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佐藤 一樹 院長の独自取材記事

ハートクリニック

(葛飾区/綾瀬駅)

最終更新日:2023/12/11

佐藤一樹院長 ハートクリニック main

綾瀬駅から徒歩2分の立地にある「ハートクリニック」。内科・循環器内科・循環器小児科・心臓血管外科を診療する同クリニックで、院長を務めるのが佐藤一樹先生だ。患者の背景を深く知って診療するため、医療コンシェルジュと呼ばれるスタッフが在籍していたり、予診のための問診室を設置するなど、きめこまやかな体制を採用して治療にあたっている。豊富なビジュアル資料を手際良く示しながらの明快な語り口が印象的な佐藤院長に、患者とのコミュニケーションを円滑にするためのシステム設置の意義や、医師と患者がともに協調しながらより良い治療をめざす重要性などについて話を聞いた。

(取材日2023年6月27日)

患者の背景を知り信頼関係を築く予診システムを

こちらには医療コンシェルジュと呼ばれるスタッフが常駐されています。その役割を教えてください。

佐藤一樹院長 ハートクリニック1

医療コンシェルジュは、院内で接遇するために専門的に学んだスタッフで、待合室のフロアマネジャー的な役割をしています。通常の待合室では、来院した患者さんと受付・会計をするスタッフとの間にはカウンターがありますから、どうしても隔たりが生まれますよね。当クリニックでは、待合室のスペースに常に医療コンシェルジュがいるので、隔たりを作らずに患者さんに接することができます。来院した患者さんの症状を聞くことはもちろん、待合室にある血圧計の測り方や、名前を呼ばれたらどの部屋に行けばいいかといったことまでご案内する、いわばお世話係のような存在ですね。

診察室の手前には「問診室」もありますね。こちらはどのような場所でしょうか?

いきなり医師の診察を受けるよりも、看護師相手のほうが気軽に話をしやすいという方は多いと思います。そこで、まずは診察の前にプライバシーが守れる個室で、看護師が患者さんの症状などを予診するための場所です。体の状態を把握するためには、その人がそれまで生きてきた来歴を知ることはとても重要です。ご出身やご家族の病歴、仕事の性質や運動・睡眠習慣、嗜好品など、予診用のフォームも細かく作成しています。また、例えば予診の段階でエックス線撮影や心電図検査、血管年齢(血管伝播性)検査が必要だと思えば、僕が診察する前に看護師が準備したり検査おくこともできるので診療の効率も良く、結果的に待ち時間も減らすことができますよね。患者さんの満足度を高めるためにも、この予診システムは非常に大事にしています。

医療コンシェルジュや問診室などの体制を導入した背景は?

佐藤一樹院長 ハートクリニック2

患者さんとの信頼関係を築くためには、じっくり話を聞くことが重要だと考えたからです。医療コンシェルジュがいることで待合室でのケアもできますし、予診をする看護師も大学病院や循環器専門病院の集中治療室や病棟で専門的にトレーニングを受けて経験豊富な人たちなので、彼女たちが予診をしている段階でわかることもあると思います。予診では気軽な話もしやすいので、ちょっとした日々の出来事や、一見余分な雑談に思える会話もしているのですが、患者さんの生活習慣を把握して診療するためには、そうした話から得られる情報も重要なのです。このクリニックには医師は僕一人ですし、医療コンシェルジュや問診室のシステムがあることで患者さんの状態を理解する助けになっています。

治療への意識を高めるための“視覚に訴える”診察を

どのような症状を訴えて来院する方が多いのでしょうか?

佐藤一樹院長 ハートクリニック3

動悸やめまい、胸痛、あるいは一過性の脳虚血のような症状など、心臓の疾患を疑われるようなケースが多いですね。もともと健康診断では何年か前から糖尿病や高血圧などを指摘されていたのに、自覚症状がないので長い間医療機関を受診せずにいたという方もよくいらっしゃいます。健康診断では医師からそれほど強く指導されないこともあるためか、体調が何か変だなと気づいてからようやく来院されて専門的に診療する段階では、もうかなり病状が進行しているということも考えられます。健康診断で何か指摘されたら自覚症状がなくても医療機関を受診していただきたいですね。

