井上 淳二 院長の独自取材記事
アイデンタルクリニック
(杉並区/西永福駅)
最終更新日:2025/04/18

西永福駅南口から徒歩1分にある「アイデンタルクリニック」。地域のかかりつけ医として、虫歯や歯周病の治療など歯科一般から入れ歯、セラミック治療、インプラント治療まで、口の中の病気や症状に幅広く対応。院長を務める井上淳二先生は、地元である杉並区に同院を開業し、歯科診療を通じて地域に貢献することをめざしている。「何かに特化するのではなく、幅広く質が高い治療が提供できるよう心がけています」と語る井上院長に、診療について、地域の歯科医療にかける思いなどを聞いた。
(取材日2025年2月12日)
質に配慮した歯科治療の提供をめざす
駅から近く便利な場所ですね。

私は出身が荻窪で、生まれ育った地域に根差した歯科医院をつくりたいと思い、同じ杉並区内のこの場所に当院を構えました。開業から15年ほどがたち、当初は小さかった子が大学生になったり、高齢で残念ながら亡くなったりしてしまった方もいますが、1つの場所でずっと患者さんを診ていくことの良さを実感しています。患者さんから紹介されて新たに来院される方も多く、信頼されていると思うとうれしいですね。患者さんの主訴も、虫歯や歯周病の治療から、入れ歯の作製やメンテナンス、予防に関することまでさまざまです。かかりつけ医としては、何かに特化するのではなく、質に配慮した治療を幅広く提供できるよう心がけています。
治療の質について、もう少し教えてください。
木を見て森を見ずなどと言いますが、1本の歯を良くするためというよりも、口の中全体を診ながら治療することですね。例えば、前歯にかぶせ物をする場合、きれいなかぶせ物を作って入れることは簡単かもしれません。でも後々のことまで考えると、歯の根の状態や歯周病の有無など、一つ一つ積み上げるようにしっかり確認してからでなければ、かぶせ物をすべきではないと考えています。基本的なことを怠らないことは、長持ちする治療のためには欠かせないですし、何より私自身が避けたいことです。しっかりとした仕事をしたからこそ、それに値する対価を頂く。責任感を持ってきちんとした治療を行っていきたいと考えています。
力を入れていることはありますか?

噛み合わせの治療です。虫歯や歯周病ではなく、過度な咬合力によって歯が悪くなってしまっている人がすごく多いんです。でも患者さんは自分の噛み方しか知りませんから、それが普通だと思って過ごしている。しかし自覚せずに強く噛んでいることが、知覚過敏や咬合痛、違和感などの原因になっているんです。歯がしみて痛い時に、虫歯や歯周病ではなくて噛み合わせが原因ですと話しても、なかなか信用してくれません。ですから、そういうことがあるというのを説明して、必要なら夜眠るときに着けるマウスピースをお勧めします。それと、歯も体と同じように年を取るんです。ある程度の年齢になると、走るときにも気をつけたり、階段でも転ばないように手すりを持ったりしますよね。でも、噛むのは若い時と同じようにガシガシ噛んでいる。噛む力が強い人には、何も症状がない人でも、予防的な意味で気をつけてねって伝えています。
長期的に考えて困らない治療を心がける
他に診療で気をつけていることはありますか?

