細川 譲 院長の独自取材記事
新小岩平成クリニック
(葛飾区/新小岩駅)
最終更新日:2026/01/15
JR総武本線新小岩駅から徒歩5分、下町の温かい雰囲気が漂う通り沿いに「新小岩平成クリニック」はある。整形外科・内科・リハビリテーション科・在宅医療を掲げ、患者の8割は高齢者だ。外来から往診、さらに施設入居後の診療まで一人の主治医が継続して担当し、親身な姿勢が地域の信頼を集めている。「ご高齢の患者さんが主治医に求めているのは、満点の医療ではなく、気軽に相談でき、必要に応じて信頼できる場所を提案してもらえる関係だと思います」と語るのは、整形外科専門の医師として30年の経験を持つ細川譲院長。高齢者率の高い葛飾区・江戸川区において、医療と介護の両面から患者を支え、外来診療に加えて往診にも奔走する細川院長に地域医療の重要性を聞いた。
(取材日2014年7月10日)
初診の主治医が、老人ホーム入居後の診察まで担当
このクリニックは幅広い活動をされているとお聞きしました。

はい、当院は24年前に、地域の主治医としての総合的な機能を持つクリニックとしてオープンしました。クリニックに来た外来の患者さんだけでなく、患者さんのご自宅や老人ホームへの往診も行っています。加えて、医療と介護の橋渡しとして高齢者施設についても相談を受けています。それがご高齢の患者さんとご家族にとって、一番安心なことなのではないでしょうか。当院の理事長は、特別養護老人ホームを経営しており、入居者の方の医療施設が必要ということで当院を開院することになり、私にも声をかけていただきました。こういった施設は地域に必ず必要と思っていましたので、私も喜んでお引き受けしました。軌道に乗るまでいろいろありましたが、現在は開院当初の理想をほぼ実現することができ、本当に良かったと思っています。
貴院の理想というのは、具体的にどのような形なのでしょうか?
お子さんからお年寄りまで、地域の方がどなたでも利用し続けられるクリニックです。患者さんがクリニックに通っていてご高齢になり、足が不自由になるなどの理由で通えなくなると、訪問診療が必要になります。訪問診療を行っていないクリニックの場合、その時点で患者さんは他のクリニックに切り替えなければならず、当然ながら主治医も替わることになります。さらに症状が進んで施設に入らなければならなくなった際は、また主治医を替えなければなりません。もちろん書類などによる申し送りはありますが、ご高齢の方は体のあちこちに病気があることが多く、症状も複雑になっているので、手短な引き継ぎだけでは把握できないことも多いんですよね。「できればずっと同じ主治医で」というのが、当院の理想とするところです。
施設に入居後も同じ主治医で診察が可能ということですか?

そのとおりです。当院は私と理事長の2人がドクターとして診察をしていますが、一方が往診をしている間に他方が外来を担当するといったように、常に往診できる体制を取っています。いくつかの老人ホームにも伺っていますので、いつもクリニックにお越しになっている患者さんが寝たきりになれば往診に伺い、症状が進んでホームに入る必要が生じれば、その方に合ったホームを提案し、引き続き診療に伺えるというわけです。看取りの際なども連絡があれば夜中でも伺いますので、安心して任せていただけるかと思います。また、近隣のケアマネジャーさんとも日頃から密に情報交換を行い、患者さんの生活状況や介護度の変化を共有しながら、必要に応じてスムーズに往診へつなげられる体制を整えています。地域の介護保険サービスや多職種との連携をより強化し、医療だけでなく生活面も含めた全人的なサポートができるよう努めています。
地域のふれあいがある下町・小岩で、心の通う医療を
どんな年代の患者さんが多いですか?

