高峰 直努 院長の独自取材記事
ナオデンタルクリニック
(江東区/東陽町駅)
最終更新日:2021/10/12
地下鉄東陽町駅から徒歩1分の「ナオデンタルクリニック」。待合室には、スタッフの明るい笑顔の写真が何枚も貼られていて、楽しそうな雰囲気が漂ってくる。3階には予防のための個室ケアルームも備え、予防にも力を入れている歯科医院だ。院長はスラッと伸びた背に、爽やかな笑顔が印象的な高峰直努(なおと)先生。開院して17年目、数多くの経験を重ねた今、治療にも患者との接し方にも確固たる信念を持って臨んでいるという。そんな高峰先生に、これまでの道のりや、歯科医療にかける思い、クリニックの理念や取り組みについて話を聞いた。
(取材日2013年11月8日)
患者自身が健康をコントロールしていくための働きかけ
こちらの診療スタンスについて教えてください。
当院では患者さんの自主性を促し、健康への意識を高めてもらう診療をモットーとしています。これは大阪の諸井先生が立ち上げたCHP研究会の勉強会で学んだことがベースとなっています。CHPというのはクリニカル・ヘルスプロモーションの略で、「人々が自らの健康をコントロールし、改善できるようにするプロセス」という意味。人は自分がやりたいと思ったことしかやりません。歯科医院に行くのも患者さんの意思ですし、歯を治したい、歯磨きをしたいと思うのも自分自身です。私や歯科衛生士がいくら「歯を磨いてください」と言っても、患者さんがそうしたいと思わなければ磨くようにはなりませんし、続かないですよね。ではどうしたら磨くようになるのか。虫歯をちゃんと治そうと思うようになるのか。そこを私たちはまず考えてから治療にあたるのです。
具体的にどのように働きかけているのですか?
以前、当院に鳶職の方が来られました。その方は今まで歯が痛くなると歯の穴に市販の痛み止め薬をギュッと詰め込みやり過ごしていたのですが、それでもだんだん痛みで寝られなくなり、ある日現場で眠くてふらっとしたそうです。その頃、結婚してお子さんも生まれたばかりだったその方は、当院に来た時「俺が死んだら誰が家族の面倒を見るのだろう、そう思ったら歯を治さないと、と思ったんです」と言ったのです。今までと意識が変わったんですね。研究会ではこのように心が動く瞬間を「心のブレーカーが落ちた瞬間」と呼んでおり、これが歯科医院に行くきっかけになるのです。その方に「お子さんが大きくなるまで元気で働くために、健康でいられる歯磨きの仕方があるのですが、知りたいですか?」とお聞きすると、「はい!」とおっしゃいました。もしその方に別の場面で「歯を磨かないと、歯がなくなってしまいますよ」と言ってもピンと来なかったでしょう。
患者さんそれぞれで、その瞬間は違いますよね?
ええ、違います。お一人お一人に物語があります。例えば「歯を白くしたい」と来た患者さんにもそれぞれ理由があります。その理由を聞いて、「新しい彼氏ができたから」という方には「それなら、口臭がしにくいような歯磨きの仕方をしましょうか」と言うと、やる気が出ますよね。患者さんの物語を聞き出して、それに合った治療方針を説明し、患者さんに選んでもらうのです。押しつけるのではなく、あくまで患者さんの意思で選択してもらうことが大切。患者さんの、「こうしたい」という望みがあって、それなら「こうしたほうがいいかもしれないですね」と提案していくのが当院の基本です。
培ったスキルをもとに、口腔全体を考えながら判断
先生が歯科医師を志したきっかけを教えてください。
ドラマチックな理由は特にないんです(笑)。父も祖父も、兄も歯科医師だったので、自然と意識するようになりました。父は自宅の1階で開業していたのですが、治療にあたっている時の姿は怖かったですね。普段とは違う厳しい様子がとても印象に残っています。大学は日本大学歯学部に進みました。大学時代は硬式庭球部に所属し、部活に熱中していましたね。キャプテンもやっていたんです。運動は小さい頃から大好きでした。他の大学の歯学部生との試合もあり、今でもその頃の仲間とは交流が続いています。
卒業後は勤務医として経験を積まれたんですね。
最初に勤務した歯科医院がとても厳しく、ずいぶん勉強させてもらいました。指導に力を入れているところだったので、毎日のようにレポートを書きました。そこで学んだ基礎と知識が、今の私の土台になっています。全顎的な症例も診せてもらえたため、全体を考えながら判断するスキルも身につきました。また、私たちの仕事は患者さんからダイレクトに感謝の言葉をもらえる仕事なので、自分の患者さんを持つことの喜びもその頃感じましたね。そこに3年勤めた後、7ヵ月ほどアメリカに語学留学をしました。自分の歯科医院を開業したらゆっくり行けなくなると思ったんです。おかげで外国人の患者さんが来ても英語で診療ができますよ。
なぜこの場所で開業されたのですか?
