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松田 健 院長の独自取材記事

松田医院

(北区/王子駅)

最終更新日:2023/01/23

松田健院長 松田医院 main

王子駅から歩くこと10分ほどの高台にある「松田医院」。王子の地域医療を長年支えてきた医院で、現院長の松田健先生は3代目。2013年にリニューアルした、モダンな外観が印象的だ。その中でも、古くから地域に親しまれてきた医院だけに、院内には患者目線に立った心づかいが随所に施されている。12年の閉院期間を経て医院を再開する際には名前を変えることも考えたという。それでも「祖父、父が継いできた地域に根差した名前を使いたい」との思いで、日々地域医療に励んでいる。小児・一般外科や救命救急の経験を持つ頼れる町の医師、松田院長に話を聞いた。

(取材日2015年6月12日/情報更新日2023年1月11日)

小児外科や救急医療の経験から、頼れるかかりつけ医に

こちらは歴史が長いようですね。

松田健院長 松田医院1

「松田医院」の初代院長は祖父で、2代目は父が引き継ぎました。ただ、その父は若くして亡くなり、当時の私はまだ研修中でしたのでしばらく医院を閉めていた期間があるんです。大学病院などで診療経験を積み、1997年に3代目院長として同院を再開したときには、医院を閉めてから12年がたとうとしていました。再開する際にはそれこそ「松田医院」という古めかしい名前もいっそ変えてしまおうかとも思ったんです。例えば、広くファミリー層を診るという意味で「まつだファミリークリニック」とか。でも、やはりここはかつて祖父、父が受け継ぎ、やってきた医院。父がやっていた医院を「再開」したよ、というメッセージをお伝えしたいと思い、名前は残すことにしました。代々続いているということは、それだけ地域に根づいているということ。そのことを皆さんに知っていただけるかなと思っています。

先生が医師をめざしたのはお父さまの影響ですか?

父が私に「医師になれ」と言ったことはありませんでした。でも、自宅と医院が同じ場所でしたから、いつも父が患者さんに感謝されているのを見ていました。そこから、この仕事のやりがいは感じていましたね。また、高校時代はアメリカンフットボールに夢中で、スポーツをやっている人たちが健康に運動を続けるサポートをしたいという思いから、スポーツ医学に興味を持ったことも医師をめざした理由でした。結局は患者さんを幅広く診ることのできる小児・一般外科の道を選びましたが、後に、生活習慣病に対する運動療法とスポーツ現場でのけが予防について専門的に学びました。けが予防と言いますが、当の自分はスポーツでけがばかりしていますけどね(笑)。

先生のご専門についてお聞かせください。

松田健院長 松田医院2

もともと小児外科を専門としていました。ただ、当初から開業をめざしていたので、大学病院では一般外科と小児外科がある医局に入り、救急医療も経験しました。その他、内科・小児科の研修を兼ねて一般病院でも勤務しました。小児外科では、食道閉鎖や肛門閉鎖、横隔膜ヘルニアといった、先天的に重い病気を抱えるお子さんを多く診てきました。緊急手術も経験してきましたね。その時の経験や判断は、ここでもたいへん役立っています。外科医としての経験をうまく活かす治療ができると、患者さんにも喜んでいただけてうれしいですね。他院を紹介する必要がある場合は、帝京大学医学部附属病院、東京北医療センター、日本大学医学部附属板橋病院などと連携をとっています。

予防接種の相談から生活習慣病まで、全ての年代に対応

現在の診療範囲について教えてください。

松田健院長 松田医院3

あらゆる年齢の方のかかりつけ医になることを目標としています。診療科目は内科、小児科の他、ちょっとしたけがやとげの処置といったニーズに応える外科が主です。また、これからの時代に増える糖尿病の医療連携機関でもあります。糖尿病は遺伝的要因も大きいのですが、生活習慣も大きな影響を与えます。運動不足の解消とバランスのいい食事が大切になってきますが、日頃から歩くことを心がけてくださいといったようなアドバイスも治療の一環として行っています。その他予防接種、ワクチンスケジュールについての相談も受けるほか、院外では保育園での健診や特別支援学校の校医などを勤めています。

子どもの予防接種について、お悩みの方も多いとか。

そうですね。スケジュール通りに受けることができないとお悩みのお母さまがいらっしゃいますが、0歳時からしっかり同時接種を活用すればきちんと無理なく受けることができます。はじめのスケジュール立てが肝心で、最初につまずいたりバラバラに受けてしまいますと、その後のスケジュールがうまくいかないんです。同時接種の必要性や安全性もきちんとお伝えしていますので、悩んでいるお母さまは、まずはスケジュールのことからご相談ください。

町のかかりつけ医として、どんなことを心がけていますか?