やはり7〜8割ほどは、70代以降のご高齢の患者さんですね。江戸川区の北部から葛飾区にかけては高齢者率がとても高く、必然的に患者さんもご高齢の方が多くなります。ただ、お子さんや主婦の方が診察に来られないかというと、そうでもありません。おじいさまやおばあさまが当院に通われていて、その紹介でお子さんやお孫さんが来られ、親子3代で診察をしているご家庭もかなりあります。お孫さんが来られる場合でも、すでにおじいさまやおばあさまから当院の話を聞いているので、嫌がらず安心して来てくれます。
地域柄、フレンドリーな患者さんが多いのでしょうか?
ええ、私自身も近くの江東区出身なのでこの地域にはなじみが深いのですが、下町なのでとても親しみやすい患者さんが多いですね。街を歩いていると、未だに井戸端会議している方を見かけるような街です。訪問診療に行って驚くことがあるのですが、患者さんのお世話をされているのでご家族の方かと思ってお話をしていたら、近所のお知り合いだったりするんですよ。地域の方々がお互いに助け合っていこうという意識が強く、頭が下がるような場面にもよく出会います。一人暮らしのご高齢者も多いのですが、こういう連帯感がある街なら安心して暮らせるでしょうね。
一人暮らしのご高齢者がたくさんいらっしゃるのですね。

そうですね。当院にも多くの方が来られていますが、一人暮らしの患者さんでは、お体の状態に適さない環境で暮らしておられるケースも少なくありません。認知症を発症し、ご家族をお呼びして今後の対応を話し合う場面もあります。こうした相談はケアマネジャーさんでも可能ですが、当院は長いお付き合いの中で症状や性格を把握しているため、より適した助言ができます。施設に入ったほうが良いのか、もし入るならどこが最適かなど、具体的な施設の特徴を説明しながら進めています。入居に迷われた方がケアハウスなどのショートステイを体験し、認知機能に変化が見られた例もあります。手続きや入居条件など、ご家族にはわかりにくい点も多いため、どんなときもできる限り相談に応じています。このような悩みを抱える方は意外に多いようです。
一人で悩まず、まずは気軽にクリニックで受診を
この仕事をしていて本当に良かったと、感じられることはありますか?

一番うれしいのは、患者さんがご家族に診療を勧めてくださったときですね。大切なご家族が当院に来られるということは、私どもを信頼してくださっていることと受け止め、より良い医療を提供していかなければとあらためて思います。そして患者さんの症状が改善し、「良かったね。もう来なくても大丈夫ですよ」と言って差し上げられたら、医師として本当にうれしいと感じます。患者さんが主治医に求めているのは、決して満点の医療ではないと思うんですよね。いつも親身になって相談に応じてくれて、何かあったときは信頼できる所を提案してくれるという、その信頼関係こそが大事なのではないかと思います。
健康のために気をつけていらっしゃることは?
早寝早起きでしょうか。寝ているときに急患の電話がかかって出かけることもありますが、基本的には夜9時半頃に就寝し、朝は4時半頃には起きています。クリニックには朝7時前に出勤して、外来の始まる前に書類関係の仕事を片づけています。診療が始まってしまうと事務的な作業は何もできませんし、仕事柄いつ患者さんから連絡が入るかわからないので、診察時間外も遠出はできません。けれども当院を信頼して通ってくださる患者さんがいることは、医師としてとても幸せなことだと思っています。
ドクターズ・ファイル読者に向けて、メッセージをお願いします。

当院は内科や整形外科を中心に診療を行っており、これまで眼科診療も行っておりましたが、現在は眼科を休診しております。腰や膝の痛み、おなかの不調、皮膚のかゆみなど、どんな症状でもまずはお気軽にご相談ください。ご高齢のご家族の症状が気になる場合は、ご一緒に来院いただき、お話を伺うことも可能です。お一人で抱え込まず、まずは相談してみようという気持ちが大切です。そして相性の良い主治医に出会えたときは、ぜひ長い信頼関係を築いていただきたいと思います。外来診療・往診・入院・施設入居など、ご高齢の方は体調の変化に伴い生活や医療の形も変わります。そうした変化に柔軟に対応し、いつでも相談できるクリニックを選ばれると良いでしょう。

