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富澤 誠 院長の独自取材記事

とみさわ歯科医院

(調布市/調布駅)

最終更新日:2022/04/20

富澤誠院長 とみさわ歯科医院 main

地域で生まれ育った富澤誠院長が、「とみさわ歯科医院」を開業したのは1991年のこと。以来、近隣住民のかかりつけ医として幅広い診療に尽力してきた。2007年に全面改装された院内は、安心・安全な治療の提供をめざし、先進の設備も導入した上で、患者が居心地良く過ごせるように配慮しているという。長年勤めるスタッフとともに研鑽を続ける富澤院長に、最近注力する高齢者の口腔機能維持についての取り組みをはじめ、診療に対するこだわりや地元に対する思いについて聞いた。

(取材日2020年2月27日)

ドライマウスや口腔機能低下症の評価、改善指導に注力

高齢者の口腔ケアに力を入れていると伺いました。ドライマウスの患者が増えているそうですね?

富澤誠院長 とみさわ歯科医院1

ドライマウスは意外と症状がわかりにくく、気づいていない方が多いですね。自覚症状があっても、口が乾くというより喉が渇くと感じたり、灼熱感やひりひりするように感じたりする方もいます。原因はさまざまですが、多いのは花粉症や高血圧など薬によるもの。唾液にはさまざまな働きがあるのです。例えば、細菌が繁殖するのを防ぐ、飲食時に歯垢がたまるのを防ぐ、歯垢の中が酸性になるのを中和するといった作用があります。特に高齢者は唾液が減るのに加え、歯茎が痩せることで歯の根の表面が虫歯になりやすくなります。今までずっと虫歯がなかったという方も注意が必要でしょう。また、ドライマウスは歯周病や口臭を引き起こす原因にもなります。改善を促すには唾液腺のマッサージや、特に口腔用の保湿剤によるうがいがお勧めなので、使い方など含めてしっかりご説明するようにしています。

貴院では口腔機能の評価をどのように行うのですか?

嚥下機能を調べるために、自己評価してもらうテストがあります。「飲み込みが悪くなったと感じるか」といった12の項目について、3段階で答えてもらうものです。さらに、RSSTと呼ばれるテストも行います。例えば、舌や唇の機能を確認するために、30秒間で「ぱ」「た」「か」をそれぞれ何回言えるかカウントします。他には、咀嚼の回数によって色が変わるガムを噛んでもらったり、風船状のものを上顎と舌に挟んで舌圧を調べたり。いろいろ評価した上で機能が落ちてきているという診断になったら、トレーニング方法を指導します。また調布市では、虫歯や歯周病の検診に加え、摂食嚥下機能に関する評価をしましょうということで、75歳以上の方が申し込み制で受けられる「後期高齢者歯科検診」が始まりました。嚥下機能が落ちると誤嚥性肺炎を引き起こす可能性もありますし、ぜひご活用いただきたいですね。

「口腔機能低下症」への取り組みについて教えてください。

富澤誠院長 とみさわ歯科医院2

口腔機能低下症は、2018年から施設基準を満たす歯科医院での診療が保険適用になりました。装置があるところでしか受けられない検査もありますが、当院では対応しています。先ほど申し上げたように、機能が一定以下だという診断になれば、トレーニングを行っていきます。普段から健康な口を維持してもらうために、患者さんには散歩のついでにでも来てくださいとお声がけしています。定期的に来て、口の中をきれいに掃除して帰るという方は多いですね。高齢者への対応としては、訪問歯科診療にも力を入れていきたいと思っています。すでに医師やケアマネジャーなど多職種の方と連携しながら在宅の患者さんを診ていますが、今後さらに進めていくつもりです。虫歯治療や口の中をきれいにするケアにとどまらず、食べて飲み込む機能を維持できるように、総合的に対応していきたいですね。

知識の研鑽と機器の活用で安心・安全な治療をめざす

スタッフの方やその育成について教えてください。

富澤誠院長 とみさわ歯科医院3

当院には歯科衛生士が3人いて、いずれも志の高いベテランぞろいです。1人の衛生士が1人の患者さんを担当する体制をとっていますが、10年、20年選手のメンバーがいるので、患者さんからの信頼は厚いだろうと自負しています。これからさらに訪問歯科診療に注力していくことを考えると、高齢者歯科治療や周術期口腔ケアなど、より幅広い技術や知識が求められると思っています。そのために講習は全員でしっかり行っているんです。週に1回は早朝から院長室兼研修ルームで勉強会を開いていますし、地方で行われた講習会に衛生士も一緒に参加したこともあります。安心して治療を受けてもらえるクリニックであるためには勉強会や講習は欠かせないというのが、開業以来一貫した考えです。

院長ご自身はこれまでどのようなことを学ばれてきたのですか?

