保坂 晃一郎 院長の独自取材記事
四つ木歯科クリニック
(葛飾区/四ツ木駅)
最終更新日:2025/09/01

四ツ木駅から徒歩10分。学校帰りの子どもたちやベビーカーを押す母親、買い物帰りの高齢者と、多彩な人々が行き交うこの町で、1993年の開業以来、地域の人々に親しまれている「四つ木歯科クリニック」。広々とした院内には先進機器が備えられ、保坂晃一郎院長をはじめ、さまざまな専門分野の歯科医師が10人以上在籍。1日3人体制で、一般歯科をはじめ、歯周病治療やインプラント治療、小児歯科、歯列矯正などに対応している。また、管理栄養士が担う認定栄養ステーションやキッズクラブなどの取り組み、訪問診療にも注力する同院。「技術はもちろん大事ですが、それ以上に大事なのは、患者さんに安心して治療を受けてもらえることと、スタッフが誇りを持って楽しく働けることです」と、話す保坂院長に、診療への思いを聞いた。
(取材日2025年4月3日)
「通っていて良かった」と思われる歯科医院をめざして
クリニックの特徴について教えてください。

現在、当院には口腔外科、歯周病、小児歯科、補綴、審美歯科、矯正、インプラント治療の各専門の歯科医師など、10人以上の歯科医師が在籍しており、曜日代わりで診療にあたっています。また、スタッフには介護職の経験者や保育士・幼稚園教諭もいて、例えば、車いすの患者さんの誘導や、立ったり座ったりするときの介助などスムーズにやってくれていてとても助かりますし、患者さんにも安心して通ってもらえたら良いですね。こんなにいろいろな方々が集まってくれている偶然に、本当に感謝です。今働いてくれているスタッフには、なるべくずっといてほしいと願っています。
さまざまな年代に合わせた取り組みをされているそうですね。
食や栄養に関わるサービスを提供する拠点として「認定栄養ケアステーション四つ木」を立ち上げ、管理栄養士によるご自宅や施設などへの訪問、食や栄養の相談、特定保健指導、調理教室などを行っています。男性の管理栄養士が、勉強会や地域の集まりに積極的に参加して、歯科における管理栄養士という立ち位置で活動しています。例えば、食べた物はすべて栄養になる前提で計算されていますが、実際はお口の状態によって、同じだけの栄養素として取り込まれるのかといったらそうではありません。食べ物が口から胃の中に入るとき、どういう形状で入るのか、どれくらい細かく噛めるのか、しっかり飲み込めるかといった歯科の視点を持って栄養を考えています。「楽しく食べること」「しっかり栄養を取ること」をお手伝いをするのが歯科の役割と考え、この取り組みをスタートしました。
お子さん対象の「キッズクラブ」についても教えてください。

「キッズクラブ」は、3歳から6歳ぐらいのお子さんたちに、20年後、30歳手前になって「四つ木歯科に通っていて良かった」としみじみ思ってもらえるような歯科医院でありたいという思いで始めました。キッズクラブでは毎回、歯垢染色液を使って磨き残しがないかを確認し、きちんと磨けるよう練習します。それに加えて、口腔機能の発達不全に対する取り組みも行っています。これは、お口がぽかんと開いている口唇閉鎖不全症の子や、飲み込みに問題があり口腔機能の発達不全症と診断された子どもたちを対象にした機能強化訓練です。これによって、将来的な歯並びの悪化予防をめざしていきます。虫歯ゼロをめざし、審美性に配慮しつつ、将来の健康にもつながることを願っています。
嚥下専門の医師も週に一度参加する充実の訪問診療体制
こちらの訪問診療について教えてください。

