気づかぬうちに進行する歯周病
初期症状に気づいたら早めの受診を
北園 ゆり歯科クリニック
(練馬区/大泉学園駅)
最終更新日:2024/11/11
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40歳以上になると多くの人がかかるといわれる歯周病。「静かな病気(サイレントディジーズ)」という異名のとおり、初期のうちは痛みなどの自覚症状がほとんどないが、しかしいつの間にか進行し、歯を支える骨が溶けて歯がグラグラになるという。日本人が歯を失う原因の第1位でもあるこの歯周病に、徹底したブラッシング指導と入念なスケーリング、先進の歯周外科治療で立ち向かっているのが「北園 ゆり歯科クリニック」の高橋靖子院長。「近年は歯周病を発症する年齢も下がっています。初期症状を見逃さず早期介入することが重要です」と訴える。今や中高年の病気ではないという歯周病。予防するには、進行を抑えるには、どのような心構えで臨めばよいのだろう。高橋院長に同院の取り組みも交えながら解説してもらった。
(取材日2024年6月21日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q歯周病の原因や症状について教えてください。
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A
磨き残しから生じる歯垢の中には、歯周病菌をはじめ数多くの細菌が潜んでいます。細菌が発する毒素で歯肉が炎症を起こすと歯肉炎になり、そこから派生するのが歯周病です。歯垢が石灰化すると歯石となり、歯石のでき始めのうちに除去しないと、やがて歯を支える歯槽骨が溶け、進行すると歯が抜け落ちてしまうことも。中高年に多い傾向の歯周病ですが、口腔内のケアが不十分だったり、何らかの要因があったりすると若年層でも発症し得る病気。初期症状は歯茎の腫れや出血で、口臭、歯茎が下がる、口の中がねばつく、歯間に食べ物が詰まるなどの症状まで進行したら、その分治療も大がかりになります。初期症状に気づいたら放置せず受診しましょう。
- Q歯周病と診断された場合、どのような治療が行われるのですか?
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A
軽度の場合は、歯垢や歯茎よりも上の歯の表面につく歯石を取り除くスケーリングを行います。一方、中程度・重度の歯周病には、歯周ポケットの奥の歯根面に付着した縁下歯石にアプローチするスケーリング・ルートプレーニング(SRP)が必要です。当院では2~3週間ごとに通院していただき、スケーリングとブラッシングを根気よく繰り返して、深部まで徹底的に歯石を取り切ることで出血しない健康な歯肉をめざします。さらに重度の場合はフラップ手術や歯周組織再生療法などの歯周外科治療も必要に応じて行います。歯肉が下がっている箇所や、角化歯肉の不足している箇所には上顎の一部の歯肉を移植するFGG(遊離歯肉移植術)も検討します。
- Q歯周病の予防や治療では、セルフケアがとても重要だそうですね。
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A
当院では、治療後も引き続き歯石をためないように、ブラッシング指導などの口腔ケアに力を入れています。7~10回にわたって丁寧に指導しているのは、ブラッシングの指導も治療の一環と考えているからです。歯周病の治療や予防には、自宅での正しいセルフケアがとても重要であることをご理解ください。歯周病は歯周病菌によって引き起こされる疾患ですが、そのリスク因子は免疫力、体質、遺伝、口腔内の細菌の種類などさまざまでひとくくりにはできません。しかし、一つだけ言えることは、歯石をためたままでは決して改善しないということ。出血のない歯肉を保ち続けるためにも、セルフケアで適切にプラークコントロールを行っていきましょう。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1歯科医師やスタッフによる問診
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問診では、患者が何に困って受診したのか主訴を確認。歯痛や歯茎の腫れ、出血といった急性症状がある場合は、それらの治療を優先して行う。治療が一段落したら、今度は口腔内全体を診察し、歯科医師やスタッフから、現在の口腔内の状態について説明が行われる。特に初期の歯周病はほとんど自覚症状がないことから、時々歯茎が腫れる、歯磨きの時に血が出ることがあるなど、少しでも気になる症状があれば歯科医師に伝えておこう。
- 2歯周ポケットやエックス線撮影などの検査
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次に、歯周病の進行度を調べる「歯周ポケット」の検査を受ける。1本1本の歯と歯茎の間の溝の深さを専用の器具で測り、歯茎の腫れや出血の有無を手際よく確認。歯周ポケットの深さは、初期の歯周病で3〜4ミリ、中度だと4〜6ミリ、それ以上は重度となり、歯がグラグラしたり抜けてしまうこともあるという。その後、エックス線検査で歯槽骨の吸収状態などをチェック。検査結果をもとに今後行うべき治療について説明が行われる。
- 3初期治療とブラッシング指導
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歯周病の初期治療としてまず行うのが、歯の表面や歯周ポケットの浅い部分の歯石を除去するスケーリング。スケーラーと呼ばれる器具で歯石を入念に削ぎ落とし、ブラッシング指導も行う。初期の場合はここで済むことも多いが、出血や歯茎の腫れが続いている場合は、ポケット深部の歯石を除去し歯の根の表面まで磨くスケーリング・ルートプレーニング(SRP)を実施。2~3週間後に再び診察を受け、出血や歯茎の状態をチェック。
- 4症状が進行している場合は、歯周外科治療が推奨される
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歯がぐらついている猶予のない重度の歯周病には、歯周外科治療が選択肢に上る。歯茎を切開し深部の歯石や細菌感染した組織の除去を図るフラップ手術、歯周組織再生材料を用いた歯周組織再生療法、上顎の一部の歯肉を移植して角化歯肉の造成をめざすFGG(遊離歯肉移植術)など、同院では目的や症状に応じさまざまな歯周外科治療に対応。一口腔単位でも部位ごとに病状が異なる場合は、各部位に適した異なる治療法を用いることも。
- 5セルフケアと定期的なメンテナンス
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歯周病の進行を食い止めるには、患者自身が行う「セルフケアの習慣化」が鍵となる。同院では正しいブラッシングを習慣化できるよう、回数を重ねじっくり丁寧に指導。「歯磨きペーストや歯ブラシも歯周病予防用と虫歯予防用で併用してほしい 」と院長は言う。日常の歯磨きで取りきれない汚れは、3ヵ月ごとに歯科医院でのメンテナンスを推奨。ホームケアとクリニックのケアで足並みをそろえ、プラークコントロールを行っていく。
自由診療費用の目安
自由診療とは※歯周組織再生療法/7万7000円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。