歯をできるだけ削らない、抜かないというのが良いという風潮がありますよね。確かに、必要な歯や治療すれば使える歯を抜く必要はありません。でも残念なことに、治療しても使えない歯というのも現実としてあるんです。それを、無理に痛いのを我慢して、顎の骨も吸収されてブラブラの状態になっても残している。それが患者さんにとって本当に良いことだとは私は思いません。ですから患者さんの写真やエックス線撮影の画像も見せながら、削ったり抜いたりする理由や抜かないリスクなどもしっかり説明しています。それでも抜きたくないのなら、定期的に通院してもらって様子を見させていただきます。ただ、説明すればほとんどの人が、納得して同意してくれると信じています。繰り返しになりますが、長期的に見て患者さんが困らないような治療をしっかりとしていきたいと考えています。
診療している中で何か思うことはありますか?
最近はインプラント治療に対する考え方が少しずつ変化してきました。他の治療でも、一生懸命やってもトラブルになってしまうことは現実としてありますが、インプラントは抜くのが大変で、次の治療をするのに支障を来すことがすごく多い。そう考えると、トラブルがあったときにもすぐに対処できるような治療をしていくことが良いんじゃないかと思い始めています。1〜2本の欠損で歯周病もない人などにはもちろんインプラント治療も提案しますが、歯周病が進んでいる人や不良な補綴物が入っている人にはお勧めしていません。患者さんを長く診ていくにあたって、患者さんも私も困ることがない治療をすることが大切なのだと思っています。
スタッフにはどのようなことを話していますか?

医療従事者として、まずは清潔を心がけることですね。自分のこともそうですが、院内も清潔に保つのは大切です。また、いたわりの心をもって患者さんに接してほしいと常々伝えています。特に、高齢者やお子さんを連れた方への優しさや気遣いは欲しいですね。一方で、「いつでも笑顔で接する」というのもちょっと違うかなと思うんです。患者さんがつらい時に、マニュアルのように笑顔で対応されても、うれしいとは思えないでしょう。患者さんに寄り添い、その場に合わせた対応をすることもお願いしています。今のスタッフは良い人ばかりで、皆が仲が良くて、それができていると思っています。同時に私も、スタッフにとって楽しく働きやすい職場にすることを心がけています。
これからも地域の人々のために貢献していきたい
先生はなぜ歯科医師を志したのですか?

父が荻窪で整形外科の医院を開業していて、小さな頃から「医者の息子だから将来は医者になるんでしょ」とよく言われていました。そのせいか、逆に医師になることに抵抗がありました。高校生までは医師になりたくないと思っていたんです。でも大学受験を前に進路を真剣に考えた時に、小さな頃から見ていた、患者さんに感謝されている父の姿を思い出し、医療関係の仕事がやっぱり良いなと思いました。細かい作業が好きなこともあって歯科医師を志すことに決め、父に報告したら「進む道が決まって良かったな」と言われました。患者さんの喜ぶ姿を見ると「歯科医師になって良かったな」と実感しますね。父は人を褒めるタイプではありませんが、当院を開業する前に他界してしまったので、開業後の姿を見せることができなかったことが心残りです。
どのようにリフレッシュしていますか?
サーフィンが趣味で、休診日に用事のない時は友人とサーフィンに行っていたのですが、今はちょっとけがをしてしまってお休みしています。近々再開するつもりです。あと、新型コロナウイルス感染症が流行するようになって、犬を飼い始めました。予定はしていなかったのですが、飼い始めるとかわいくて。子どもたちも年頃になって、会話をすることも少なくなってきていましたが、犬を中心に話をすることが増えたのも良かったですね。それと、50歳になってバイクに乗り始めました。何か新しいことにチャレンジしたいなと思って、子どもの頃にバイクを乗りたかったなと思い出したんです。それで妻に話したら、反対されると思っていたのですが、「良いんじゃないの」と言ってくれたので、急いで免許を取りました(笑)。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

同じ場所で長く診療をしていて思いますが、技術はいろいろと進歩する一方、人間自体はそれほど進歩していないじゃないですか。だからこそ基本に忠実であることが大切なのだということを深く感じています。特に、歯科治療は1回で終わることは少ないですから、患者さんと長くお付き合いできる治療を大切にしたいですね。患者さんのご家族から、患者さんについてのお話を聞くようなこともありますし。あまり格好の良いことは言いたくないのですが、これからも地域の皆さんに貢献していくことを念頭に、歯科診療に取り組んでいきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とは歯周病の再生療法/10万円~、セラミッククラウン/16万5000円~、セラミックインレー/7万7000円~、インプラント治療/38万5000円~