井川 淳一 院長、井川 由紀 さん、斉藤 侑子 さん、佐藤 愛梨 さんの独自取材記事
井川歯科医院
(練馬区/大泉学園駅)
最終更新日:2024/06/12

大泉学園駅からバスで約10分の住宅街で、2代にわたって50年以上、地域の人々の口の健康を支えてきたのが、「井川歯科医院」だ。アットホームな雰囲気が印象的な同院。井川淳一院長は、歯科医院は怖い、痛い、面倒くさい、というイメージを持つ人も少なくない中で、小さな子どもから、その親、祖父母までの家族3世代が、「親戚の家に遊びに行く」感覚で通院してもらえる歯科クリニックをめざしているという。そんな井川院長と、志と同じくする歯科衛生士で妻の由紀さん、斉藤侑子さん、歯科助手の佐藤愛梨さんの4人に、同院について詳しく話を聞いた。
(取材日2024年4月26日)
怖くない、痛くない治療、虫歯にさせない予防をめざす
こちらはどのような歯科クリニックでしょうか?

【井川院長】当院では、「怖くない、痛くない治療」「させない予防」「家族全員で通える医院」を理念にしています。まずは、患者さんの不安を和らげるために、質問されたことには丁寧にお答えしています。また、麻酔は先に歯茎へ表面麻酔をして、ゆっくりと一定の速度で麻酔薬を注入できる電動麻酔器を使うなどして、治療中の痛みを極力感じさせないよう努めています。「させない予防」とは、虫歯や歯周病、入れ歯にさせないこと。口の中の環境は十人十色ですから、最初に検査をして口腔内環境を詳細に調べた上で、オーダーメイド方式で虫歯や歯周病を予防することに力を入れています。
家族全員で通える歯科医院にするには、どのような工夫をしていますか?
【井川院長】この建物がもともと一般家屋だったことも生かして、家にいるようなくつろいだ空間にできるよう心がけています。また、歯科用ユニット5台のうち3台は個室に配備。1台は一般の治療用、1台はインプラントの手術などに使い、マイクロスコープを置いたり、手洗い用のシンクを隣接させたりしています。もう1台は一番奥の個室に設置。この個室はお子さん連れでも安心して治療を受けられるよう3畳ほどのファミリースペースやお子さん用トイレを備えています。そして、残り2台は歯科衛生士がメンテナンスやブラッシング指導に使っています。家族3〜4世代で通っていただくことをめざして、「自分の部屋にある歯医者さん」のような感覚で診察を受けられるようにしています。
感染症対策にも力を入れていると伺いました。

【井川院長】私のもともとの専門である歯科口腔外科は、歯科の中でも清潔と不潔を厳密に分ける分野で、クリーンルームで研究を行っていた経験や知識を生かし、新型コロナウイルス感染症が流行する前から感染症対策に取り組んでいました。医療の現場には、スタッフや患者さんなど複数の人間がいますし、歯科治療では日常的に唾液や血液などに触れながら多くの器具や器材を使います。つまり、常に人から直接、あるいは器具や器材などを介して間接的に感染する危険があります。この危険を少しでも避けるために最も重要なポイントは、機械や器具の消毒、ディスポーザブル製品の使用はもちろん、スタッフのモチベーションも不可欠。「すべての患者さんに安心して治療を受けてほしい」という思いで、全スタッフが協力して取り組んでいます。患者さんにはわかりにくいかもしれませんが、過剰にならないよう合理的に行うことが大切だと考えています。
良い治療のためにはスタッフの力も重要
診療の際に心がけていることはありますか?

