柏原 智章 院長の独自取材記事
豊五歯科医院
(北区/王子駅)
最終更新日:2023/09/19

JR京浜東北線・王子駅からバスで6分の場所にある「豊五歯科医院」。大規模団地内に位置し、45年間にわたり、地域住民の歯の健康を守ってきたクリニックだ。祖父の開いた歯科医院を継いだのは、孫の柏原智章院長。クリニックの歴史と先代院長の教えを守りながら、先進の医療設備とチーム医療で、精度にこだわった診療を提供している。信頼関係を大切にする姿勢は、患者のみならずスタッフにもおよぶ。特に歯科技工士との結びつきは強く、切磋琢磨しながら協力し合い、精巧な技工物を作り続けている。「最終目標は北区の健康寿命を1年延ばすこと」と語る柏原院長に、診療の際の心がけや、今後の展望について話を聞いた。
(取材日2021年7月6日/情報更新日2023年7月21日)
歴史を大切に、先進の医療設備で口腔内全体を診る
45年の歴史を持つクリニックと伺いました。

当院は45年前、この周辺の団地ができた頃に祖父が開いた歯科医院です。クリニック名も「豊島五丁目」から取ったもので、ここは5丁目5番地の5なんです。祖父の代から、親子3代で通ってくださる患者さんもいらっしゃいます。私自身は、大学を卒業してから埼玉県央病院の歯科・口腔外科で経験を積みました。その後は分院の歯科クリニックで院長を務めていましたが、2013年に祖父が引退することになったので当院に戻ることになりました。団地にお住まいの方はもちろん、近年では団地の外からの患者さんが増えましたね。分院の時に見ていた患者さんは今でも埼玉から通院してくださっています。また、お子さんが治療を受けた後、そのご家族やクラスメートがクチコミで来院されるケースが増えました。
こちらではどのような診療が受けられるのでしょうか?
一般歯科・小児歯科・審美歯科・矯正歯科と、幅広く対応しています。歯科医師は非常勤も含め5人で、ユニットは全6台。プライバシーにも配慮した個室・半個室の造りです。矯正はワイヤー・マウスピース型装置のどちらも取り扱っており、月に2回、矯正を専門とする歯科医師が担当しています。また口腔内のできものや顎関節症の治療は、口腔外科専門の歯科医師が治療にあたります。私の診療方針は、1本の歯だけを診るのではなく、全体を診て包括的に治療すること。むやみに抜くのではなく、歯を残すことを大切にしています。「虫歯になったらその都度治療をする」と考える方もいらっしゃいますが、一度つじつまが合うように噛み合わせなど含め全体を治療して、あとは簡単な検診だけで済むようにしたいんです。そうすれば年齢を重ねてから残る歯の総数も変わるでしょうし、口腔内の健康も長く保たれると考えています。
院内の設備についても教えていただけますか?

エックス線撮影装置や歯科用レーザーに加え、数年前に歯科用3DCTとマイクロスコープを導入しました。歯と骨の状態が立体的に見える歯科用3DCTは、歯周病や歯の根など細かい部分の診断、親知らずの抜歯やインプラント治療にも役立っています。マイクロスコープは、歯を拡大して見ることができる歯科用の顕微鏡です。肉眼では難しい部分まで確認しながら治療ができ、写真や動画に保存して患者さんに確認してもらうことも可能です。またマウスピース型装置を用いた矯正では、口腔内スキャナーを使用しています。キッズルームを併設した診療室もあるので、お子さまと一緒でも安心して通院していただけます。
信頼関係が「良い診療」につながっていく
診療の際に心がけていることはありますか?

