正しい知識に基づく
納得のいく治療法の選択を
ときわ台レディースクリニック
(板橋区/ときわ台駅)
最終更新日:2025/01/15


- 保険診療
不妊治療は、夫婦が気持ちを擦り合わせ、納得した上で治療法を選択することが何より大切だ。それには正しい知識の普及が欠かせない。ところが、不妊治療が保険適用になり、関心を持つ人は増えているものの、特に男性は、女性に比べ知識量も意識も低いのが現実である。患者とのコミュニケーションを重視した診療を長年続けてきた「ときわ台レディースクリニック」の藤野剛院長は、正しい情報を伝えるための説明会を月2回実施している。また、治療を決断した夫婦が最善の治療を受けられるよう、先進の検査機器や治療を積極的に導入している。そんな藤野先生に、不妊治療の進め方、高度不妊治療(ART)とは何か、保険適用によって変わったことなどを聞いた。
(取材日2024年12月26日)
目次
ART説明会で正しい知識を身につけ適切な治療法を見つける。先進の機器と豊富な経験で不妊治療をサポート
- Qまずは一般不妊治療について教えてください。
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A
▲「2人にとって最善の方法」を医師とともに探すことが重要
不妊治療のファーストステップと言える治療です。年齢や回数に制限はありますが、2022年4月から保険が適用されるようになりました。最も妊娠しやすい排卵日を推測し、その前後に性交渉を行うよう指導する「タイミング療法」、薬を使って排卵を促す「排卵誘発法」、質の良い精子を子宮内に直接注入する「人工授精」の3つが代表的な一般不妊治療です。卵管に狭窄や閉塞があるケースでは、内視鏡で卵管を広げることで妊娠確率の向上をめざす「卵管鏡下卵管形成術」を行うこともあります。不妊の原因によって治療法が異なるため、それぞれの検査結果に応じた適切な治療法を選択し、しっかりと計画を立てることが大切です。
- Q検査や治療はどのように進むのでしょうか?
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A
▲手術室とリカバリールームの連結など、院内づくりにも工夫
まず問診をし、その後、ホルモン異常の有無、子宮や卵管の状態を調べます。さらに、男性の精液量、精子数、精子の運動率や形態なども調べ、不妊の原因を見極めていきます。男女ともに大きな問題がなければ、タイミング療法から始めるのが一般的です。検査で排卵障害や黄体機能不全がわかった場合は、排卵誘発法や人工授精の実施を検討することになります。医療機関によっては、食事指導やサプリメントのアドバイス、漢方などを並行して実施することもあるでしょう。なお、一般不妊治療を6ヵ月受けても妊娠に至らない場合は、次のステップである高度不妊治療(ART)に進むか否かを検討することになります。
- QARTとは、どのような治療なのでしょうか?
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A
▲培養室では、培養士が子宮に戻すまでの胚の管理を行う
妊娠に向けて1年以上性交渉を続けても妊娠しない場合や、女性の年齢が40歳以上で、一般不妊治療を始めて3~6ヵ月が経過しても成果が出ない場合、ARTの実施が検討されます。治療法は大きく3つです。1つ目は、卵子と精子を取り出して受精を図り、受精卵を子宮に戻す「体外受精」。2つ目は、質の良い精子を選び、顕微鏡下で卵子に注入して受精を図る「顕微授精」。3つ目は、体外受精した受精卵を凍結保存しておき、子宮内膜の状態が良い時に移植する「凍結融解胚移植」です。ARTは価値観や倫理観に関わる部分が多いため、夫婦でよく話し合って方針を決めることが大切です。治療の説明会に参加し、知識を身につけるのもお勧めです。
- Q貴院で受けられる治療の特徴を教えてください。
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A
▲後悔のない選択のために対話を重ねることが重要
不妊治療は、夫婦が気持ちを擦り合わせ、納得して治療法を選択することが大切です。特にARTへ移行する際は、より慎重な判断が求められます。そこで当院では月に2回、ARTの説明会を実施しています。男性にも不妊治療の知識が浸透しつつありますが、女性の意識や知識量とはまだまだ差があります。ART説明会は、男性が不妊治療を自分事として認識するための良い機会になっています。また、治療を決断した夫婦が最善の環境で治療を受けられるよう、先進の検査機器や治療を積極的に導入しています。培養器、デジタルエックス線撮影機などを活用しながら、愛情と思いやりを持って治療を行っています。
- Q不妊治療が保険適用となりましたが、変化や注意点はありますか?
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A
▲保険適用での治療には年齢などの制限も。早めの相談が大切だ
年齢や回数の制限はあるものの、基本的な不妊治療が保険適用になったことで経済的・心理的負担が軽減されたと思います。負担額が減るため、第2子以降の出産をためらっていた人も前向きに検討できるようになりました。若年層も治療を受けやすくなり、赤ちゃんを授かりたいと願うご夫婦に広く門戸が開かれたことは良いことですね。保険適用の範囲や費用については随時見直されていますので、医療機関で確認してください。2024年6月にも抗ミュラー管ホルモン(AMH)検査の保険適用範囲が広くなったほか、細かい変更がありました。