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安部 潔 院長の独自取材記事

安部診療所

(江戸川区/一之江駅)

最終更新日:2021/10/12

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「患者さんの事情をくんで、接点を探る。歩み寄ることを大事にしたい」と話す安部潔先生は、一之江駅から10分弱ほどの商店街や住宅の入り混じる下町で、40年近く地域住民の健康を見守ってきた「安部診療所」の2代目院長だ。帝京大学医学部附属病院や東京警察病院で、外科や救命救急、循環器科、呼吸器科、消化器科といった幅広い科の臨床経験を持つ。さまざまな症例に対応できるベテラン医師であるにもかかわらず、医師然とした厳しい雰囲気を感じさせず、初対面の人でも自然と笑顔にさせ、安心して話しかけたくなるような魅力の持ち主。「コンクリート打ちっぱなし」「吹き抜け」「中庭」といったおしゃれな院内で、医師としての豊富な経験や患者さんへの思いなどについて伺った。

(取材日2015年1月30日)

データだけに頼らず五感も生かす、救命救急や外科での経験が豊富

コンクリート打ちっぱなしの壁に吹き抜け、とってもおしゃれな院内ですね。

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約20年前に父から診療所を引き継いだ当初は、建物もそのままで診察していたのですが、しばらくしてから阪神大震災が起きました。そのとき、丈夫な作りにしないと危ないなと感じ、建て替えをしたんです。その際にこだわったのは、細かく区切らずに箱で作ることと動きやすい導線を作ることの2点。細かく部屋を作ると後から変更しづらいですし、導線が悪いと患者さんが不便ですからね。吹き抜けを作ったのは、やわらかい自然光が入ったらいいなと思ったから。待合室から見える中庭には、春になるといろいろと咲きますよ。手入れは看護師さんに任せっぱなしですが(笑)。

先生は、いつ頃から、なぜ医師をめざされたのでしょうか?

中学から高校くらいにかけてでしたかね。父は医師ですが、父から医師になれというプレッシャーは一度もなかったですね。一緒に夕飯を食べることもほとんどなかったくらい忙しかったですし。でも、少なからず父の影響は受けているとは思います。今もそうなのですが、私が小さい頃から自宅兼診療所で、昼休みに診察室に来て父の様子を見ていましたし、難病を見つけことで患者さんから感謝される姿も見ていました。そういうことも関係あるかもしれませんね。

医学部を卒業後、大病院などで経験を積まれていますね。

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帝京大学医学部を卒業後は、同大学医学部附属病院で2年ほど、あえて外科医として研修を受けました。その時、救命救急医としても従事しました。あの頃は40日くらい家に帰れないことも……。でも、10日位すると開き直れるようになるんですよ(笑)。病院で寝て、下着などはコンビニで買ってね。あの時は、見るものすべてが勉強でした。救命救急では、患者さんが来てから処置するまでの時間をなるべく短縮したいから、検査データだけ見ていたら遅い。顔色、雰囲気、歩き方などを自分の五感を持ってチェックしていくことが求められる。そのうち上がって来たデータと五感で感じたことを付け合せ、病気をセレクトして治療する。もちろん、時には手術も。だから、経験や勘が必要なんです。なかなかできない経験をしました。病院に泊まり込むことをいとわずに従事していたので、救命救急の仕事が好きなんだなと感じてくれたのでしょうか。救命救急に残らないかとスカウトされたこともありましたよ。でも、救命の入口はいいのですが、その後のフォローをしっかり仕切れない点が気になり、結局残らない道を選択しました。

患者さんは千差万別、大きな看板がないからこそ納得できる説明が大事

あえて外科での研修を選んだのはなぜですか?

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研修であえて外科を選んだのは、治療の反応をダイレクトに出せることに魅力を感じたから。ところが、実際に外科に携わると、手術をやってもやっても治らない患者さんは必ずいらっしゃいます。そういった方々を治療するうちに、手術に至る前の段階でやれることをやらないとだめだなと感じるようになったのです。そこで、がんなどを早期に発見できるように診断学を勉強することこそが人を助けるチャンスを増やすことにつながると感じ、東京警察病院に10年近く勤務しました。東京警察病院は、命に関わる病気の早期診断ができる経験を積むことができ、複数の科をローテーションできる病院なんです。いわゆる「専門ばか」になりたくなかったからこその選択です。それで、6年近くにわたって循環器、呼吸器、消化器を経験しました。

