竹内 正弥 院長の独自取材記事
レディスクリニック フォレスタヴェルデ
(横浜市都筑区/センター南駅)
最終更新日:2024/12/04
センター南駅近くの産婦人科クリニック「レディスクリニック フォレスタヴェルデ」。フォレスタとは森、ヴェルデとは緑の意味で、院長の竹内正弥先生が「生命の神秘」をイメージして名づけたという。「妊婦さんがリラックスして過ごせるように、笑顔とホスピタリティー精神にあふれる空間を整えています」と話す竹内院長は、穏やかで優しい語り口が印象的。女性たちの願いをしっかりと受け止め、妊婦の不安や痛みをどうやったら和らげることができるかを一緒に考えるドクターだ。核家族化や新型コロナウイルス感染症の流行により、家族に頼ることが難しい妊婦が増えていることを危惧し、出産や育児に関わる問題をともに考え、産後のケアにも力を入れる。そんな竹内院長に同院の特徴や産科医療に携わる思いを聞いた。
(取材日2024年6月22日)
安心で快適な「自分らしい出産」をサポートする産院
こちらで開院されたのは、どのような経緯があったのでしょうか。
僕は生まれは東京都ですが、横浜市は昔からとても縁が深く、好きな街でもあるのです。高校は青葉区にある桐蔭学園でしたし、大学は日本医科大学で、武蔵小杉の大学病院に10年勤務しました。また、この辺りは新しく開拓された街という土地柄、若いご夫婦が多く、お産を望む声がとても多いんですね。自分の好きな街で、そうした妊婦さんのお世話をしていきたいという思いが、開院の大きなきっかけとなりました。また、以前、勤務していた病院では、入院設備や食事、プライバシーなどレベルの高い要求に接してきました。その経験から、幅広いニーズにお応えできるように体制を整えお迎えしたいと感じるようになり、少しでもリラックスしていただける環境を第一に考え、デザインにも携わりました。
コンセプトは快適性、安全性、芸術性、創造性とのことですね。
はい。特に芸術性、創造性というのが珍しいようで、患者さんからもよく聞かれます。まず芸術性に関しては、尊敬する医師から「オペはきれいにやるべき。オペはアートだ!」と言われて、ことに産婦人科は女性が対象ですから、傷痕をできるだけきれいにすることを信念としています。また創造性とは、出産の際には想定外のことも起こりますから、その場合にどのように自分で道を切り開いていくか、医師として常に考えなければいけないということです。産科学自体は非常に古典的で、他の医療分野と比べるとそんなに新しい技術や知識がたくさん出てくるわけではないんですが、やはり時代とともに変化はありますので、常にそれに対応しなければならないとの思いで診療にあたっています。
診療面ではどのような特徴があるのでしょうか。
出産される方の大半が無痛分娩を選択されることですね。当院では、脊椎にある硬膜外腔にチューブを挿入し、そこから麻酔薬を投与することで陣痛の痛みの抑制を図る方法を取っています。人によって効き目に差があり、完全に痛みがなくなるというわけでもないんです。理想の無痛分娩は、「張る感覚はあって、それに伴って息むことができ、なおかつ痛みが最小限」という状態です。特に、痛みというのは精神的な要素が大きく「痛いのではないか」と不安を持った状態でお産に臨むと、その不安が痛みを増長させてしまいます。その意味でも、ご家族の協力や理解が重要ですし、ご本人にお産の知識がないと不安が大きくなり痛みも増してしまいますから、お産の流れや無痛分娩について知っていただく必要があります。そこで、適切な知識と理解を持ってお産に臨んでいただけるように、どなたにも参加していただける無痛分娩教室を定期的に開催しています。
胎児の異常を精密に把握し、表情まで見える超音波検査
4D超音波検査や胎児精密超音波検査にも力を入れているそうですね。
約50インチの大きな画面に映像を映しながら、30分ほどかけてじっくりと胎児の様子を調べますから、赤ちゃんの体に異常がないかを精密に把握することにつながります。以前の超音波の技術では細部を分析することは難しく、特に胎児の心臓病に関しては生まれて初めて病気がわかり、亡くなってしまうケースも多かったんです。しかし超音波技術が次第に発達して、おなかの中の赤ちゃんのイチゴの大きさほどの心臓の病気を見つけることが見込めるようになりました。あらかじめ病気があることがわかると、生まれたらすぐに適切な手術を行える態勢を整えることができます。心臓病以外にも脳や腎臓、消化管などの病気の発見にも役立ちます。疾患が見つかれば今後の対処を考え、大きな病院で何らかの対処をできるようにマネジメントするのも僕たちの大事な役目です。
