治療可能なステージを逃さない
がんの早期発見に有用な内視鏡検査
青木クリニック
(江戸川区/船堀駅)
最終更新日:2025/06/05


- 保険診療
日々の忙しさを理由に、検査や検診を後回しにしている人は少なくない。特に胃と大腸の内視鏡検査は、検査を受けずにいることで「がんの治療可能なステージを逃す」という大きなデメリットを背負う可能性があるだけに、早期に、そして定期的に受けたい検査だ。内視鏡検査に対する「痛いのではないか」「内視鏡の挿入は怖い」といったネガティブなイメージは根強いが、検査で得られるメリットは大きく、例えば大腸の内視鏡検査では、大腸がんの前段階であるポリープを検査と同時に切除できるという治療の側面も併せ持つ。日本消化器外科学会消化器外科専門医で日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医の青木順院長に、内視鏡検査を受けないデメリットや検査を受けるべきタイミングや年齢など、検査を受けるきっかけとなり得る話を詳しく聞いた。
(取材日2025年5月15日)
目次
胃がんや大腸がんの治療可能な時期を逃さないために、早めに受けておきたい内視鏡検査
- Q内視鏡検査とはどのような検査ですか?
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A
▲日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医を持つ青木院長
胃の内視鏡検査は鼻または口から内視鏡を挿入して、喉から食道、胃、十二指腸までの内側を見る検査で、粘膜病変を見つけることが主な目的です。大腸の内視鏡検査ではお尻から内視鏡を挿入し、直腸から盲腸までを観察し大腸の粘膜病変の有無を確認します。当院の場合、胃の内視鏡検査は基本的に経鼻内視鏡で行いますが、鼻からの挿入が苦手な方に対しては、経鼻内視鏡と同じ細さの内視鏡を使って経口で検査を行います。以前は、経鼻内視鏡は画質が悪いといわれていましたが、先進の機種であれば画質に遜色はありません。胃カメラ、大腸カメラともに鎮静剤を使用して楽に検査を受けていただくことができます。
- Q内視鏡検査によって、どのようなことがわかるのですか?
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A
▲鎮静剤を使い痛みに配慮した検査も可能
胃の検診には内視鏡検査以外にバリウム検査がありますが、この検査には胃がんのリスクとなる萎縮性胃炎と早期がんを見つけにくいという欠点があります。萎縮性胃炎を診断するためには内視鏡検査が適しています。萎縮性胃炎を見つけることがピロリ菌の除菌につながり、ひいては胃がんの予防につながります。大腸がんは腺腫性ポリープを経てがん化するという発生機序ですから、理論上はポリープを切除すれば大腸がんを回避できます。ポリープの有無だけを確認するのであればCT検査でもできますが、内視鏡検査ではポリープ切除を行うことも可能で、治療という側面もあります。
- Q内視鏡検査を受けないリスクについて教えてください。
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A
▲検診は症状がないうちに受けることで、早期発見早期治療をめざす
私は外科医として、発見が遅れて重症化してしまった患者さんを数多く診てきました。お尻から出血の症状が見られるにもかかわらず、痔だと思って放置していた患者さんに対して、念のために内視鏡検査を行ったところ大腸がんが見つかるという例は非常に多くあります。痔の有無に関係なく、お尻から出血している場合は、大腸がんを疑って検査することをお勧めします。胃に関しては、先ほどもお話しした萎縮性胃炎、いわゆるピロリ菌関連の胃炎の有無を確認しておいたほうが良いでしょう。ピロリ菌の除菌をしないままでいると胃がんのリスクが高くなりますから、若い人でも一度は検査を受け、陽性だった場合はできるだけ早く除菌治療を行いましょう。
- Q検査を受けるべきタイミングについて教えてください。
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A
▲頭の隅に置いてほしい、胃と大腸の視鏡検査
基本的にピロリ菌は幼少期に感染し、自然に消えることはありません。ですから、「成人したら胃の内視鏡検査を受ける」くらいの気持ちでいてほしいと思います。大腸の内視鏡検査に関しては、大腸がん検診で行う便潜血検査の結果が目安といわれていますが、病気の有無を正しく判定する精度はあまり高くありません。とはいえ、便潜血検査で陽性が出たら、まず絶対に内視鏡検査を受けてください。さらに、大腸がんの「予防」という観点で、ポリープ切除がありますが、ポリープ自体は症状や便潜血検査の結果には影響しません。そのため、積極的な大腸がん予防を考えるならば、大腸の内視鏡検査は、40歳を過ぎたら一度は受けておきましょう。
- Q定期的に検査を受けることも重要ですね。
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A
▲1度だけではなく、毎年受けてほしい検査と話す青木院長
ピロリ菌の除菌がどのレベルで成功したかにもよりますが、除菌しても胃がんのリスクはゼロにはなりません。一度ピロリ菌に感染したら、たとえ除菌後であっても胃炎が進行して胃がんになるケースは数多くあります。早期がんを見落とさないためには、除菌後も毎年胃の内視鏡検査を受けてもらいたいと思います。大腸がんは、相当進行するまで症状が出ない病気です。大腸の内視鏡検査を受けないリスクは、治療可能なステージを逃してしまうことです。定期的に検査を受けて、早期発見・早期治療に結びつけましょう。先進の機器を使うことで鮮明な画像が得られ、広い範囲を見渡せるため、以前より検査時間も短縮されて検査も受けやすくなっています。