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小澤 政陽 院長の独自取材記事

医療法人社団弘進会 宮田歯科池袋診療所

(豊島区/池袋駅)

最終更新日:2019/08/28

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池袋駅東口から徒歩3分、メインストリートの脇に立つ「医療法人社団弘進会 宮田歯科池袋診療所」。小澤政陽院長は予防歯科専任の歯科衛生士、息ぴったりの歯科技工士らスタッフとともに、35年以上前から全身の健康を見据えた歯科医療を推進してきた。日本にはまだ予防歯科という概念がない時代。その当時から同院で予防メンテナンスを受けてきた多くの患者が、高齢になった今も元気に過ごしているという。そう語る表情は家族の健康を喜ぶかのようであり、小澤院長の親身な人柄が伝わってくる。最後に語ってくれた一人の患者との大切な思い出には、歯科医師と患者という関係を超えた絆が感じられた。
(取材日2018年8月28日)

スウェーデン式予防歯科の概念を広めた、草分け的存在

この地で診療を始めて30余年、振り返っていかがですか?

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当時、日本の歯科医療は、削る、抜くといったいわゆる治療が中心でした。僕は以前からプラークコントロールをはじめ、スウェーデンが推進していた予防歯科の重要性を強く感じており、それを日本に広めるイメージで診療所の運営を始めたんです。初めはなかなか理解されず、スタッフ教育、患者さんへの説明と、本当に大変でしたね。しかし30年以上もたつと、診療開始当時から通われている多くの患者さんが、70代、80代になっても元気に過ごされているのを感じ、また紹介で来られる患者さんも増え、僕たちがやってきたことの成果を実感しています。中には、かなり厳しい状態で受診される方もいますが、与えられた環境・条件の中で最善を尽くし、その方がより長生きできるプランを見いだしていくのが歯科医師の使命だと考えています。

歯を取り巻く状況に変化はありますか?

昔と違って子どもの虫歯が減っていますね。わが子の口腔ケアに熱心な親御さんが増えているように思います。一方で、気をつけてほしいのが小学4、5年生までの生活習慣。乳歯が生え変わる不安定なこの時期は、些細なことが噛み合わせに影響を与えます。例えば、口呼吸、片側の顎ばかり使って噛む、やわらかいものばかり食べる、といった悪習癖は改善が必要。歯並びを良くする方法には矯正治療がありますが、やらないに越したことはありません。矯正治療の不要な歯並びがベストなのです。

こちらでは歯科衛生士を「予防歯科衛生士」と呼ぶと聞きました。

7人の衛生士全員が独自のカリキュラムを経た「予防歯科衛生士」として、口腔内のさまざまな変化を見つけ、歯科医師に治療や詳しい検査の必要性を伝える重要な役割を担っています。実際、衛生士の一人が、患者さんの歯周の状態が急に悪化したことに気づき、病院の受診を勧めたところ糖尿病が発覚したこともありました。そうした例は、当院では珍しくないんですよ。日本では3年で衛生士になれるのに対し、スウェーデンでは5年かかります。その違いは、歯や歯肉だけでなく、噛み合わせや口の開け方、顎の動きなど、口腔内全般について深く学んでいるかどうか。スウェーデンでは衛生士が開業もできるし、当院でもそれくらいのレベルをめざして、一定の勉強をしたらスウェーデンへ視察に行ってもらいます。「自分たちも負けないスキルを持っている」という自信を高めてほしいですからね。

衛生士の役割はとても大きいんですね。

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歯科医師には聞きづらいことでも、衛生士になら話せることがあります。歯科医師との懸け橋になる存在。だからこそ国家資格があるわけで、ただ歯を磨くだけではもったいないですよね。逆に、彼女たちが納得する治療を歯科医師ができていなければ、「先生、これでは駄目ですよ」と言われかねないので、身が引き締まります(笑)。

「予防のための歯科治療」という画期的な考え方

歯科検診を促すための取り組みがあるそうですが、どんな内容ですか?