患者さんの「怖さ」や「不安」をくみ取り、納得感のある治療を心がけています。例えば技術面では麻酔に工夫をし、表面麻酔や電動麻酔器を取り入れています。また、心理的な抵抗感や不安感を解消してもらうために、これまでの経験で不快だったことやつらかったことをお伺いしているんです。同じような嫌な思いをさせないよう、治療時には注意を払っています。ユニットに座って、いきなり治療に入ることはありません。まずはその日の治療内容を説明し、納得してもらった上で開始します。治療途中にも痛くなりそうな場合などは予告して、患者さんと一緒に乗り切っていく感じですね。先ほども挙げた私の治療方針でもある「1本の歯だけを診るのではなく、全体を診て包括的に治療すること」、そして「患者さんとの信頼関係を大切にすること」。これらは祖父から引き継いだ姿勢です。
歯科技工士との信頼関係も厚いそうですね。
そうなんです。精巧な技工物の提供は、歯科技工士との関係性があってのことです。当院では審美歯科や噛み合わせの治療にも力を入れており、歯科技工士の優れた技術が欠かせません。現在、技工をお願いしている歯科技工士とは、もう10年来の付き合いです。私自身が何度も技工所に足を運び「この人にお願いしたい」と思った技術の高い歯科技工士です。一緒にセラミックの勉強会に出席して知識を高め、外部の歯科医師に向けてのセミナーも主催しています。お互いに知識と技術のレベルアップを図り、これからも患者さんに納得してもらえる良いものを作り続けたいと思っています。
こちらで働くスタッフについてご紹介ください。

当院には、歯科医師とスタッフが合わせて15人ほど在籍しており、月に一度は全員でミーティングを開いています。当院の理念は「豊五歯科医院に関わるすべての人が、お口の健康を通じて、自分自身を大切にする」です。スタッフ全員がこの理念に沿い、患者さんの悩みに寄り添っています。長く勤めているスタッフが多く、歯科知識も豊富です。さらにスキルアップをめざすスタッフには、勉強会への参加などクリニックがバックアップしています。また、ホスピタリティーも重視し、外部講師を招いて「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ(習慣)」のいわゆる5Sについて学ぶ場を設けています。
北区に住む人たちの健康寿命を1年延ばしたい
感染症対策への取り組みについて教えてください。

歯科という業種柄、もともと感染症対策には力を入れていました。入り口のスリッパ滅菌器やユニットの口腔外バキュームも以前から設置していますし、ユニット間のスペースもゆったりとした造りです。治療に使う器具も、以前から治療が終わるごとに洗浄しています。新型コロナウイルスの問題があってからは、さらに頻度を増やし、こまめな換気と共有部の消毒も徹底しています。金銭の授受を避けるため、自動会計機も導入しました。安心してご来院ください。
ところで、先生はなぜ歯科医師をめざしたのですか?
実を言うと、高校時代は歯科医師ではなくて医師になりたかったのです。しかし祖父がやっていたこの歯科医院を継ぐ者が親戚一同にいなかったので、私が歯学部に進学することになりました。実際に歯科医師になってみると予想外にやりがいがあり、今ではこの仕事を選んで良かったと思っています。当院にはセカンドオピニオンを求めて来院される患者さんもいらっしゃいます。むやみに高価なものばかりを勧めることはせず、治療方法や費用など患者さんが納得される治療だけを行っています。たまにですが雑誌への寄稿や論文執筆もしているんですよ。日頃から症例を記録しておいて、整理してまとめるのも歯科医師として必要な仕事だと考えています。それを発表し意見をいただくことが、見直しや改善にもつながりますしね。子どもの頃から読書が好きでしたし、文章を書くのも苦になりません。
最後に、今後の展望をお聞かせください。

北区の健康寿命を1年延ばすことに貢献したい、これが私の最終目標です。日本は平均寿命こそ長いのですが、残念ながら健康寿命はそうではありません。そして歯の本数と医療費は反比例しています。これは歯科治療に限ったことではなく、歯が悪いとあらゆる場所に影響を及ぼすのです。食べられないと栄養を取り込めず、胃腸への負担も大きくなります。歯周病は全身疾患に影響し、糖尿病・心筋梗塞・認知症のリスクを高めます。歯がないと噛み合わせも悪化し、それが姿勢・骨・筋肉にも影響、骨折や寝たきりの状態につながりかねません。よく食べてよく笑い、免疫力をアップさせ、楽しい毎日をすごしてほしい。そのためには「歯」の健康が不可欠です。健康寿命が1年延びれば、大切な人と楽しい時間を1年多く過ごせることになります。歯科医師としてそれに貢献できれば、何よりうれしいことですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療(上部構造込み)/35万2000円〜、マウスピース型装置を用いた矯正/(部分矯正)7万7000円~、(全顎矯正)22万円~、ワイヤー矯正/(部分矯正)5万5000円~、(全顎矯正)71万5000円〜、セラミックインレー/3万8500円~、ジルコニアセラミッククラウン/7万1500円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。