歯科医療の世界でもデジタル化やAI化が進んでいます。特にアメリカやヨーロッパの現状を見ると、そのスピードの速さを痛感します。患者さんにとって、より良い治療を提供するためにも新しい医療機器の導入は不可欠と考えています。それによって当院で行える治療の範囲も広がりますし、患者さんの心身の負担の軽減につながります。また、口腔内の様子や治療の内容などを画像によって可視化できますので、患者さんの治療に対する理解も深まると期待しています。
具体的にどんな医療機器を活用しているのですか。

まず挙げたいのがレーザー治療機器です。当院では5台の種類の異なるレーザー治療機器を症状に応じて使い分けています。例えば、虫歯を削ったり歯周病の治療で歯茎を切開したりするため、顎関節症などで痛みを抑える目的で顎の筋肉に照射するため、あるいは外科処置後の治癒を早めるためなど、さまざまな症例で活用しています。また、治療した歯を専用のカメラで撮影し、その情報をもとに詰め物・かぶせ物を作製する修復物作製システムも導入しています。特性の異なる2種類の作製システムがあり、これにより、作製できる詰め物・かぶせ物の大きさの幅が広がりました。型採りが不要な上に院内で作成できますので、身体面での負担はもちろん、時間や費用面の負担も軽減できると思います。
歯科技工士の資格を取得、治療から技工まで院内で完結
AI搭載の口腔内スキャナーも導入されていると聞きました。

口腔内スキャナーは3台導入しています。初診の患者さんの場合、最初に口腔内をスキャンしますと虫歯や歯石、着色汚れなどがどこにあるか、口腔内の様子が画像として把握でき、後でご自身のスマートフォンでも立体画像として見られます。口の中の状態をじっくり見れますので治療に対して前向きになれると思います。また、マウスピース型装置を用いた矯正では、口腔内スキャナーによるデータをもとにシミュレーションを行い矯正計画の立案に役立てています。また、顔全体のデータを取得するスキャンシステムを導入しようかと考えているところです。スキャンした顔のデータと口腔内のCT画像、矯正のデータなどを重ね合わせることで、笑った時の歯茎のラインや顔全体のバランスなど、審美面にも配慮した矯正を行うのにも役立てたいです。
歯科技工士の資格も取得されたそうですね。
歯科技工士の世界でも2025年問題があり、2025年には歯科技工士が減ってしまい歯科技工物の安定供給が難しくなると言われています。実際、歯科技工士をめざす人が減っている上に離職率も高いため、歯科技工士さんへの依頼が難しくなっています。技工物の納期が遅くなる例も出てきていて、そうなると治療が進みません。ならば、自分で歯科技工士の資格を取って、デジタル技術を生かしながら技工も行っていこうと考えたのです。患者さんのご要望にもその場で対応できますし、外部発注の必要がないので、その分、費用も抑えられます。何よりも院内のデジタル・AI技術と技工技術などすべての技術を組み合わせて院内で精密な治療を完結できることが大きな利点です。最近では他院の歯科医師が見学に来ることも多くなっています。
力を入れている治療や最近気になる症状について教えてください。

少しでも長くご自身の歯を残せるようマイクロスコープを用いた根管治療に力を入れています。また、最近は無意識に上下の歯を接触させてしまうTCH(習慣性歯牙接触癖)の方が増えています。歯ぎしりや食いしばりなどの強い噛みしめは気づきやすいですが、軽い接触なのでなかなか気づきません。しかしこの状態が続くと、歯に亀裂が入ったり歯の根元が崩れたりして、そこから虫歯になるリスクが高くなりますし、顎関節症の要因にもなります。当院では改善指導やマウスピースの製作をしています。口臭で悩んで来られる方も多いですね。口臭は発生部位によって臭いが異なりますので、当院では口臭測定器や口腔内の細菌を調べる検査などによって原因を探り、それに応じて治療やアドバイスを行っています。本当は口臭がないのに悩んでいるという場合でも、検査によって口臭の有無がはっきりして安心できると良いなと思っています。
より良い口腔環境を維持してフレイルを予防
先生が歯科医師をめざしたのはどんなきっかけがあったのでしょうか。

祖父の影響が大きいと思います。祖父は内科の医師として群馬の無医村で診療をしていて、幼い頃から「手洗いと歯磨きはしっかりしないと健康を保てないぞ」と言われていました。祖父以外にも親族の中に医師がいましたが歯科医師はいなかったので、私が歯科医師になろうと考えるようになりました。ただ犬が好きだったので、獣医師の道も視野に入れ、歯学部、獣医学部に進学した場合、それぞれどういうことを勉強するのか自分なりに調べてみました。すると獣医学部は、自分たちで世話した動物を研究などのために解剖したり、実験に使ったりすることがあることを知ったのです。それは、かなりつらいだろうなと子ども心に思い、歯科医師の道を選びました。
専門領域や得意な治療はございますか?
大学時代は衛生学の研究に取り組んでいました。例えば、お茶に含まれる成分が、虫歯や歯周病予防に活用できないかという視点での研究です。定期的な殺菌は、虫歯、歯周病、さらには肺炎、心筋梗塞などの予防にもつながります。ですから開業当時から、お口の中の細菌を減らす大切さをお伝えしています。その際に取り組んでいるのが「見える化」。細菌の数が短時間で確認できる機械を使って口腔内の細菌を数値化し、きちんとケアすると細菌が減るということを認識していただきます。位相差顕微鏡で唾液に含まれる細菌をお見せすると、皆さん驚かれますね。これらの啓発を通じて「歯を残す」という意識を、もっと高めていきたいと思っています。
では最後に読者へのメッセージをお願いいたします。

健康に年齢を重ねるためには、ご自身の歯でしっかり食事ができることがとても大切です。自分の歯で噛むことは認知症の予防につながり、健康寿命にも良い影響を与えるとされています。歯を残すことは、健康的な人生をも支えるものなのですよ。口の中の状態が悪いと胃にも悪い影響が及んで、あまりものが食べられなくなり、結果的に全身の機能が低下するフレイルになりやすくなります。そのようなことにならないよう、当院では、歯だけでなく全身のことも気にかけながら診療しています。今後も新鋭の医療技術を習得し、新しい設備も取り入れながら、自分のできる範囲で無理せず、患者さんが安心できる歯科医療を提供していきます。何か困ったことがあれば相談に来てください。
自由診療費用の目安
自由診療とは歯科用CAD/CAMによるジルコニアの詰め物・かぶせ物:6万円~、インプラント体:27万5000円、インプラント上部構造 5万4780~6万280円、サージカルガイドの装置代:3万8500円、歯列矯正:38万5000~71万5000円、矯正検査代:3万3000円、矯正装置の矯正代:3300~5500円、マウスピース型装置を用いた矯正:27万5000円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。