それで、同診療所も診療科目が幅広いんですね。

江戸川区というのは3世代で暮らしている方も多く、世代バランスが非常にとれている地域でしてね。おじいちゃん、娘、孫とみんな、幅広い世代の方にご来院いただいています。症状もさまざまですから、経験を生かして、内科、小児科に加え、呼吸器科、消化器科、循環器科、皮膚科、リハビリテーション科と診療科目も広げています。複数の科をローテーションして臨床経験を積んだことや、救命救急で非常に幅広い層の患者さんを診てきたこと、外科の経験のすべてが今に役立っています。町の診療所に来る患者さんは千差万別。「どこに行けばいいのかわからないから、安部診療所に来た」という方もいらっしゃいます。その方に「専門じゃないので」とは言えないでしょう。過去の経験はもちろん、新たな「引き出し」は常に作っているつもりです。

大学・総合病院と診療所の大きな違いは何だとお考えですか?

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これまでは、大学・総合病院という看板を背負っていたんだなと思いますね。もちろん正しいことを言っていたのですが、だいたい医師の言う話をきいてくれたんですよ。「ブランドで診療していた」と言いましょうか。でも今は違います。患者さんからも意見がたくさん出ますし、患者さんを納得させてあげないと途中で治療を辞めてしまうし何度も聞いてくる。そんなことは大病院に勤めていた頃にはなかったことでしたから、カルチャーショックでしたね。でも、お互い納得しながら進める治療が求められることは、ある意味面白い。そして、考えてみれば当然なのかなと思います。お金を払って自分の命を預けに来ているわけですから、医師の説明に対して疑問に思ったり「本当かよ」と感じたりすることは当然あるでしょう。また、大病院などは先進医療を行うことが役割だと思っていますが、町の診療所はそうではないですからね。患者さんの事情をくみながら、患者さんと一緒に治療プランを作っていくことが役割だと思っています。

患者の「キーワード」「もやもや」を見抜いて寄り添う

患者さんと接する際に心がけていることは何ですか?

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患者さんには必ずキーワードがあるんです。最近はテレビ番組などで勉強して自分の病気を思い描き、もやもやした気持ちで来院する方も多いんです。そこを察知して、納得できるように説明しないと、患者さんは安心してくれません。でも、一方的に結論や治療法を伝えるわけではありません。患者さんにはそれぞれに事情があります。例えば、「インスリン注射が必要」と医師が判断しても、患者さんには「インスリンはかっこ悪い」とか「生活スタイル上無理」といった事情があるでしょう。お互い納得できる治療をするために、治療プランをいくつか提案し、接点を探す努力を大切にしています。歩み寄るんです。世間話なんかもしながらね。これが私の心がけです。また、看護師などスタッフには、「医師と患者さんの間に入り、患者さんに近い存在でいることを心がけてほしい」とお願いしています。私も患者さんにはやわらかく接しているつもりですが、そう思われるばかりではありませんよね。だから、看護師には本音を話せる存在でいてもらいたいと思っています。

休日はどのようにお過ごしですか?

ゴルフをすることもありますし、コンサートに行ったり演劇を見たり、落語も大好きです。落語は3時間くらい見続けるんですけどね、まったく飽きない。面白さは「間」。映画とかを見ていると「こんなシーン要らないんじゃない?」と飽きる瞬間があるんですが、落語にはそれがなくて、言葉の間や抑揚のつけ方で見ている人を飽きさせない。落語は医師になってから好きになったんですよ。年を取りたくないので、これからも新しいことには挑戦していきたいですね。

今後についてお聞かせください。

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1日1日、今をきっちりやっていきたいですね。そして、ある時振り返ったら「あ〜、よかったな」と思えればいいと考えています。江戸川区って人のつながりが深くて、地元意識も強く、地元に残って結婚する人も多い気がします。院内で30年ぶりに同級生同士が再会してる場面もたまに見ますよ。そんな人間味あふれる江戸川区で、目の前にいる患者さんにしっかり対応していきたいと思っています。大病院でも町のどこの診療所でも医療費は同じ。そんな中で安部診療所を選んでくれた患者さんには、100%で応えたいですね。患者さんのなかには、思っていることがあってもなかなか口に出せない人がいらっしゃいます。なんでも相談してほしいと思っていますが、そういった方の気持ちに気付き、寄り添うことが私の仕事だと思っています。これからもこの地域のみなさんのかかりつけ医であることが私の役目ですから、気兼ねなく診療所にいらしてください。

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