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富澤 誠 院長の独自取材記事

とみさわ歯科医院

(調布市/調布駅)

最終更新日:2025/11/14

富澤誠院長 とみさわ歯科医院 main

「とみさわ歯科医院」で院長を務める富澤誠先生が、生まれ育った調布に同院を開業したのは1991年のこと。以来、約30年にわたって、近隣住民のかかりつけ医として幅広い診療に尽力し、安心・安全に配慮しながら、患者が居心地良く過ごせるよう院内環境を整備してきた。富澤院長は小児や高齢者の口腔機能改善へ注力するのに加え、将来的には耳鼻咽喉科との連携を強化した新たなクリニックの構想を温めている。今回は、診療へのこだわりとともに、2028年に実施予定の医科歯科連携などについて教えてもらった。

(取材日2025年9月30日)

小児や高齢者の口腔機能改善のため力を注ぐ

どのような診療を行っていますか?

富澤誠院長 とみさわ歯科医院1

当院は「自分の歯をできるだけ残してきちんと噛んでもらう」ことを治療方針に、虫歯や歯周病など一般的な歯科治療に加え、予防に力を入れています。たとえ削る必要があったとしても最小限に抑えられるよう努めています。その他にも、舌痛症、非定型性歯痛、歯牙接触癖、がんの周術期治療中の口腔ケア、歯科用CTによる精密診断など、幅広い診療に対応しています。AED、パルスオキシメーター、心電計などを用い、安全対策も重視しています。また、口腔外バキュームの設置による感染対策にも力を入れております。年齢を問わず診療可能で、特に幼稚園の園医を18年以上務めた経験があるため、お子さんの治療も安心してお任せいただければと思います。

口腔機能に関する取り組みについて教えてください。

小児に見られる「口腔機能発達不全症」と、高齢者に多い「口腔機能低下症」の治療は、2018年から保険適用になり、当院でも治療に取り組んでいます。特殊な検査機器などを用い、機能が一定以下という診断が下りればトレーニングが必要です。お子さんの場合は、指しゃぶりや口呼吸といった悪習癖の改善もめざします。悪習癖は心理的な要因も関係するため、家庭環境なども考慮して対応します。高齢者には、普段から健康な口を維持してもらうために「散歩のついでに来てください」とお声がけしています。通院が難しくなった患者さんへは訪問診療も可能です。高齢者の場合、ご本人だけでなくご家族の話も聞いて、その方にとって良い診療方針は何か考えるようにしています。

口腔機能の評価はどのように行うのですか?

富澤誠院長 とみさわ歯科医院2

口腔機能低下症の評価は、嚥下機能の自己評価テストや、舌・唇の機能を確認するための発音テストなどを用います。具体的には「飲み込みが悪くなったと感じるか」といった12項目に回答したり、30秒間で「ぱ」「た」「か」をそれぞれ何回言えるかを測定したりします。その他にも舌圧を測定する機器などを用いることもあります。調布市の75歳以上を対象とした「後期高齢者歯科健診」では、摂食嚥下機能に関する評価も行われ、誤嚥性肺炎の予防に役立てられています。なお、摂食嚥下機能は、食べ物を飲み込む「嚥」までは歯科の領域ですが、その後の送り込む「下」は正確には耳鼻咽喉科の専門領域ですので、将来的に耳鼻咽喉科と連携し、専門的なアプローチをしていければと思っています。

今後は医科歯科連携によって体制を強化したい

小児の指しゃぶりや口呼吸は、どういったリスクがありますか?

富澤誠院長 とみさわ歯科医院3

小児期の指しゃぶりや口呼吸は歯並びに大きく影響し、前歯の突出や上下の噛み合わせが悪くなるオープンバイトを引き起こすリスクがあります。口呼吸は口腔内を乾燥させ、虫歯や歯周病のリスクを高めます。こうした悪習癖は骨格系に影響を及ぼし、最悪の場合、外科手術が必要になることもあるため、前歯が生えそろう小学1年生頃までに対策を講じることが重要です。なお、口呼吸においてはアレルギー性鼻炎が要因であることが多いです。インターネット上の情報に惑わされず、まずは専門家に相談していただきたいですね。

保護者が気をつけるべきことは何ですか?