2018年の夏にスタッフ3人と私で勉強会に参加し、往診と訪問診療の違いから学び始め、4人で訪問チームを立ち上げました。その後、新型コロナウイルス感染症の流行で患者さんの数が停滞していましたが、利用施設や利用者さんからのご要望をお聞きし、相談しながら体制を整えていきました。現在は、訪問診療専属の歯科医師が2人、歯科衛生士が3人、その他に管理栄養士も所属しています。また、口蓋などを診る嚥下内視鏡を使った嚥下に対する専門性を持つ医師も、週に1回訪問診療に参加しています。
クリニックの運営において、心がけていることは何ですか?
治療技術はもちろん大切ですが、それ以上に、患者さんが安心して治療を受けられる、スタッフが楽しく誇りを持って働ける、そんな環境づくりが大切だと思っています。順位をつけるなら、まず一番大事にしているのが、患者さんの話をしっかり聞き、その上できちんと治療の説明して納得してもらうこと。その次は、消毒や滅菌が行き届き清潔で、安心して治療を受けてもらえる環境を整えること。それから、なるべく痛みを抑えた治療をすることと続きます。また、せっかく治療した後にすぐに虫歯ができてしまっては困りますので、予防も重視しています。治療用とメンテナンス用でそれぞれ受付を分けているのもその一環です。もちろん、治療技術があることも大事なので、最後は技術の向上・研鑽に毎日努力すること。この5つのコンセプトをスタッフが笑顔で生き生きと行うことが、当院の患者さんに対する「おもてなし」であるという考え方です。
診療の際、大事にしていることを教えてください。

当たり前のことですが、患者さんにうそを言わないことです。僕は長らく大学での研究が専門だったので、大手電機メーカー本社ビル内歯科室の責任者に就任した時点での臨床経験はほとんどゼロ。歯科医師としての仕事は、道具の使い方から治療法まで、同歯科室での10年間で周りのスタッフから学びました。まったくの素人だったからこそ、患者さんの立場からどんな歯科医師が良いかを、歯科界の常識にとらわれずに考えることができました。患者さんに対して上から物を言うのではなく、社会人として常識的な普通の接し方をすること、うそやごまかしはせずに誠実で正直な対応をすることをスタッフ全員で徹底してきました。開業後もこの方針は変わらず、今もスタッフ皆で共有しています。
一生涯、楽しく食べられるための取り組みに注力
ところで、先生は歯科医師になる以前、航空自衛官を経験されていたそうですね。

ええ、奈良にある航空自衛隊の幹部候補生学校でパイロットの訓練を受けました。自衛隊に入ったのは、1978年に北海道大学を卒業後、家庭の事情で卒業間際になって就職活動を始めたのがきっかけです。電話帳片手に歯科医院の端から問い合わせましたが、どこも「もう決まっている」との返事で焦っていたとき、目に留まったのが同じ「し」の欄にあった自衛隊。最初は歯科医官希望だったんですが、かっこよさにつられてパイロットをめざすようになりました(笑)。結局パイロットは断念したのですが、その後、研究者として一度大学に戻り、企業ビル内歯科室の責任者として就職。約10年間勤めた後、1993年に開業しました。開業から25年以上たちましたが、近所にお住まいの方の7~8割は一度は来てくださっているのではないでしょうか。これからも地域に根づいた歯科医院として尽力したいと思っています。
お忙しい日々の中、どのようにリフレッシュされていますか?
住まいが目黒川の近くなので、休みの日には家内と2人で目黒川沿いを散策するのが定番となっていますね。以前はそうでもなかったのですが、年齢を重ねていくと、遊んでくれる仲間がだんだんと少なくなっていくんですよ。その結果、家内と仲良しになりました(笑)。土曜日の夜のデートが一番楽しいひとときです。
今後の展望をお聞かせください。

東北大学の先生が作製した歯周病治療器である薬剤併用超音波歯周用スケーラに着目しています。過酸化水素が青い周波数の光を当てることでほんの一瞬だけ強い殺菌力を持つというもので、実際に東北大学を訪ねていろいろ教えていただきました。他にも、歯科修復治療において韓国で注目されている歯科医院にも見学に行ってきました。こちらのクリニックとの医療連携も見据えていますが、いずれも、しっかりと見極めてから、それが患者さんにとっても当院にとってもメリットになるようであれば導入したいと考えています。また、キッズクラブが根づいてきたら、今度はシニアクラブもつくりたいですね。歯がなくて入れ歯を使っていても、やはり半年に1回くらいはメンテナンスが必要です。これからも、一生涯楽しく食べられるお口を目標に、年代ごとの取り組みを展開していきたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは歯列矯正(成人)/88万円~、マウスピース型装置を用いた矯正/77万円~、インプラント治療/38万5000円~44万円、ジルコニアセラミッククラウン/13万2000円
※症例によって異なる場合がございますので、詳細はクリニックにお問い合わせください。
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。