柏木 明 院長の独自取材記事
かしわぎクリニック
(江東区/豊洲駅)
最終更新日:2021/10/12
新興都市として知られる豊洲駅から徒歩9分。「かしわぎクリニック」は、大型スーパーや保育所、専門の診療科を持つクリニックなど、バラエティー豊かな施設が連なる集合住宅の一角にある。外から受付や待合室が見渡せる一面ガラス貼りの院内は、まるでカフェのように開放的で明るい。静かに流れるBGMは心地良く、患者が持ってきてくれるという飾り棚に並ぶ人形がほほ笑ましい。もともとは大学病院の外科医師だった柏木先生だが、今は「専門性を高めるより、人に喜ばれる総合的な医療を提供したい」と語る。決して話し相手を緊張させない穏やかな雰囲気は、患者にも伝わっているのだろう。休診日だというのに訪れる患者たちの笑顔が、地域に愛されるクリニックであることを物語っていた。
(取材日2014年2月6日)
診療モットーは、わかりやすく丁寧な説明をすること
開放的で明るい院内ですね。
ありがとうございます。ホテルのラウンジのような内装を意識しました。来院された方にも、リラックスした雰囲気を感じていただけたらうれしいですね。ここは、開業をしようと決意した時に、知り合いが「江東区内にいい場所がある」と紹介してくれた物件なんです。昔から江東区はいい街だと思っていたので、「開業するなら江東区」という気持ちはずっと持っていました。豊洲は若い街で、同じ江東区内の北のほうとは、まったく雰囲気が違います。若い夫婦やベビーカーを押している人が多く、活気にあふれたおしゃれな街なんです。だから余計に、スタイリッシュなクリニックにしたいという気持ちがあったんだと思います。
診療において一番心がけていることは何でしょうか?
「わかりやすく、丁寧に説明すること」です。医療用語は難しい言葉が多いですよね。それを、かみ砕いた言葉で丁寧に説明するよう心がけています。検査方針や治療のお薬も、患者さんとよく話し合いながら決めますし、患者さんの希望に添った診療が大切だと思っているんです。当院は、地域の「かかりつけ医」となるべく開業したクリニック。一通りの初期診療ができるというのがコンセプトで、内科や外科、皮膚科を主な診療科として掲げています。ただ、特別な機械を入れたりすると、どうしても専門性が強くなってしまうので、あえて導入はしていません。専門性の高い治療ではなく、あくまでも幅広い診療を提供していきたいと考えているんです。現在は、保育園や老人ホームに嘱託医として出向いていますから、幅広い年齢層のさまざまな症状を診ています。必要であれば、ご自宅へ伺うこともありますよ。
どういった時に、医師になって良かったと感じますか?
治療が終わったときに、医師になって良かったと思います。特に外科や皮膚科は、治療による変化が見に見えてわかりますから、喜びもひとしおです。内科は内臓の疾患なので、患者さんが自覚したり、見たりするのはちょっと難しいですよね。例えば、コレステロールの数値などは、外から見ただけではわかりません。一方、外科はできものを取ったり、傷を縫ったりすれば一目瞭然ですし、皮膚科は湿疹が治ればかゆみも感じにくくなりますからね。成果として視覚的にわかるのは、医師だってうれしいものなんですよ。また、患者さん側にも治療の経過が見て取れるので、変化を実感したと言ってもらえるのもうれしい瞬間ですね。
あえて都心で総合診療を提供し、人々の健康を支える
医師をめざしたきっかけは?
手塚治虫さんの漫画『ブラック・ジャック』に影響されたのが、最初のきっかけです。小さい頃読んだ漫画ですが、その時に「手術がしたい」と強く思ったんですね。それで、「手術をするなら医師にならなければいけない」と考えまして。単純なんですが、そうしたきっかけから医師への道を志しました。父は研究医でしたが、僕は初めから手術のできる臨床医志望でした。そうして、念願叶って外科医師になったわけですが、いつの頃か、「診療科にとらわれない、総合診療を手がけていきたい」という気持ちが大きくなっていたんですよね。いつの間にか「かかりつけ医」となる道を選び取っていました。
大学を卒業後、どういった経緯で開業されたのでしょうか?
