高砂 憲一 院長の独自取材記事
たかすな内科・胃腸内科クリニック
(江東区/豊洲駅)
最終更新日:2025/08/22

東京メトロ有楽町線・豊洲駅から徒歩15分。マンション内に構える「たかすな内科・胃腸内科クリニック」は、2006年の開業以来、地域のホームドクターとして幅広い年代の患者を受け入れ、丁寧な診察と検査を行ってきた。「人と話すことが楽しい」とほほ笑む高砂憲一院長の穏やかな横顔には、医療と患者に真っすぐ向き合う誠実な姿勢がにじむ。「患者さんの背景や思いをくみ取るために、まずはよく話を聞くことを大事にしています」と、地域医療に取り組み続ける高砂院長に、診療方針や得意とする内視鏡検査などについて語ってもらった。
(取材日2025年7月22日)
患者と向き合うホームドクターとして地域医療に尽力
来年2026年には、開業から20年を迎えられますね。開業の経緯について教えてください。

大学病院での勤務を経て、将来を考えた時、「自分がやりたい医療を実現するなら開業が良い」と気づいたんです。再開発が始まったばかりの東雲エリアに出合い、今後の発展性を感じて開業を決意しました。当時は高層マンションが2棟あるだけでしたが、今では多世代が暮らすにぎやかな街に育ち、患者さんのニーズも多様化しています。当院がめざしているのは、ホームドクターとして、患者さんが気軽に立ち寄れるような親しみあるクリニックです。患者さんとの対話を大切にする診療スタイルは、大学時代に慕っていた先輩の影響も大きいですね。患者さん一人ひとりに丁寧に向き合い、絶大な信頼を得ていた姿が印象的で、「自分もあんなふうになりたい」と感じたんです。その影響から、患者さんとの会話を大切にしながら、地域に根差した医療の提供に努めています。
患者さんとの対話では、具体的にどんなことを心がけていますか?
最も大切にしているのは、患者さんの話をよく聞くことです。体の不調だけでなく、背景にある生活や心理的な要因を丁寧にくみ取るように心がけています。例えば、腹痛を訴える若い方の中には、ストレスや不安が原因となっているケースも少なくありません。親子関係の悩みや喪失体験などが診察の場であらわになることもあり、話すことで気持ちが整理できればと取り組んでいます。もちろん、ただ優しく聞くだけではなく、必要なときには「これは続けないと駄目」「薬は勝手にやめてはいけない」などとはっきり伝えることも忘れません。患者さんがより良い選択ができるよう、寄り添いつつも適切に線を引く、そのバランスを大切にしています。診察の時間がかかることもありますが、一人ひとりときちんと向き合う姿勢は、これからも崩さず続けていきたいですね。
院内は明るい雰囲気で、スタッフさんから患者さんへのお声がけも多いですね。

当院の一番の強みは、スタッフなんです。受付でも診療中でも、誰かが自然に患者さんへ声をかけ、困っていそうな人がいればすぐに手を差し伸べる。そんな空気が日常として根づいています。開業当初は僕自身がいろいろと伝えていましたが、今ではスタッフ同士が互いの動きを見ながら補い、支え合って動いてくれるようになりました。誰かがミスをしても責めるのではなく、周囲が自然にフォローに回っています。この「お互いさま」の姿勢が、院内の雰囲気をとても温かくしてくれていると感じています。組織のトップである僕は、皆と同じ目線でいたいという気持ちを持ちつつ、時にはあえて嫌われ役に回ることもありますが(笑)、それも含めてチームとしてうまく回っているのかなと思います。仕事の場でしっかり信頼関係が築かれていることが何よりうれしいですね。
質と安心感の両立を重視した内視鏡検査で早期発見へ
内視鏡検査に苦手意識を持つ患者さんも多いと聞きます。