【井川院長】いろいろなことに関して、エビデンスに基づいて行うことですね。簡単そうに見えることであってもエビデンスの裏づけがあるものなら、決して意味がないものではありません。それに、医療の世界では複雑で難しいものほど良いという誤解があるように感じます。しかし、良い結果を残すためには、決してそうではありません。私は、しっかりとしたエビデンスがあって、ちゃんとした結果が残せるものをシンプルに行いたいと思っています。痛くなくて、怖くなくて、病気にならないものができれば、それが一番良いと思いませんか? そのためにすごくプラスになっているのが、由紀さんと斉藤さんの歯科衛生士としてのスキルです。技術的な部分もそうですし、気持ち的なケアです。斉藤さんと話せばよくわかりますが、そういう点に関して彼女は天才的です。
もう少し詳しく教えてください。
【由紀さん】斎藤さんは、診察室が少し離れていて先生の目が届きにくい中で、患者さんが抱えている何かを喋りたくなる、そんなキャラクターなんです。診療はもちろんですけど、当院に来ると話も聞いてもらえて、患者さんは癒やされて、ホッとして帰っていかれるようです。それが楽しいから、忘れずに通院してもらえているのかもしれません。口の中を健康に保つには、定期的にメンテナンスを受けてもらうことが重要ですから、良いことだと思っています。
【井川院長】口の中というのは不定愁訴が出やすいですから、それも私が仕事をしていく上で重要なインフォメーションです。
由紀さんと斉藤さんが口腔ケアを行う際に心がけていることは何ですか?

【由紀さん】話し方や接し方に気を配り、患者さんがリラックスできる雰囲気づくりを心がけています。あとは、細い針を使って歯と歯茎の深さを測る歯周病検査をするときには、患者さんの心臓の音に合わせるようなペースで行うようにしています。時間はかかりますが、そうしたほうが何となく患者さんが安心してくれていると感じるんです。歯科医院は怖いところと思われがちですから、怖さを感じることなく、ほんわかした気持ちになりながら、椅子に座ってくれたらいいなと思っています。
【斉藤さん】私が歯科衛生士になったのは、もともと患者としてここに通っていた時の雰囲気が明るく楽しくて、「ここで働きたいな」と思ったからなんです。今、来ている患者さんにも同じように感じてもらえるよう心がけています。
佐藤さんはいかがでしょう?
【佐藤さん】私は以前、産婦人科に勤めていたのですが、そちらだとあまり深く話を聞いてはいけないところがあって、当たり障りのない返事になることが多かったんです。でも、当院に来てからは、どういうときにどのような痛みがあるのかなど詳しく聞いて院長に伝えないといけません。それに、受付で世間話とかもたくさんできて、すごくコミュニケーションを取れることが楽しいですし、やりがいを感じています。
患者の健康を長く保つ手伝いをしていきたい
院長は、診療以外でもさまざまな活動をされているとか。

【井川院長】先ほど少し話した衛生管理のことは、歯科医師向けの業界誌に記事に書き、結構大きな反響を呼びました。また、インプラントの際に顎の骨を削るドリルの持つ欠点を改良する研究もしました。これは、もともとは工業用に使われていたものが医科用に転用されて、そのままだと歯科では使えないのでアレンジして、使いやすくしたんです。こちらも大きな反響をいただいて、実際の製品にもなっています。これらの研究は私一人で行ったのではなく、大学院の時の同級生や先輩などと一緒に行いました。もう30年ぐらいの付き合いですが、そういう仲間たちと素晴らしい成果を出せたことが、とてもうれしいですね。
話は変わりますが、クリニックのスタッフさんと患者さんとで一緒に富士山に登ったことがあるとか。
【斉藤さん】富士山に行こうと最初に言い始めたのは患者さんなんです。私が「1回は富士山に登ってみたい」と話したら、「僕もたまたまそう思っていた。じゃあ一緒に行こう」となって、院長に話したらほかにも行きたいって人が現れて、じゃあみんなで行きましょう、という話になったんです(笑)。
【井川院長】でも、散歩に行くわけではありませんから、みんなの道具を買うところから始めました。試しに高尾山に行ってみたら、みんなヘトヘトになって(笑)。これじゃまずいということで、ちょっとずつ登山の練習をして。最終的には山小屋に泊まって、富士山の山頂からご来光を拝むことができました。今度は、一緒にスキーに行こうと話していますが、機会があればみんなでいろいろなことに挑戦したいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

【井川院長】患者さんが求める健康を、長く維持するお手伝いを一番に考えています。ですから、他院にお願いしたほうが良さそうなら、すぐに連携するのが私の方針。患者さんの利益を最優先にしているので当然のことです。また、最新の治療が最適とは限らないということも知っておいてください。新しいものではなく、良いものを選んで皆さんのお手伝いを続けていきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/1本30万円~、成人矯正/75万円~