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岡野 周子 院長の独自取材記事

おかの小児科

(江東区/門前仲町駅)

最終更新日:2020/04/07

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飲食店が連なる門前仲町のにぎやかな裏通りを抜けると、昔ながらの古い家屋が建ち並ぶ。その中で一際目を引くタワーマンションの2階にあるのが「おかの小児科」だ。院長の岡野周子先生は、小柄でニコニコと優しい笑顔が印象的。待合室には子どものおもちゃや絵本に混じって、図鑑や学習漫画、母親向けのコミックエッセイも置いてある。「お母さんをはじめ、どの年代の子どもにも楽しんでもらえるように考えました」と話す。こまやかな心遣いを忘れず、治療の際には問診を大事にしているという岡野先生に、診療スタンスや子育て中の母親たちへのメッセージなどを聞いた。
(取材日2013年11月21日/更新日2020年1月24日)

新旧の住民が協力し合う、地域の力がある場所で開業

開業されたきっかけについてお聞かせください。

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地域医療に強い病院に勤めていた時、付属の診療所で小児科をゼロから立ち上げたことがありました。その経験から、自分の医院をつくりたいという気持ちになったんです。夫が背中を押してくれたのも大きかったですね。物件を紹介されて来てみたらまだ建設中でしたが、隣が保育園だし、「いいかも」と思ってすぐに決めました。その時に周辺を歩いてみたところ、下町らしい光景が見られて、地域の力がある場所だと思ったんです。ただ、友達の小児科の先生からは、「江東区でやっていけるの?」と心配されました。当時は、これから子どもが増えるとされていたエリアだったので、私みたいなのんびりした医師がやっていけるのか心配だったみたいです(笑)。

どんな患者さんがいらっしゃいますか?

この地域は、どんどん開発が進んでいる臨海・湾岸地区のエリアと、富岡八幡宮などがある下町エリアのちょうど合わさった所なので、どちらからも患者さんがいらっしゃいますね。新旧入り交じっている感じがして、それもこの町の好きなところです。ご家族同士で助け合っていることもあるので、おばあちゃんがいつもと違うお子さんを連れていらして「あれ? この子はお孫さんではないですよね?」なんてこともあるんですよ。開業する前に思ったとおり、地域の力がとても強いですね。富岡八幡宮の有名なお祭りがあって、毎年8月には町会ごとに法被を作り、おみこしを担ぎます。そういう文化があるところも、とても良いと思っています。

医院のロゴマークがとてもかわいいですね。

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犬の散歩仲間の友人夫婦にデザインをお願いしました。初めに私の希望をいろいろと聞いてくれて、ぴったりのものができてきた時はうれしかったです。開業の準備期間に、このロゴマークに向かって「待っててね」と話しかけていたこともあるくらい。なんだかこれからここに来る子どもたちの顔に見えたんです。今も、このロゴからは元気をもらっています。また、内装にもこだわりがたくさんあります。受付カウンターを低くしたのは、入ってきた子どもたちと目線が合うようにと思ったからです。床は抗菌効果もある汚れにくい天然素材のリノリウムを使い、壁の一部には磁性を帯びたステンレスを入れて、お知らせなどをマグネットで直接貼れるようにしました。

判断の根拠を伝えることの大切さ

こちらの医院の診療スタンスを教えてください。

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小さな診療所ですが、ここでできる中で、一番信頼できる治療をやらなければいけないという気持ちは常に持っています。また、「こういう理由だから大丈夫」と、根拠を必ず言うようにしています。私は気が小さいこともありますが、根拠がないのに「大丈夫」と言うことは、怖くてとてもできません。症状が出ていない場合でも、最悪のことまで考えて判断し、そう判断した根拠をお伝えしています。実際に、医療に携わっていると危ない目にあうことがあります。ただの風邪のような症状だったお子さんが、血液検査をしてみたら尿路感染症にかかっていたこともあるんです。だから親御さんや自分に対しても、「大丈夫」と根拠を持って言えることが大事だと思っています。

常にあらゆる可能性を想定して判断されているのですね。

明らかに大丈夫という時以外はそうですね。今でもよく覚えているのが、胃腸炎の流行時期に来院した、嘔吐していたお子さんのことです。総合病院を受診した後も嘔吐が止まらないと、午後の外来にいらっしゃいました。点滴して水分をあげたところ、夜にかけてだんだん元気になってきたので、家に帰そうかどうしようかと様子を見ていた時のことです。飲めていたはずの水を突然ガバっと吐いてしまったんです。慌てて近くの都立病院に運んでもらったところ、結局明け方に手術をすることになりました。重大な病気だったのです。もしもその子が水を吐かなかったら、家に帰していたかもしれません。見落とさなくて本当によかったと思います。

自己肯定感を持って子育てできるように支援

親御さんへの接し方で心がけていらっしゃることはありますか?

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医師としては、親御さんたちの言いたいことをいかに吸い上げていくかは、とても大事です。お母さんたちは、一番心配なことや気がかりなこと、納得していないことは帰りがけのドアの前で言うんですよね。だから、ちょっと立ち上がり方がゆっくりだったり、まだ言いたいことがありそうなときのサインを見逃さないようにしています。また、話すときはゆっくりと、間を取ることを心がけます。私は問診をとても大切にしているのですが、それはお母さんからの情報が重要だからです。診察だけでは見えないことがあります。私の娘はアトピー性皮膚炎だったので、親御さんの気持ちもよくわかるんです。自宅で症状が出ることが多いので、ここでは何ともなくても夜中は大変なんだろうなと想像できることもありますね。

今後の展望をお聞かせください。

親御さんたちには、自己肯定感を持って子育てしてほしいので、それを支援できればいいなと思います。今はいろいろな意見が入ってくる中での子育てなので、自分や子どもの良い所が見えなくなってしまうんでしょうね。そんな親御さんたちのために、一生懸命勉強をしています。医学や子育てのことはもちろん、もっと深いところで「人間とは何か」ということまで考えたいので、哲学、社会学、教育学、子どもや家族についての小説など、幅広く本を読んでいます。そのくらいの幅の広さを持って鍛えていないと支援はできませんよね。おもしろくてホッとする、皆さんの心にすっと届く言葉を言えるようにしたいです。お母さんを笑わせて帰したい、というのが私のスタイルなので、年を取れば取るほど言えることも増えていくんじゃないかと思います。

最後に、子育て中の読者にメッセージをお願いします。

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子育ては大事ですが、お母さん自身の人生をしっかり生きることも大切にしてほしいです。子どもは子どもの物語を生きていることを理解して、尊重しながら接する距離感が必要だと思います。完璧な親はいないし、自分が完璧だと思っていたらかえって危険です。乳幼児健診で悩んでしまうお母さんもたくさんいます。だから、ここに来たお母さんたちには、先のことを言ってあげるようにしているんです。他の子より歩くのが遅いことに悩んでいたら、「歩く時期なんて履歴書に書かないから大丈夫よ」と伝えます。おむつが取れない子どもも、実はそれがその子のこだわりだったり、マイナスに思えることがその子の核になり、世を切り開いていくことにつながることもあります。また、子どもにとって、病気は決して悪いだけではありません。体調の悪い時は、実は親に大事にされる良い機会になることも知っていただけたらと思います。

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