大学卒業後に入局したのは、東京慈恵会医科大学附属青戸病院(現・葛飾医療センター)の外科。青戸病院には、細かい分野に分かれた診療科がありません。外科全般を手がける医局が一つあり、食道から肺、胃や大腸などさまざまな部位の治療に携わりました。特殊な分野に分けず、地域に密着した幅広い診療を提供する、というのが青戸病院の診療スタンスだったんです。入局から9年、青戸病院外科の閉局を機に、開業するための勉強を始め、赤坂病院や有楽町電気ビルクリニックで外科以外の診療科を経験。2007年に、念願の開業を果たしました。内科、外科、皮膚科という異なった診療科の治療を一人の医師が担当するのは、患者さんにとって違和感があるかもしれませんが、外科も内科も診察やケアが必要ですから、共通する部分があるのです。当院では傷を縫ったり、できものを取ったりと、小さな処置もしています。僕としては内科と外科に大きな違いはないと思っています。
「尊敬している医師」といえばどなたでしょうか?
慈恵大の医局にいた頃の教授ですね。外科医師としての豊富な経験をお持ちで、医師として憧れていました。大学時代に乳がんや肝臓がんの研究をしていたのも、教授や先輩の勧めがあったからなんです。多くの先輩方が築いた研究を受け継ぎ、さらに発展させていく研究はやりがいがありましたよ。そうした素晴らしい医師たちを見てきたからこそ、自分の中でもっと何かしたいという気持ちがあったんでしょうね。僕の場合、それが「かかりつけ医」につながりました。ただ、今の僕のような診療スタイルで開業している医師は、あまり多くありません。もちろん、地方などで地域診療をされている方はいると思います。でも、「あえて都心で、総合診療のクリニックを持つ」というのは、なかなか聞かない。都心には大きな総合病院がありますから。だけど、都心に住む方にだって、何でも相談できるクリニックがあったほうが安心できますよね。そんな思いから、この場所にクリニックを開いたんです。
生活の安心を守る、自分だけの「かかりつけ医」を見つけてほしい
健康を保つためには、どんなことに気をつけるべきでしょうか。
体を動かすことは健康への第一歩です。患者さんには、「散歩」をお勧めしていますね。1時間の運動時間を持てるなら、週1回。30分の運動時間しか持てなかったら、週2回というふうにアドバイスしています。また、最近はストレスで不調を訴える方が多くなりました。生きていく上で適度なストレスは必要だといわれていますが、たまり過ぎてしまっては体に負担がかかります。そんな時には、自分なりのストレス解消法を見つけていただきたいんです。そして、その人に合った解消法を見つける手助けをするのは、医師の務めだと思っています。ストレス解消には、自分に合った睡眠時間を取ることも大切ですよ。一般的に最適だといわれている7、8時間の睡眠が、必ずしもその人に合っているとは限りません。自分に合った睡眠時間を探して、体の負担を減らしてほしいですね。
お休みの日はどのように過ごしていますか?
休みの日は、スポーツクラブに通っています。小さい頃から体を動かすのは好きで、学生時代はスキー部に入っていたんですよ。今はゴルフが好きなんですが、行ける時間がなくて。なので、最近はもっぱらスポーツクラブで汗を流すのが、ストレス解消になっています。僕の場合、ジムやトレーニングルームで黙々と運動をするのは性に合いません。エアロビクスやマーシャルアーツなど、音楽に乗って体を動かせるエクサイズが好きなんです。運動不足解消にもなりますし、体の健康を保つにも最適だと思っています。
読者にメッセージをお願いいたします。
自分だけの「かかりつけ医」を、お住まいの地域に見つけていただきたいですね。もちろん、大きな病気にかかった時は、大学病院などでの診療が必要でしょう。しかし、日頃のちょっとした相談をしに、大きな病院に行くのは骨が折れるもの。健康管理やささいな相談ができる「かかりつけ医」が近所にいるだけで、生活にも安心感が生まれますよ。当院には、ご家族3世代にわたって通ってくださっている患者さんや、遠方から足を運んでくださっている患者さんがいらっしゃいます。今後は、より地域に密着し、4世代で通っていただけるクリニックにしていきたい。いつまでも、患者さんにとって頼りになる「かかりつけ医」でいられるよう努力していきます。体の心配事や相談事がある時は、ぜひ当院に足を運んでください。あなたに合った診療方法を一緒に考えていきましょう。