松田健院長 松田医院4

かかりつけ医は、幅広い知識に加え、患者さんが何を必要としているのかをくみ取る力を求められます。大学病院でも患者さんのニーズを把握することは必要ですが、事前にスクリーニングされて、ある程度方向性がわかっている方が来ます。町の医院ではそうはいきません。ゼロから病状、そして患者さんの願いを聴き取る必要があります。ですから、患者さんが話しやすい雰囲気を作るようにしています。じっくりお話を聞かないといけないけれど、他の患者さんを待たせすぎるのもいけませんから、ジレンマを抱えています。なかなか理想通りにはいきません。ただ、待ち時間が少しでも短くなるよう、スタッフとの連携でしたり、いろいろ工夫しています。スタッフのうち4人は、開業以来勤務してくれています。出産などでブランクがあっても、うれしいことに戻ってきてくれるんです。だからチームワークは抜群。それを患者さんの快適さにつなげるよう努力していきます。

人と人とのつながりある町で一人の患者を長く診続ける

同院の歴史は長いですが、建物や内装は新しいですね。

松田健院長 松田医院5

今の姿は2013年に建て替えたもので、患者さんが静かに過ごせるようにしました。テレビの画面や音でさらに具合が悪くなる人もいますから、テレビは置いていません。代わりに、絵や雑誌、本を用意しています。とりわけ絵本は、お子さんのニーズに合わせて私自身がセレクトしています。また、以前の建物にあった中庭が見える造りは、今回も踏襲しました。緑で心が安まりますからね。実は1997年に再開した時も改装したのですが、実際に診療を再開してみて「もっとこうしたらよかったな」と感じた不満が多かったんです。それを今回の改築で生かすことができました。例えば、トイレ。おむつ替えなど用途にかかわらず誰でも快適に過ごせるよう、広くしました。医院の環境はすごく大事。患者さんだけでなく、スタッフと私も自分の気に入ったところで診療したい。外壁をコンクリート打ちっぱなしにしてかっこよくしたのもそうした思いからですね(笑)。

大学時代のスポーツの話を聞かせ下さい。

大学ではラグビー部に入部しました。卒業後も日本大学医学部ラグビー部の監督をやっていたほどなんですよ(笑)。今は、ラグビー好きな医師・歯科医師が結成する「東京ドクターズ ラグビーフットボールクラブ」をはじめ2チームに所属しています。ですので毎週日曜日は、練習か試合です(笑)。これまでの人生でスポーツをせずに生活したことはないですね。とにかくスポーツは、生活になくてはならないものですね。ラグビーの面白さは、球技であり格闘技であること。そして「One for All, All for one」の精神で一体となり、試合が終わったら敵も味方もなく全員友達になれる。そんな良いスポーツなんですが、まだまだ日本ではマイナースポーツなので、たまにラグビーをやっている患者さんが来るとお互い親しみを感じてしまうんですよね(笑)。

最後に、メッセージをお願いします。

松田健院長 松田医院6

王子は、都心に近い下町。人と人とのつながりが色濃い町です。最近では土地の人気が出てきたので、新しく移り住む人も多く、古くからの住人と入り混じっています。そんな地域で数多くの患者さんを診るのはもちろん、その人が生まれて赤ちゃんの頃からお年寄りになるまで長い年月を診続けたいと思っています。長く診ることで信頼関係を築いていくことができれば、その分やりがいも増えていきます。予防接種を受けに来ていた子がママになり、自分の子どもを連れてやって来たときは、本当にここでやっていて良かったと思いましたね。理想の医師は、地域に密着した頼れる医師。「松田先生のところなら安心」と患者さんに思っていただけるよう、これからも努力していきます。

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