内視鏡検査は「怖い」「つらい」と敬遠されがちですが、だからこそ、もっと身近に感じてもらえるよう工夫を重ねています。以前は麻酔の使用に消極的でした。というのも、場合によっては薬剤による呼吸抑制や血圧低下などのリスクがあるからです。しかし現在は、リスクに配慮した上で、苦痛の少ない検査を行うことを重視しています。希望される方には麻酔を用いて検査を行い、不安や恐怖心を軽減できるよう配慮しています。また、内視鏡検査は医師の腕が物を言うので、大学病院時代から現在に至るまで、できるだけ短時間で苦痛を抑えて終えられるよう技術を磨き続けています。安全性と快適性の両方を意識することで、少しでも多くの方に検査の第一歩を踏み出してもらえたらと願っています。
先生の中で、内視鏡検査のハードルを下げたいという思いが次第に増してきたのでしょうか?
そうですね。以前は麻酔のリスクや検査時の負担を考慮して、どちらかというと慎重派でした。でも、病気を早期に見つけて治療に結びつけるためには、まず検査を受けてもらえなければ意味がありません。そう考えるようになってから、検査の間口を広げる努力を意識するようになりました。今は内視鏡の精度も上がり、早期の胃がんや大腸ポリープを発見できれば、開腹手術をせずに内視鏡だけで治療できる時代です。発見が早ければ、そのぶん体への負担や治療後の状態も大きく違ってくるんです。検査は怖いもの、つらいものと思われがちですが、必要以上に身構えずに一度受けてみてほしいです。その第一歩が将来の安心につながることを、多くの方に知ってもらえたらうれしいですね。
胃の内視鏡検査では経口での検査にこだわられているそうですね。

当院では経口の内視鏡検査を基本としています。というのも、日本人は鼻の奥を仕切る鼻中隔が曲がっている方が多く、経鼻ではうまく挿入できないケースも少なくありません。結局うまくいかず、口から入れ直すといった二度手間になるリスクがあるため、最初から経口を選んでいます。また、鼻からの検査ではできない処置や組織採取が、口からなら可能だからです。例えば吐血がある場合、口からの内視鏡であればその場で出血を止めるためにクリップ処置をしてから病院へ送ることができます。また、アニサキス除去などの緊急対応にも適しています。鼻からの検査が合う方もいますが、当院では「必要な処置をその場で確実に行えること」を重視しています。万が一の事態にもその場で対応できることは、患者さんの安全を守る上で大きなメリットだと感じています。
地域の中で、小さな悩みにも耳を傾ける存在でありたい
訪問診療にも取り組まれていますが、そのきっかけや現在の体制について教えてください。

医師になった時にアルバイトで訪問診療を経験したのが原点です。患者さんとじっくり話せる時間があり、ご家族の思いや日常のできごとまで共有できるという関係性に、「これこそ本当の医療かもしれない」と感じたことを今でも覚えています。現在は僕1人で対応していますが、診療の合間や昼休み、休診日などを活用しながら、お一人お一人と丁寧に向き合っています。ご家族の希望や患者さんの状態に応じて夜間に伺うこともありますし、必要があれば連日の対応も行います。認知症の方が多いので、症状や反応が日によって変わることもありますが、「これは病気の一部なんだ」と理解することで、自然と接し方も変わってきました。自宅で過ごす方々のそばに寄り添う診療は、今も僕にとって特別な時間です。
地域において、今後どのような存在でありたいとお考えですか?
今後も引き続き、地域のホームドクターとして、どんな悩みでもまず相談してもらえる存在でありたいと思っています。大げさな理由でなくても、「ちょっと気になる」「なんとなく不安」といった気持ちの延長で立ち寄ってもらえるようなクリニックでありたいなと。診療だけでなく、患者さんの生活や背景にも目を向けながら、寄り添った医療を届けたいです。そうすることで、当院が地域の中で自然と頼られる存在になっていけたらうれしいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

体のことでも心のことでも、何か気になることがあれば、まずは気軽に当院のドアを開けてみてください。「なんとなく不安」「ちょっと調子が悪い」といった違和感でも遠慮は要りません。そうやって相談していただけること自体が、医師としてとてもありがたく、うれしいことなんです。「まず診て、きちんと判断する」ことが僕たちの役目ですし、症状によっては専門の医療機関をご紹介することもできます。僕だけではなく、受付スタッフや看護師たちも、皆さんに安心していただけるよう日々心を配っています。どうぞ肩の力を抜いて、身近な相談先の一つとして頼っていただけたら幸いです。
自由診療費用の目安
自由診療とは胃の内視鏡検査/2万3900円、大腸内視鏡検査/2万6000円