畑石 隆治 院長の独自取材記事
はたいしメディカルクリニック
(世田谷区/三軒茶屋駅)
最終更新日:2025/11/05
三軒茶屋駅から徒歩2分。オレンジ色の看板が目印の「はたいしメディカルクリニック」は内科、呼吸器内科を中心に、幅広い診察を行っている。院長の畑石隆治先生は大学病院で呼吸器内科の医師として臨床と研究を続ける中で、患者と向き合う環境に身を置きたいと考えるようになり、2012年に開業した。「患者さんの笑顔が何よりのやりがいです」という畑石院長の顔からも、笑顔が絶えることはなく、少しでも患者の気持ちを和らげたいという思いが伝わる。「理想はこのクリニックに病気で来院される方がいなくなること。そして、病気にならない・予防のためのかかりつけ医として利用していただくことです」という畑石院長に、専門である呼吸器内科を選んだ経緯から将来の展望まで、医療にかける思いを聞いた。
(取材日2025年7月29日)
自身の喘息経験がきっかけで、呼吸器内科を専門に
先生が医師を志したきっかけを教えていただけますか?

私の実家は祖父の代からの薬局を営んでいまして、子どもの頃から病気で困っている方を見てきました。そんな方々が、「いい薬だった」「ありがとう」と、笑顔になっていくのが印象に残っていたのでしょうね。「人を笑顔にできる職業っていいな」と思っていたのです。人を笑顔する職業って、いろいろあるじゃないですか。お笑い芸人になって笑いを取るのもその一つでしょうけれども、私にはその才能はないし(笑)、実家が薬局だったこともあって、医療面からのアプローチならできるのではないかと、医師の道を選びました。
どのような患者さんが多く来院されていますか?
私自身の専門が呼吸器内科ということもあり、咳など呼吸器のお悩みで来られる方を中心に、広く内科全般の診療をしています。高血圧症や脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病で受診される方もいらっしゃいますし、新型コロナウイルスの感染拡大以降は発熱症状の方のための外来を設置しておりますので、高熱で来院される患者さんも多いですね。また、開業から13年以上がたち、地域の方々との関わりも強くなっていく中で、健康診断を受けに来られる方も増えています。
呼吸器内科を専門にされたのはなぜですか?

実は私自身が喘息持ちで、子どもの頃から発作で苦しい思い、つらい思いをしてきました。小中学校時の林間学校や修学旅行では、楽しい思い出よりも喘息発作で苦しかった印象のほうが強かったです。ですから、呼吸器内科を選択したのも、その影響は大きいと思います。咳が止まらなくて喘息で悩んでいる患者さんのお話を伺うと、他人事とは思えないですね。
どんな病気でも症状が出ていないときの健康管理が重要
喘息に悩まれている方にメッセージやアドバイスがあればお願いします。

特に喘息という病気は、発作が起きていないとその苦しみを忘れがちですが、発作がないときの治療、管理こそが重要になります。もちろん、それはどんな病気も同じで、皆さん高血圧症や痛風なども、症状がないときは「自分は病気ではない」と勘違いしがちですが、いざ症状が出るとつらい気持ちになります。喘息の場合は発作が起きると、命に関わることもあります。咳が続いていたら「ちょっと風邪ひいて咳が長引いているだけ」と放っておかずに、早めに専門の医師に診てもらうことをお勧めします。
力を入れている治療はありますか?
治療というより予防ですね。そのために皆さんに、ご自身の体の状態を知っていただきたい。笑顔で毎日を過ごすためにも、普段から体調を把握し、変化を知ることで健康維持に役立てほしいです。そこで重要なのが健康診断です。症状が何もなくても、健康診断は必ず受けていただきたい。実際、「今は健康だから受けなくてもいい」と考えている方や、健康診断を受けて数値が悪くても、痛みやつらい症状がなければ「大したことない」と考えて、そのままにしてしまう方がいらっしゃいます。しかし検査値は、たとえ症状がなくても体の中からの大事なサインの一つです。数値に異常があれば、まずは、なぜ異常値が出ているかを医師に相談してもらいたいですね。われわれはその異常値をもとにして、必要であれば再検査あるいは追加検査を実施することで、その原因を見極め、診断をつけたり、今後の方針についてのアドバイスができます。年1回必ず受けていただきたいです。
日々の診療や医院づくりで心がけていることは何ですか?

医師として適切な診断・治療を行うだけでなく、このクリニックが患者さんに元気を与えられる、その人にとってのパワースポットのような存在になれることをめざしています。不安な気持ちで来られた方が「ここに来て良かったな」と少しでも気分が楽になり、帰っていただく頃には「なんとなく良くなりそうだ」と前向きになっていただける、そんなクリニックをスタッフとともにめざしています。
先生だけでなく、スタッフさんの存在も大きいのですね。
患者さんは何らかの体調不良を抱えて来院されますが、その上に、初診ではここがどんなクリニックなんだろうかと不安も持ちながら入り口をくぐります。その患者さんを迎えるスタッフの笑顔や声かけが、不安を和らげ治療を始める大切なきっかけになると思っています。実際にスタッフは患者さんの表情をよく見て、ちょっとした声かけなどをしてコミュニケーションを取ってくれています。院内がきれいで心地良いのもスタッフのおかげです。小さいながらもクリニックとしてチーム医療を行い、患者さんをサポートしたいと思います。
診療に大切なのは薬だけでなく人と人との信頼関係
どういったときにやりがいを感じますか?

患者さんの症状改善の役に立てたと実感できた時でしょうか。当院は内科一般、多岐にわたって診察しているので、さまざまなご相談を受けます。例えば不眠のご相談などは、ただ医師に話をすることで自身が本当の悩みに気づき、解決の糸口が見つかることがあるんです。生活習慣病は自覚症状がないため、自分で運動したり食生活を改善したりすることが難しいのですが、医師のアドバイスをきっかけに、生活習慣を見直してみようと思ってもらえたら、医師冥利に尽きますね。思わず「よし!」とガッツポースを取ってしまいます(笑)。医療は薬を出して終わりではなく、人と人との信頼関係やつながり、ご縁が大切です。こちらの言葉が患者さんに響いているとわかると、「この仕事をしていて良かった」と思いますね。
お忙しい毎日だと思いますが、ご自身の健康管理やリフレッシュなどはどうされていますか?
最近は、自らの健康管理にもかなり意識するようになっています。高脂血症の患者さんに、数値および体重改善のために食事や運動のアドバイスをしていますが、患者さんがアドバイスを実行してくれると、自分自身で健康管理ができるようになったんだなとうれしい気持ちがある反面、アドバイスしている自分が健康でいないといけないと自問する毎日です。ですので、毎朝の犬の散歩でリフレッシュするだけでなく、さらにジョッギング、筋力トレーニングなどを積極的に取り入れ、精神的そして肉体的な健康を維持したいと思っています。何よりも、健康でいられることの喜びを自ら体現できると良いと考えています。
読者へのメッセージをお願いします。

これくらいの咳、これくらいの息切れなら大したことがないだろうと思わず、自分の体に対してアンテナを張って、大事なサインを見逃さないでほしいですね。治療をして体調が良くなると、「普通に息ができるってこんなに楽だったんだ」と感じることができると思います。普通に生活できることの素晴らしさ、健康の喜びをできるだけ維持してもらいたいですね。少しでも気になる症状があれば、お気軽に受診していただいて、その体のサインが何なのか、確かめてみてください。