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60歳前後の、いわゆる「アラウンド還暦」世代を対象に、春と秋の2回実施している無料検診です。具体的には、衛生士による歯垢の除去、虫歯や歯周病、噛み合わせのチェック、歯磨き指導を行います。かつて日本では、60歳で還暦という節目を迎えることが長寿の証でした。実際、この年代以降にさまざまなトラブルが増えてくる印象です。そこで始めたのがこの取り組み。還暦を前に口腔内を総点検し、積極的歯科治療によって悪くなる前に先手を打つ。そうすれば70代、80代まで元気に生活を送れると考えたのです。事前にご連絡をいただければ、当院の患者さんに限らず、どなたでも受けられます。たくさんの方にこの取り組みを知り、気軽に利用していただきたいですね。

積極的歯科治療とは?

どれだけ予防を頑張っても、歯はタイヤのように毎日使ってすり減っていきます。それに噛み合わせは心臓の動きなどに影響されますから、左右対称に変化せず、どうしても偏りが出ることがあるんです。そうした変化を早くに把握し、適切な治療を行うことで、食事の面だけでなく全身に起こり得るトラブルを未然に防ぐのが、私の考える積極的歯科治療です。例えば最近、要介護の原因として増えている脊椎管狭窄症。これは噛み合わせの乱れによって背骨がゆがむことも一因だといわれています。そこで、詰め物やかぶせ物などを施して噛み合わせを調整し、背骨のゆがみを修正しておけば、重症化を防ぐことが期待できるのです。

ホームページに「おせっかいな診療所」というキャッチフレーズがありました。

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生活の質を支えるのが歯科の役割ですから、あくまで患者さんの価値観をベースに診療は成り立ちます。ただ、価値観を変えるインパクトや指導も必要だと感じるんです。例えば、ご本人が気づいていない問題を見つけたら、とにかく指摘、あるいはケアのアドバイスをさせていただきます。一歩間違えると大きなお世話という捉え方もありますが、良い意味に受け取っていただけるよう対応するのが僕らの仕事なんじゃないかなと。それが「おせっかいな診療所」というわけです。

人々の歯の健康、全身の健康を守り続ける

院内に技工所も設けているそうですね。

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治療の精度を高めようとすると、歯科医師と技工士は近くにいて、常に意思疎通が図れたほうが良いケースは多いですからね。僕たち歯科医師も技工士も、人間ですから癖があります。それを長年同じ人と組んでいると、あうんの呼吸でわかり合えるんです。例えば、体がゆがんでいる患者さんの入れ歯は、まっすぐ作ってはうまく噛み合わず、あえて斜めになるよう作らなければならないことがあります。しかし、一般的に外部の技工士さんは歯型しか見ないので、体のゆがみまで把握するのは難しいんですね。近くにいて直接情報を共有できるからこそ、ぴったりの技工物を作ることができる。仮に入れ歯などが壊れたとして、院内ですぐ対応できることもメリットです。

これまで印象に残っている患者さんはいますか?

70代で予防的な治療を受けた女性がいました。その後も定期メンテナンスに通われていたのですが、85歳くらいの時に歯肉のがんが見つかったんです。紹介先の病院で大がかりな手術が必要だと言われ、娘さんが再度相談に来られたので、高齢者の放射線治療に対応できる病院を見つけ紹介したところ、その患者さんは放射線治療に負けることなく、治療を乗り切られたんですよ。担当医からは「食事が十分にできたから、治療を乗り切れたのでは」と言われたそうです。それから98歳まで長生きされましたが、ある日、娘さんが車いすで連れていらして。体を起こせないので何もしてあげられないのですが、ご本人の希望ということでした。そうしてさようならをした後、帰りのタクシーの中で亡くなられたそうです。とても寂しかったですが、「感謝を伝えたかったのかな」と娘さんに言っていただけて、歯科医師冥利に尽きる思いでした。

最後に、今後の抱負をお聞かせください。

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子どもも自分も虫歯や歯周病などのトラブルを経験していない。両親はまだまだ介護が不要な年齢。歯科が身近にないそうした方々にこそ、35歳をめどに予防の意識を高めていただきたいですね。自分のことを後回しにしがちなこの年代は、口腔トラブルのリスクを高めてしまいます。それに予防の知識が身につけば、ご両親にも口腔ケアのアドバイスをしてあげられます。80歳を過ぎた私の母は、今も雑貨輸入の仕事を続けていて、一人で海外にも行くんですよ。一生懸命予防を続けてきたかいあって、自分の歯はすべて残っていますから、食べられないものはありません。それが元気の源です。つまり歯の健康は健康寿命につながるということ。今後も積極的に発信したいと思います。

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