杉本 一野 院長の独自取材記事
すぎもと歯科クリニック
(練馬区/石神井公園駅)
最終更新日:2025/11/27
西武池袋線の石神井公園駅から徒歩5分。このエリアで小さい子ども連れのファミリー層を中心に、多くの患者が訪れているのが「すぎもと歯科クリニック」だ。その秘密は子ども心をくすぐる仕かけの数々と、患者を一番に思いやる治療スタンス。メイン患者層である小さい子ども連れの保護者らが通いやすいように、バリアフリー構造でキッズルームには常勤の保育士がいるので、保護者も安心して治療に専念できる。歯科クリニックが多く立ち並ぶ地域で、開業15年目を迎えた同院。患者のニーズに合わせて院内の造りを細かく変え、知識と技術向上のため2023年には博士号も取得した。そんな同院の院長を務めるのは、温かい笑顔が印象的な杉本一野先生。今回の取材では開業して15年経過した心境など、興味深い話をたくさん聞いた。
(再取材日2025年10月16日)
子どもたちの好奇心を刺激する、遊び心いっぱいの院内
前回の取材から変わったことはありますか?

前回は、2017年のリニューアルオープン後の取材でしたね。あれから外観や内装に大きな変化はないんですが、2025年で開業15周年を迎えられたのは、私の中では大きな出来事です。開業当時は地域の方々に受け入れていただけるか不安だった部分もありますが、皆さんとても優しくしてくださって。開業当時に通っていたお子さんが、成人して来院してくれたときは、言葉にならないほどうれしかったです。地域でいえば、この15年で駅前の開発も進んで、街がさらにきれいになりましたね。開業15年で満足することなく、20年30年と続けていけたらうれしいです。
院内の内装はかなり印象的ですね。
患者層として、2歳から小学校低学年のお子さんたちと、その親御さんたちが多く来院されるので、お子さんたちに歯科医院を好きになってもらいたいという思いで、テーマパークのような内装を心がけました。「子どもたちが、森の中をイメージした空間で歯磨きを学び、予防の大切さを身につけられる部屋」をつくりたいと思い、より遊び心が増したキッズルームと同じ空間内に、子ども専用予防ユニットを2台設置し、きょうだいが並んでメンテナンスを受けられるようにしました。特に下の子は上の子が一緒にいると安心しますから。保育士が常駐しているので、親御さんもお子さんたちの様子を気にせず、安心して治療に専念できます。キッズルームにはたくさんのおもちゃやボルダリング、治療後にはカプセルトイのご褒美など、お子さんたちが楽しい気持ちになれるような工夫を散りばめました。
地域を走るラッピングバスも人気だと伺いました。

ありがたいことに、患者さんから「バス見ましたよ!」と言っていただくことが増えています。当院のホームページと同じテイストのデザインをラッピングバスにして、この周辺を走ってもらっているんです。お子さんがラッピングバスに手を振っている動画や画像を見せてもらうこともあり、歯科医師としては驚きとうれしさを感じています。だって、ここでの治療が嫌だったら、ラッピングバスに笑顔で手を振るなんてしませんから。ラッピングバスを見て喜んで手を振ってくれる子どもたちは、ここでの治療を苦には感じていないんだなと思うと、歯科医師としてのやりがいを覚えます。ラッピングバスに関しては、広告としての役割だけでなく、地域とのつながりを感じられる存在だと感じているので、大切にしていきたいですね。
患者が望むことを大切に、日々進化し続けるクリニック
この地域の患者さんに、どのような印象を持たれていますか?

全体的にひどい虫歯になる前に来院される方が多く、住民の皆さんの歯の健康に対する意識が高い地域だと感じています。転勤族も多い地域なので患者さんの移り変わりは頻繁にありますが、さまざまな地域の方と接するのも楽しみになっています。また、当院の内装やホームページから小児歯科だけだと思われることも多いんですが、実は子どもと大人の患者層は半々ぐらいなんです。大人専用の診療室もご用意しているので、大人も気軽に受診していただければと思います。当院では6人の歯科衛生士が担当制で患者さんにつき、ブラッシング指導を行いながら時間をかけてメンテナンスに取り組んでいるので、ぜひ多くの方に利用していいただきたいですね。
先生が治療の際に大切にしていることは何ですか?
私が大切にしているのは「患者さんにとって幸せな治療」を提供すること。そのため、より専門的な治療が必要な場合は、速やかに提携先の医療機関と連携し、専門の歯科医師とタッグを組んでチーム医療で対応します。例えば高度な治療は専門の医療機関で、その後のメンテナンスが当院で行うなど、患者さんのことを一番に考えた治療を提供しているんです。費用などの面も含めて、さまざまな治療選択肢をご提示して、本当に患者さんのためになる選択をお手伝いすることが仕事だと思っています。歯科医院が初めての小さなお子さんに対しても歯科医院嫌いにならないように、いきなり無理に治療するようなことはせず、治療のトレーニングをすることから始めています。
診療やクリニックづくりに関して、日頃から心がけていることは何でしょうか?

その場その場で、患者さんのニーズに全力でお応えするということですね。例えばニュースで院内感染の話題が出れば、すぐに先端の滅菌システムを導入し、歯科用切削器具のハンドピースは、患者さん一人ひとりにその都度滅菌済みの物を使用することが可能になりました。また、患者さんのニーズを知るために、毎年11月にアンケートを実施しています。過去にはアンケートのご要望に従って、各部屋にゴミ箱を設けたり、パウダールームにおむつ交換台を設けたりしました。カプセルトイを男の子向けと、女の子向けの2種類準備したのも、アンケートにご要望があったからです。
博士号を取得し、高いレベルの知識と技術を患者に還元
クリニックを運営する上でのこだわりはありますか?

基本の部分になりますが、院内を常に清潔に保つことにこだわっています。日々の清掃はもちろんのこと、月に1度は専門業者に依頼して院内の清掃を行っているんですよ。あとトイレなどの水回りは、都度チェックをして常にきれいな状態を保っています。ちなみに朝のトイレ掃除に関しては、開業当時からずっと私の役割です。歯も含めて、心の中に常にメンテナンスを意識しているんだと思います(笑)。プライベートでは2児の親として、できる限り若さを保ち続けたいので、日頃からジムで体を鍛え、早朝に起きて活動するなど生活リズムを整えることを意識していますね。
現在、力を入れている取り組みについて教えてください。
大人のメンテナンスに力を入れるため、予防歯科ガイドのホームページも立ち上げました。ぜひそのページを参考にしていただきたいです。うれしいことに、当院に通院されている患者さんのほとんどの方が、お子さんと一緒に3ヵ月に一度のメンテナンスにいらしています。ほかにも、電車で通院される患者さんに向けて、ホームページのアクセス情報部分に、写真つきで駅から当院までの道のりを説明も入れました。このように、細かい部分の改善にも力を入れているので、ぜひ活用してもらえたらと思っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

より高いレベルの知識を身につけて、地域の患者さんへさらに高度な医療を提供するため、2018年から母校である奥羽大学大学院に通い、2023年に博士号を取得しました。小児の難治療症例や小手術、学生指導なども行い、かなりいい経験をさせていただいたので、今後はその経験を患者さんに還元していきたいと考えています。「患者さんにとって幸せな医療」を提供できるクリニックであるために、日々患者さんの声を取り入れながら、クリニックを進化させていきたいですね。また、院内はバリアフリー構造を採用し、廊下の奥にキッズルームを設けて、お子さんも成人の患者さんも快適に過ごせるように工夫したので、ぜひ気兼ねなくお越しください。

