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小出雅彦 院長の独自取材記事

大山東方クリニック

(板橋区/大山駅)

最終更新日:2019/08/28

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東武東上線で池袋から3駅の大山駅から徒歩1分の静かな通りにある「大山東方クリニック」。1992年の開業以来、西洋医学と東洋医学(漢方)の長所を統合した総合的な診療を求めて、遠方からも患者が来院する。喘息、アトピー性皮膚炎を患う子ども、がん患者の姿も珍しくない。院長の小出雅彦医師は、「西洋医学では病気と診断されずに治療に至らない場合でも、漢方では、つらい症状を改善するための手当てが可能」という。院内にはゆったりとクラシック音楽が流れ、温かみのあるインテリアの待合室にはマッサージチェアが置かれている。院内の調剤室には、数百種類もの漢方の生薬が納められた薬棚が並び、診療に来たその場で、患者は適切な漢方を調剤してもらうことができる。温和で話しやすい雰囲気の小出院長は、診療と同時に、患者の体質改善のための食事指導にも力を入れている。西洋医学と東洋医学の交差点ともいえるクリニックが、町の医療の新たな扉を開く。
(取材日2013年12月2日)

整形外科医として病院に勤務しながら、漢方に魅了され、10年間学んだ

医師であるお父様の姿に憧れて医学を志したそうですね。

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はい。戦時中、私の父は海軍の軍医でした。引き揚げて来た当時、東京は焼け跡で薬も何もない時代でしたが、中野区で開業し、私が中学生の頃には町田市に移って医院を開きました。父は、地域医療を担う医者としてあらゆる患者さんのさまざまな病気を診察していました。医師として誇りを持ち、病に苦しむ人たちのためにひたむきに働く父の姿を間近に見て、「男らしいな」、「力強いな」という憧れと尊敬の念を抱く少年でした。「父のように人に必要とされる仕事に就きたい」との思いが募り、医師になる決意をして、昭和大学医学部に入学。大学時代は、医学の勉強に打ち込みながら、長い休みには、バックパッカーさながらの貧乏旅行でインドなど世界中を見て回りました。1978年に大学を卒業後、昭和大学の研究室に入り、臨床病理、特に酵素の研究で学位を取得しました。その後、整形外科医の道を歩むことにし、国立医療センター(現在の国立国際医療研究センター)の整形外科でレジデントとして勤務しました。

そして、漢方との出会いが訪れたのですね。

レジデントとして働き出してからすぐの頃、漢方と出会いました。ある学者から漢方の話を聞く機会があり、興味を持ったのがきっかけでした。外科の「悪いところは切って治す」という考え方に対して、漢方は「トータルに体のゆがみを整えて、自分の体の中から治していく」という、正反対の考え方です。当時、漢方はすでに一部保険適用にはなっていましたが、日本の医療現場では注目を浴びておらず、専門に教える教室もありませんでした。そこで、整形外科医として働きながら、漢方を志す医師たちの勉強会に10年ほど通い、本格的に漢方を学びました。漢方を学べば学ぶほど、私はそこに大きな可能性を感じるようになりました。国立医療センターでの勤務後も、いくつかの公立病院や私立病院で整形外科医としての経験を重ねながらも、漢方を学び続けました。好きこそものの上手なれというんでしょうか。漢方は勉強というより、趣味に近かったので飽きずにずっと続けることができたのです。

1992年に開業し、西洋医学と漢方の融合を実現されています。

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最初は隣の駅の中板橋で、2005年に今の場所(大山)に移転しました。1階にクリニック、上に自宅があり、仕事がしやすい環境です。診療項目は、内科、外科、整形外科、皮膚科、アレルギー科で、西洋医学と東洋医学(漢方)の長所を統合した診療を行っており、西洋医学的に診察・診断を行い、東洋医学的に漢方で体の中と外から治療することを診療方針としています。開業当初から、伝統的な漢方体系に基づいた本格的な漢方を提供することを信条としていることもあり、近隣だけではなく、遠方からも患者さんが来られます。風邪、アトピー性皮膚炎、喘息、花粉症などアレルギー性の疾患、月経困難や不妊、更年期障害などの婦人病、拒食症、過食症、ストレス性胃炎、気管支喘息、膠原病、慢性肝炎、便秘、下痢、肥満、糖尿病、高血圧など、がんや免疫の低下によるさまざまな症状に漢方は適しており、小さなお子さんからお年寄りまで、あらゆる症状の患者さんが来院されます。また、西洋医学では病気と診断されなくても、漠然とした体の不調感があり、冷え性、疲れやすい、むくみ、めまいなど、不定愁訴を訴える患者さんに対しても、漢方は効果があります。西洋医学的に診察・診断を行い、治療では漢方の考え方である「体を中と外から治療すること」を心がけています。漢方薬と西洋薬の両方を活用して、患者さんそれぞれの症状や体質、生活スタイルなどに適した治療を行っています。

西洋医学と東洋医学の長所を生かして病と向き合う

西洋医学と漢方の違い、特徴とは何ですか。

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西洋医学では、まず患者さんの訴えや症状を聞き、血液検査など各種の検査を行い、病名診断をすることから始まります。検査で病名がつかない場合は西洋医学で治療し、症状を改善することは困難です。それに対して、漢方では病名を決めるといった過程はありません。漢方では、病気は生体を侵す力と、自分に備わった健康を保とうとする力との対決である、との見方から出発していますので、患者さんの訴え、体格、体質などから、現在、病気の流れがどこに位置しているのかを見定めます。その位置に対しての薬が、その方に最も適した漢方薬、「漢方処方」ということになります。例えば、西洋医学ではアトピー性皮膚炎の患者さんに対しては、ステロイドの塗り薬と抗アレルギー剤を処方しますが、漢方では体質や症状が異なれば、同じ病名の患者さんでも、病気の流れ、気の流れが異なりますので、全く違う処方がなされることがあります。漢方処方は、数百種の生薬を巧みに組み合わせて作られます。漢方の真髄とは、人間の体にもともと備わっている治癒力を高めることで病気を治すことなのです。