まずはお子さんをよく観察し、食べる速度や食べ方、寝ている時の様子に注意してください。同年齢の子に比べて食べる速度が著しく遅い場合は、口腔機能に何らかの問題があったり、噛む力、飲み込む力が弱い可能性もあります。また、前歯が噛み合っていない場合は、麺類など前歯で噛み切る食べのものが非常に食べづらくなりますので、その様子を観察してください。寝ている時には、口呼吸していないか確認しましょう。いつも口がポカンと開いていて、寝ている時も同じように口呼吸していれば注意が必要です。悪習癖に関する対応はお子さんによって異なります。当院では家庭環境や育児姿勢などを考慮し、それぞれのお子さんに合った対応をしています。

今後注力される予定の「歯科と耳鼻咽喉科の連携」について、具体的なイメージをお聞かせください。

富澤誠院長 とみさわ歯科医院4

2028年を目途に全面的にリニューアルする予定です。歯科と耳鼻咽喉科が併設される新体制を計画しています。現状では、両領域に関連する症状が多いにもかかわらず、連携が不十分という実情があります。例えば、歯が原因で副鼻腔炎が起きる歯性上顎洞炎や、アレルギー性鼻炎由来の小児の口呼吸など、両科にまたがる疾患は、患者さんが適切な診療科を見つけられないケースがあります。そこで、同じ診療室内で両科が密接に連携し、患者さんに最適な診療をワンストップで提供したいと考えています。リニューアル後は医師である長男が常駐する予定です。長男は現在、大学病院の耳鼻咽喉科に勤務しており、医療体制が逼迫した地方の救急現場で全身管理を行った経験もあるので、これまで外部に紹介していた処置も迅速に対応できるでしょう。彼と協力して新しいクリニック建設の準備を進めながら、口腔症状と耳鼻咽喉科疾患の関連性について意見交換を始めています。

口の中だけでなく「一人の人間」として全身を診る

これまで学ばれてきたことを教えてください。

富澤誠院長 とみさわ歯科医院5

東北大学歯学部では歯科全般はもちろん、特に基礎医学の大切さを学びました。口腔生化学の先生の「歯科医師をめざすのに基礎医学を勉強するのはつまらないと感じるかもしれないが、将来診療にあたる上で、物事の本質を見抜くために非常に大切なものだ」というメッセージは、いまだに頭に残っています。医療技術は日進月歩ですが、トレンドに惑わされず基礎に立ち返った判断が必要だと考えるのは、恩師の教えによります。今でも新しい研究や症例を学ぶ際は、基礎医学的な知識に立脚して、その背景を捉えることが重要だと思っています。たくさんの学びを得て卒業した後は、立川相互病院のさまざまな診療科で初期研修を受けました。スウェーデンのイエーテボリ大学に留学して歯周病について学んだことや、昭和大学歯学部で矯正歯科の研鑽を積んだことも、現在の診療に生かされていると思います。

キャリアを確立してもなお新たなことに挑もうとする、エネルギーの根源は何ですか?

私の原点には、東北大学歯学部でたたき込まれた「一人の人間として診なさい」という教えがあります。口の中は、その人の健康や人生そのものが反映されるとして、患者さん全体を診ていきたいという思いが常にあるんです。大学時代は医学部がある環境で、内科学から外科学、耳鼻咽喉科学まで専門の医師から学びました。救急病院である立川相互病院では口腔外科のほか麻酔科も担当し、全身管理の重要性を肌で感じてきました。患者さんが複数の医療機関をたらい回しにされ、適切な診療にかかれず困っている状況を解決したいという思いが、新しい挑戦への最大のエネルギー源です。

最後に、どのような歯科医師をめざしているのでしょうか?

富澤誠院長 とみさわ歯科医院6

専門性を追求しつつ、地域のかかりつけ医として全般的に診られる歯科医師でありたいと考えています。また将来、医院をリニューアルした際は、この考え方をさらに具現化したいです。歯科と耳鼻咽喉科の両側からアプローチすることで、これまで以上に患者さんの全身の健康を深く理解し、包括的な視点から最善の治療を提供できると信じています。例えば、口腔内の問題が耳鼻咽喉科疾患に起因している場合や、その逆の場合でも、一つのクリニック内で連携し、患者さんにとって最適な解決策を素早く導き出せるようになります。信頼関係を築きながら、長い期間にわたって患者さんの健康を支え続ける地域の歯科医師として、そして数少ない医科歯科連携の担い手として、これからも患者さんのためになる医療を追求してまいります。

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