赤ちゃんの顔もよく見えると聞きました。
そうなんですよ。より細部までリアルに赤ちゃんを見ることができ、いろいろな角度から赤ちゃんに光を当てることで、顔や体の凹凸がはっきりとわかるようになっています。肌の色もとてもリアルなんです。赤ちゃんはおなかの中でニヤッと笑うことがあり、これをベイビーズスマイルと呼びますが、そうした表情もモニター上にはっきりと映し出されますから、お母さんも愛情が湧きやすくなるのではないかなと思っているんです。
助産師さんのご活躍についても教えてください。
入院して初めて助産師と会うととまどう方もいらっしゃると思うので、妊婦健診の中で、妊娠32週から35週の妊婦さんに対して、助産師が対応する時間を設けています。どういうお産をしたいのか、立ち会い出産や生まれてすぐに抱きたい、へその緒を切りたいといった希望をお聞きし、出産の流れや準備なども説明します。出産後の生活のことまで助産師が幅広く相談に乗り、不安や疑問を解消するようにしています。妊婦健診にお父さんが付き添われている場合は、お父さんにも参加していただきます。
家族のように頼れる産院をめざし産後ケアにも取り組む
ところで、先生はどうして産婦人科の医師を志されたのでしょうか。
実は両親ともクラシックバレエのダンサーで、僕の家系には医師はひとりもいません。バレエは僕自身も1日だけ習ったことがありますが、自分はその道は向いていないと1日で悟りました。ただ今も舞台芸術や、演劇や音楽を鑑賞することはとても好きですね。幼少期に医療の道に進むことを考えたことはなく、高校3年生までは語学の道を志して、大学も外国語学部に進学するつもりでいました。でもその当時、女の子の友人が原因不明の血液の病気を患い、「なんとかしたい」との一心で急きょ、医学部志望に転向したのです。ですから医学生時代は、血液の病気を治療する診療科も考えましたが、臨床実習で帝王切開の場面に遭遇したことがきっかけで最終的に産婦人科を選びました。手術のスピーディーさと生命の誕生を目の当たりにして、「おそらくこれこそが一生やっていける仕事なんだろうな」という思いが芽生えたのです。
今後、力を入れていきたい取り組みなどがあれば聞かせてください。
核家族化が進む中で、自分の母親に出産の相談をしたり、家族に頼ったりすることが難しい方が増えていた傾向が、新型コロナウイルス感染症の流行でいっそう強まったと感じています。人と人のつながりがさらに希薄になったのですね。また近頃はかなりコミュニケーションを取って、丁寧にアドバイスしないとうまくいかないというような方も目立ちます。そうした状況から出産後、育児に悩んだり疲れてしまったりする方が増えているので、お母さんと赤ちゃんをサポートする産後ケアに力を入れたいと考えています。入院設備を生かしたレスパイトのような形で、赤ちゃんをお預かりしてお母さんにはゆっくりと休んでいただき、助産師や看護師が相談に乗るような手厚いケアを行いたいのです。若い方にも利用していただきやすいように、少し費用を抑えたコースも設けたいと考えています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
当院は、妊婦さんがリラックスして過ごせるように、笑顔とホスピタリティー精神にあふれる空間を整えています。産科としての診療の内容は、大学病院に近いレベルと自負していますので、ぜひともわれわれを信頼して頼っていただければと思います。そして、僕もスタッフも、皆さんを家族と思って接することをモットーとして、妊産婦さんにも家族のつもりで頼ってほしいとお伝えしてきました。これからも皆さんの期待に応えられるような医療、信頼されるような医療の提供を心がけていきたいと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とは4D超音波検査/1万円~、胎児精密超音波検査/9000円~