漢方は子どもの治療にも有効ですか。

はい。子どもにも漢方は効果があります。アトピー性皮膚炎や喘息の子どもには、飲みやすく、体を丈夫にする体質改善の漢方を出します。例えば、果物のナツメは甘くて子どもも好きな味ですが、ナツメだけだとお腹が張ってしまいます。ところがショウガを加えるとお腹の張りはなくなります。ショウガは体を温めますが、ショウガの辛さをナツメが中和し、相性の良い組み合わせとなっています。アトピー性皮膚炎の原因は、未だ医学的にも解明されていません。実際、漢方によって体質が改善され、さまざまな病気が治っています。同時に、お母さんや子どもたちに対しては、食事の指導もしています。例えば白い砂糖は体に悪いけれど、水飴は体に良い。小さいお子さんは甘いものが好きなので、砂糖ではなくて水飴を食べさせるだけで、体質が改善していきます。ブラックチョコレートは良くても、カカオバターを入れたものは血流を悪くさせ、免疫を低下させます。お母さん方には、「お子さんに与えるお菓子や食べ物は、しっかり表示を見て買ってください」と伝えています。また、子どもに限らず、来院される方全員に、「免疫を下げる食品群」「健康で長生きするためには」と題したプリントを渡して食事指導を行っています。

漢方をクリニック内で調剤してもらえるのですね。

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漢方を扱っている医療機関でも、ほとんどは院外処方で処方箋を出すので、当院のように漢方を院内で調剤しているクリニックは多くないと思います。現在日本には、100種類以上の保険適用の漢方があります。私のクリニックでは保険適用の薬の他に、数百種類の生薬を取りそろえています。難病に効く漢方など保険適用外の薬についても、患者さんの希望を聞いて、できるだけ高くならないよう工夫して出しています。直接問屋から仕入れていますので、生薬の農薬環境汚染などからの安全性にも考慮しております。それらの生薬を、私が処方を決め、看護師が調剤します。また、院内には自動高圧煎じ機が2台あり、一度に1ヵ月分の煎じ薬を抽出分包して、常温で3ヵ月間保存が可能です。

患者に必要とされ、喜んでもらい、社会に必要とされる医師でありたい

がんの治療にも、漢方は効果があるのですね。

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はい。がんの患者さんも来院されます。皆さん、西洋医学の治療を受けている方です。がんの場合、最初から漢方だけで治療を行うのは、私は勧めておりません。まず、大きな病院でしかるべき治療を施すことが優先順位です。がんは、西洋医学では手術や抗がん剤で治療します。一方、漢方では、「血流の悪く冷えているところにがんができる」という発想から、「冷えているところを温めて全体の血の流れを良くしていく」。そうして、「免疫をあげて細胞を活性化させることで、がん細胞と闘う」という方法をとります。大きな病院から、当院の漢方と共同で患者さんの治療にあたりたいと声をかけていただくケースもありますし、別の病院で治療を受けている患者さんが、漢方治療も受けたいと来院されるケースも少なくありません。がんの治療では、白血球や血小板の機能が落ちると、抗がん剤が使えなくなります。そういうケースには、白血球や血小板を増やす漢方薬を私のクリニックでは薦めています。漢方薬を併用することにより、少ない量の抗がん剤で患者のがんを小さくし、体力を上げていくことができ、西洋医学と東洋医学、両方組み合わせることで、治療の幅や可能性がひろがります。ある若い男性の患者さんですが、漢方によって耳下腺にできたがんの成長が止まり、自らの細胞で閉じ込められたがんが死滅していたことがありました。この時は、耳下腺腫瘍摘出の手術をした耳鼻科の医師も驚き、「興味深いこと」と手紙もいただきました。西洋医学と東洋医学(漢方)、両方の協力体制で治療がうまくいったときには、医師冥利につきると感じますね。

休日は、どのようにリフレッシュされていますか。

夫婦であちこち美味しい物を食べに行ったり、海外旅行をするのが楽しみです。食べることが好きですから、たまに自分で料理もしますよ。趣味は、読書と音楽。特に、イタリアのテノール歌手のアンドレア・ボチェッリなど、クラシックが大好きです。演奏会に行く時間がなかなか取れないので、自宅で聞いています。ずっと続けていることは、夜、風呂に入る前にエアロバイクや、ダンベル体操をすること。そして風呂で汗を流した後、ワインなど美味しいお酒を少し飲んでリラックスするのが、私の健康法です。

これからの目標と展望をお聞かせください。

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西洋医学では解決できない症状の患者さんを、漢方による「手当て」によって何らかの改善をしてあげること。医師として、じっくりと患者さんの話を聞き、苦しい症状を理解して、丁寧な手当てをしていきたいと思っています。医師の仕事を通じて、患者さんに必要とされ、喜んでもらい、社会に必要とされることが私の一番の喜びであり、目標です。コツコツと、生涯現役の医師でいたい。そのために、今も医師の勉強会や学会などに積極的に参加し、疾患についての研究や、新たな漢方薬といった最新の知識の研鑽に努めています。

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