まず東北大学歯学部では、歯科全般はもちろん、特に基礎医学の大切さを学びました。口腔生化学の先生が話してくださった、「歯科医師をめざすのに基礎医学を勉強するのはつまらないと感じるかもしれないが、将来診療にあたる上で、物事の本質を見抜くために非常に大切なものだ」というメッセージはいまだに頭に残っています。医療技術は日進月歩ですが、「トレンドに惑わされず基礎に立ち返った判断が必要だ」と考えるのは、恩師の教えがあったからです。今でも新しい研究や症例を学ぶ際は、基礎医学的な知識に立脚して、その背景を捉えることが重要だと思っています。たくさんの学びを得て卒業した後は、立川相互病院でさまざまな研修を受けました。スウェーデンのイエーテボリ大学に留学して歯周病について学んだことや、昭和大学歯学部で矯正や歯科麻酔について研鑽を積んだことも、開業してから生かされていると思います。

安心・安全な歯科診療を提供するために、どのような取り組みをされていますか?

富澤誠院長 とみさわ歯科医院4

根拠に基づいた治療を行いたいので、そのための機器やトレーニング制度を充実させています。特に医療機器については、訪問歯科診療や何かトラブルが起きた際にも活用できるAEDやパルスオキシメーター、心電図を導入しました。矯正治療では、デジタルパノラマエックス線やセファログラムを設置し、患者さんにタブレット端末から検査画像を見ていただくようにしています。時には自作のイラストを使ってご説明することもあるんですよ。また、ちょっとした義歯の修理は院内でも行うのに加え、外注の際も患者さんごとに詳細な確認をしてからオーダーしており、作り直すことがないようにしています。他には、ミストが診療室に飛び散らないようにする口腔外バキュームも装備して院内感染にも十分に配慮しています。

信頼関係を築き、その人全体を診る歯科医師でありたい

どのような歯科医師、クリニックをめざしていますか?

富澤誠院長 とみさわ歯科医院5

専門性を究めることも重要ですが、地域のかかりつけ医として、まずは全般的に診られる歯科医師でありたいと思っています。その人それぞれに生活・環境・社会がありますし、口には、その人の健康や人生そのものが反映されるものです。歯だけでなく、全部ひっくるめて、その人全体を診ていきたいですね。例えば、虫歯ではないのに歯が痛くなる「非定型歯痛」という症状では、神経や精神的ストレスも原因となり得るので、歯の治療にとどまらず、精神的なケアが必要になってきます。どんな場合でも、患者さんと一緒に病気と付き合うという考え方で、長い期間にわたって治療を続けていけるよう、信頼関係が築ける地域の歯科医師をめざしたいと思います。

地域の歯科医師として、地元にはどのように貢献したいとお考えですか?

生まれ育ったこの町で開業したのは1991年のことです。それ以来、ありがたいことにたくさんの近隣の方が来院してくださっていますし、地元に貢献したいという思いは強まっています。周辺には大規模マンションが新しくできていて、小さなお子さんや子育て世代の方が増えています。その一方で、老人ホームなど介護施設も増加しており、高齢者歯科診療の重要性は以前より増しています。こうした幅広い世代の方々に通用する治療技術や知識の充実をさらに図っていきたいですね。訪問歯科診療についても、多職種連携の中で患者さんをサポートする体制を整えていきたいと思います。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

富澤誠院長 とみさわ歯科医院6

生涯を通してお世話になれる歯科医師を見つけて、そこで健康なお口を維持してください。ストレスや体の健康はお口の中にも表れます。また、予防していくことも大切です。そのためには定期的な検査も必要ですが、提案された治療や検査が本当に必要なものかどうかを見極めることも重要となります。歯は一生ものです。一度削ると元には戻らないので、今ある歯をどうぞ大事にしてくださいね。

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