先輩の親戚が以前ここで開業しており、譲り手を探していたのでこの場所を引き継ぎました。1996年に開業したので17年になります。開業する際に、内装を大きく変え、カウンセリングの部屋と、力を入れているインプラント治療のためのオペ室をつくりました。機能性を重視してぐるりと回れるようになっている配置と、区切られたスペースも特徴です。患者さんは、7割くらいが近くの会社にお勤めの方ですね。それから、この辺りにはマンションや団地も多いので、ご家族連れの方もたくさんいらっしゃいます。お子さんは多い時で、1日10人以上来ることもあるんですよ。
予防を重視。子どもにも歯磨きの大切さを伝える活動も
先生は予防にも力を入れておられるとか。
はい。予防はクリニカル・ヘルスプロモーションの一番大事なところです。3階には予防のためのケアルームも設けました。プライベートな話も気兼ねなくできるよう、個室になっており、他の患者さんが歯を削る音も聞こえません。アロマの香りと、音楽で居心地の良い空間になっています。また、子どもたちのための「カムカムクラブ」もつくりました。私たちが関わった瞬間から、新しい虫歯を1本もつくらないようにすることが目標で、実際、通っているお子さんの虫歯は減ってきています。お母さんたちも巻き込んで楽しい雰囲気でやっているので、子どもたちも「絶対に虫歯をつくりたくない!」と思うようになるみたいです。七夕やクリスマス会など、みんなで集まってイベントをすることも。その時には、歯の大切さ、歯磨きの大切さを伝える紙芝居を作って、子どもたちに楽しみながら学んでもらっています。
スタッフも一丸となって取り組んでいらっしゃるんですね。
ええ。紙芝居づくりもそうですし、院内の飾りつけもスタッフがしてくれています。クリニカル・ヘルスプロモーションの理念をみんなで共有しているので、私が何も言わなくても自主的にやってくれるんですよ。スタッフの心遣いに対して患者さんが喜んでくださる、感謝されるとますますやる気になる、という良い循環なのです。スタッフが患者さん一人ひとりのお話をじっくり聞いていくと、患者さんの気持ちも変わっていきます。「実はね、こういうことが嫌で歯科医院に行くのをやめてしまっていたんだけど……」と打ち明けてくれたり、「ここはいいわね」と心を開いてくれるようになります。自分のことをわかってくれる人が歯科医院にいたら、うれしいですよね。そうすると「また来るわね」となるのです。スタッフみんなが同じ意識を共有し、気概を持って患者さんに対応していることも、このクリニックの強みとなっています。
今後の展望をお聞かせください。
当院には「患者さん」と呼ぶ人と呼ばない人がいます。「患者さん」は心が串に刺さった状態、つまり治療をしに来ている状態。全部治して健康になると、次に来るときは患者さんではなく「来院者」になります。私はここに来る方たちが皆、来院者になればいいなと思っているんです。歯科医院に来る人が、誰も痛がっていない、にこにこ笑っている、というのは素晴らしいですよね。削らずに、歯のクリーニングだけをしていればよいのです。痛がる人に削る治療をすることは、私にとっても非常につらいこと。予防をしっかりする人が増えれば、体も健康になり医療費も抑えられます。そのくらい噛むことは全身に影響しています。来院者を増やしていくために、私たちは日々努力していますが、最後は患者さんの意思によります。ここに通うとこんなに健康になり、こんなに気持ちが良くなるのか、と思ってもらえることが、何よりの通う理由になるのではないでしょうか。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療(1本)40万円~
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マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。