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要介護高齢者が食事を楽しむために
訪問歯科で口腔ケア

とみさわ歯科医院

(調布市/調布駅)

最終更新日:2021/10/12

とみさわ歯科医院 要介護高齢者が食事を楽しむために 訪問歯科で口腔ケア とみさわ歯科医院 要介護高齢者が食事を楽しむために 訪問歯科で口腔ケア
  • 保険診療

生活習慣病など高齢者に多い身体疾患があるように、口腔内にも高齢者特有の症状があるという。「とみさわ歯科医院」の富澤誠院長は30年以上地元で多くの患者を診てきた経験を生かし、高齢者のための歯科診療に力を尽くしている。通院が難しくなった長い付き合いの患者の自宅へ訪問診療を始めたのは、「いくつになっても安心して歯科診療を受けていただきたい」という思いから。診療室とほぼ同じ治療ができる往診用の診療機器も準備しているが、車で行きにくい場所であれば診療に必要な器具を持ち自転車で往診に行くのだそう。「高齢者の歯科診療は攻めの治療ではなく、機能を維持するための守りの診療なんです。ご本人にもご家族にも無理のないことが大事」と富澤院長。高齢者特有の疾患や診療のポイントを聞いた。

(取材日2020年3月26日)

高齢者の歯科診療は機能を維持するためのもの。それぞれに合った無理のない取り組み方が大切

Q高齢者の歯科診療で大事なのはどのようなことですか。
A
とみさわ歯科医院 高齢者の悩みに寄り添って診療する院長は地域住民の信頼が厚い

▲高齢者の悩みに寄り添って診療する院長は地域住民の信頼が厚い

若い人に対する歯科診療が元通りに機能を回復していくための「攻め」のものだとしたら、高齢者の場合は現状を悪化させずに、今ある機能をできる限り維持していく「守り」のものです。患者さんも必ずしも完全な治癒を望んでいるわけではありません。歯がなくなったからインプラントを入れるというような型にはまった治療方法を押しつけるのではなく、ご本人やご家族の要望をよく聞いて、その方に見合った内容で決めていくことが大事です。高齢になると口腔機能が低下し食べづらくなる、だから体力が落ちて動けない、だからおなかが減らずに食べられないという悪循環が起こります。この「オーラルフレイル」と呼ばれる現象を防ぐのが大切です。

Q訪問診療も高齢者が対象でしょうか?
A
とみさわ歯科医院 ニーズがあれば休診日でも訪問診療を実施

▲ニーズがあれば休診日でも訪問診療を実施

そうですね。長年通っていた患者さんでだんだん通院が難しくなってきた方を、できれば生涯診て差し上げたいと、休診日を利用して訪問しています。毎月、あるいは3ヵ月に1回と定期巡回している方もいますし、「入れ歯の具合が悪くてものが食べられない」という方の応急処置に伺うこともあります。在宅の患者さんの場合、ほとんど全員が何かしら持病をお持ちなのでかかりつけの内科の先生や、介護中の方ならケアマネジャーさんと一度は顔を合わせ、連携を取りながら治療をしています。外科処置などいくつかできない治療もありますが、基本的には院内と同じ内容の治療が可能です。痛みを取る、義歯の不具合を治すといったものが多いですね。

Q高齢者に特に多い症状はありますか?
A
とみさわ歯科医院 高齢者に多い症状に対しクリニックで幅広く対応

▲高齢者に多い症状に対しクリニックで幅広く対応

最近問題になっているのは「摂食嚥下障害」です。先ほどお話ししたように「オーラルフレイル」といって、高齢者は年齢とともに噛む力や舌の力が落ち、食べる、飲むといった機能が衰えていきます。当院では口の機能維持、できれば向上をめざして、発声訓練などのオーラルリハビリテーションの指導をしています。最近は健康保険で摂食嚥下機能の検査ができるようになり、調布市では2020年から、まず簡便なスクリーニング検査を行い、必要な方には専門の医療機関でより詳しい検査を行うシステムが始まりました。当院も、専門の医療機関の一つです。76歳を迎えた調布市民であれば、希望者は誰でも市内の歯科医院で検査できます。

Q口腔ケアとはどのようなものでしょうか?
A
とみさわ歯科医院 嚥下機能の検査はまだまだ知られておらず一人ひとりの意識が必要

▲嚥下機能の検査はまだまだ知られておらず一人ひとりの意識が必要

歯周病や虫歯、誤嚥性肺炎などの予防を目的に、口腔内のクリーニングを行います。加齢とともに唾液が減ると口の自浄作用が落ちて、口の中が汚れやすくなるんです。汚れを放置すると歯周病や虫歯が進行して患部が痛むだけでなく、歯が突然折れたり、グラグラして抜け落ちたりすることも。歯を失うと食べる機能が落ちますから、「オーラルフレイル」にもつながります。特に、要介護の高齢者の場合は介護者による日頃の歯磨きで口腔内の清潔を保つことが大切ですが、十分に磨けているとはいえないのが現状です。口臭ケアの観点からも、プロの手を借りることは介護者の負担軽減にもなりますので、訪問診療を利用して定期的な口腔ケアを行いましょう。

Q診断がつけにくいというドライマウスについても教えてください。
A
とみさわ歯科医院 検査機器も整う

▲検査機器も整う

高齢者に限らず、40歳を過ぎると唾液腺の機能が落ちてドライマウスになる方が多いのですが、喉が渇いて水をよく飲むなどの症状があってもドライマウスだと思わず、内科や婦人科を訪ねる方が少なくありません。高齢者の場合、高血圧や高コレステロールの薬で口腔乾燥の副作用が出やすいことも一因です。唾液腺のマッサージやジェル・うがい薬など保湿剤の使用で症状の改善を図ります。唾液が少なくなると、口の中が乾くという不快感以外にもいろいろな問題が起こります。まず唾液には自浄作用があるため、それが減ると口の中が汚れます。そのために、歯茎が後退した後の根面う蝕が進みやすくなってしまいます。口が乾く方は要注意ですね。

ドクターからのメッセージ

富澤 誠院長

高齢者の歯科診療は「守り」であり、私は有名な建築家の言葉に倣って「負けの治療」とも呼んでいます。完全をめざして無理な治療をするより、日々、物が噛めて、食事ができて、ご本人やご家族の負担にならないことが大事です。その見極めにはやはり歯科医師としての長い間の経験が欠かせないと思っています。また高齢者に多い摂食嚥下機能障害やドライマウスの場合、外科的な処置より、リハビリテーションなど内科的な処置が重要になってきます。これを「口腔内科」とも表現するのですが、高齢者の診療では特に重要です。高齢になっても在宅になっても、安心して治療が受けられる歯科医院として、今後も地域に尽くしていきたいですね。

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