生活習慣病などは自覚症状がないことも多く、治療への意識づけも難しいですよね。

そうなんです。ですから、医師が患者さんに説明する段階で、いかに治療の必要性を伝えるかが大事です。そこで当クリニックでは説明のためのスライドを作って、その都度見てもらいながら診察するようにしています。例えば、日本では平均的に夏場に血圧が低く、冬になると血圧が上がっていく人が多いという傾向があります。なので、夏の時点ですでに血圧が高い人は、冬まで治療せずに放っておくとリスクは高くなりますよね。しかし、それを口頭で伝えても患者さんの印象に残るとは限りません。言葉というのはその場で消えてしまうものですからね。そこで、血圧が原因で心臓病や動脈解離や脳卒中亡くなったの数値をグラフ化した図を示して、冬場の血圧上昇による危険性を目で見てもらうと、ちゃんと治療しようという意識になってもらいやすいと思うんです。どのような危険性があるのか、視覚に訴えながら説明することを心がけています。

写真や実際の症例を示したものなど、スライドの種類も豊富ですね。

佐藤一樹院長 ハートクリニック4

もともと、私の専門は心臓外科なので循環器の具体的な症例の心臓の中の写真も多く持っていますし、それらを見ていただいたほうがリスクも理解してもらいやすいと思っています。また、著名な方々が病気になった事例はニュースなどで皆さん知っていますから、そうした例をあげながらスライドのグラフを用いて、この疾患では障害が残る人が何割、仕事に復帰できる人が何割、といったように具体的な可能性を説明すると、患者さんも実感を持ってご自身の症状を認識していただけると思います。また、製薬会社などが作成している、病気のリスクや食事指導などを絵や漫画で解説した冊子も必要に応じてお渡しするなど、診察でお伝えしたことや治療への意識を患者さんが忘れてしまわないよう工夫しています。

“惰性”にならない協働的な治療を

クリニック全体として、大切にしていることを教えてください。

佐藤一樹院長 ハートクリニック5

コミュニケーションが重要だと考えています。「インフォームドコンセント」という言葉がありますよね。医師が患者さんに情報を十分に提供した上で医療行為に対して合意をすることを指す言葉ですが、実際には医師が渡した情報をもとに患者さんが合意する、というだけでは一方的な関係になってしまいます。そうではなく、大事なのは「協働的意思決定」、つまり医師と患者さんがともにキャッチボールのように双方向性に話し合いながら治療方針を決定していくことです。他のクリニックでも治療を受けてきて、うまくいかないので当クリニックに来られた方であれば、なおさら協働して話し合う必要がありますし、信頼関係がすでにある患者さんの場合には「先生にお任せします」となることもあります。それは一人ひとり違いますから、やはり細かくコミュニケーションをとっていかなくてはなりません。

治療を長期的に継続していく際にも、気をつけていることはありますか?

「クリニカルイナーシャ」という言葉があるんです。「イナーシャ」は慣性・惰性という意味ですね。現状の治療を続けるだけではいずれ悪化の恐れがあるにもかかわらず惰性で同じ治療を繰り返し、適切な治療に乗り出せないことをクリニカルイナーシャと呼んでいます。生活習慣病など自覚症状のない疾患では、短期的には変化がないように思えるため、延々と同じ薬を処方し続けるだけというケースも少なくありません。そうやって惰性で流されるのではなく、しかるべきタイミングでより良い治療をめざすことを大事にしています。また、自覚症状がないと患者さんのほうも惰性になってしまいますから、つい継続的な治療をさぼりがちになることもあります。例えば睡眠時無呼吸症候群の治療で、就寝中にCPAP(シーパップ)を装着している方であれば装着を怠ったらどうなるかもきちんと説明しながら、ケアをしていく必要がありますね。

読者へのメッセージをお願いします。

佐藤一樹院長 ハートクリニック6

健康診断で少し悪いデータが出たような場合、自覚はなくても実は重大な疾患が隠れているという可能性もあります。何か小さな心配や疑問が出てきたら、気軽に来院してほしいですね。予診ではリラックスした雰囲気で気軽に話ができるような環境をご用意していますし、敷居が低くなるように気を配っています。また一過性の意識消失などは脳疾患よりも循環器が原因の場合も多いのですが、僕は心臓を専門にしている医師ですから、そうした症状の際もぜひ安心していらしてください。

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