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山口 俊一 院長の独自取材記事

山口内科クリニック

(調布市/西調布駅)

最終更新日:2023/12/14

山口俊一院長 山口内科クリニック main

調布市にある「山口内科クリニック」は、高い専門性と地域密着を特徴とするクリニックとして、2005年に誕生した。診療にあたるのは、消化管を専門とする山口俊一院長と、コレステロールや中性脂肪などの脂質異常症を専門とする山口香壽美先生だ。同院は、発熱やインフルエンザといった一般内科から、専門性の高い検査や治療まで幅広く対応する。特に胃内視鏡検査は数多く経験しており、検査だけでなく診断にも力を入れている。「私たちは2人ですが、その後ろには患者さんのつらい症状を改善に導いてくれるたくさんの医師がいます」という山口院長の言葉どおり、たとえ同院での治療が難しい場合でも紹介先を真摯に探してくれる。熱い志を持つ山口院長に、これまでの経緯や、同院での治療について詳しく聞いた。

(取材日2023年11月2日)

これまでの経験に裏打ちされた検査と診断力

子どもからお年寄りまで、幅広い年齢層の方が来院されると聞きました。

山口俊一院長 山口内科クリニック1

この辺りは住宅街なので、お子さんからご高齢の患者さんまで、幅広い年齢層の方が来院されます。ご家族で通院されている方も多く、ありがたい限りです。当院では妻も内科医として診療にあたっているので、比較的女性の患者さんが多くいらっしゃいます。発熱専門の外来も行っており、風邪の症状を訴える方も少なくありません。開業時から比べて増えていると感じるのは、ストレスを抱えることを発端とする、難治性逆流性食道炎や機能性胃腸症、過敏性腸症候群などの疾患で来院される患者さんです。仕事や生活習慣が30年前と異なってきていることに関係しているのかもしれません。

どのような診療スタイルなのですか?

基本的には、私が食道・胃・大腸・小腸・肝臓・胆嚢・膵臓などの臓器を専門とする「消化器内科」、妻が、高脂血症(脂質異常症)・高血圧・糖尿病といった生活習慣病、そして甲状腺・下垂体疾患などの「内分泌内科」を専門としています。水曜日以外は私が主に診察を行い、妻が火・水・土の担当です。開業時は地域医療に専門性の高い窓口を設けようという志で始めたクリニックですが、医療機関の在り方を決めるのは患者さんでした。私たちは専門家である前に内科医ですので、風邪やインフルエンザなどの症状にももちろん対応し、地域の医療に貢献していきたいと思っています。

先生の得意分野を教えてください。

山口俊一院長 山口内科クリニック2

検査と診断の質の高さには自信を持っています。私はこれまで、大学病院や医局の出向先の市中病院で働いてきました。消化器内科の医師として学んだことは、内視鏡検査後の診断学と治療学についてです。これまでに相当数の症例を経験してきましたので、患者さんには安心して受診いただけると思います。また、医局にいた時には80年代に発見されたヘリコバクター・ピロリ菌に興味を持ち、これをテーマに「胃の炎症学」の研究をしました。当時は臨床に研究にと忙しい毎日で、つらい時期もありましたが、充実した日々であったと思います。

患者に合う治療を貪欲に探し続ける

内科の医師になろうと思ったきっかけを教えてください。

山口俊一院長 山口内科クリニック3

私の実家は小児科のクリニックでした。そのため幼い頃から、自分も医師として働いている姿が想像でき、そのまま医学部に入学することに。大学時代は、アイスホッケー部に入部し、部活一色でしたね。一時は器用な手先を生かして外科に進むことも考えました。しかし、一人前の外科医になるまでの道のりはあまりにも長い。ならばと、当時花形だった「消化器外科」にリンクする「消化器内科」を選びました。

その後、開業までの経緯は?

卒業後は、日本大学第3内科に所属しました。臨床が始まると、患者さんと接するのがとても刺激的で楽しかったです。当時の消化器内科は、胃がんや大腸がん、肝臓がんなどの患者さんが多く、手術で回復しなかった患者さんが内科に再入院し「人の死」と向き合う機会も数多くあり、学ぶべきことも多かったです。患者さんのご家族や人間関係、社会的背景などを知るうちに、その方にとって必要な治療がはっきりと見えるようになりました。私の勤務医時代には「QOL(生活の質)」が叫ばれ出し、患者さんの希望に沿った治療が選択される転換を見てきました。他にも、延命措置が当たり前だった医療の世界に、「延命治療を受けるか、受けないか」という新たな選択肢が生まれた転換期でしたね。患者さんが「延命する人、しない人」に分けられていく様を、私は見てきました。その経験が、現在の治療に最も影響を与えているのは間違いありません。

その経験が、どのような面で現在の治療に反映されているのですか?

山口俊一院長 山口内科クリニック4

主治医である僕は「希望を捨てない」という姿勢です。他の医療者や、患者さんご自身が諦めることがあったとしても、私は諦めない。しかし、当院でできる治療は限られますから、私はその患者さんにとって良い治療が行えるであろう医療機関を、とにかく貪欲に探し続けます。そうすれば、日進月歩の医療にあって何か手立てがあるかもしれません。5年ほど前からは、調布市医師会に入ったことで、さまざまな分野の先生方と知り合えるようになりました。調布市医師会を介したつながりで患者さんをご紹介する医療機関が増え、患者さんの選択肢も広がったと思います。

開業時から検査の腕を磨く努力は怠らない

内視鏡検査にも力を入れていると伺いました。

山口俊一院長 山口内科クリニック5

内視鏡検査は、年間でも数多く行っていますね。本当はもっと多くの患者さんを検査したいところですが、検査ばかりでは他の患者さんを診られなくなってしまうので、1ヵ月に行う検査の上限を決めて対応しています。クリニック以外では、基幹病院での内視鏡検査も行っているのですが、目的は腕を磨くことと、後輩の医師から刺激をもらうことです。大学病院に勤める医師は情報が早いので、新しい検査機器のことなども教えてもらっています。内視鏡検査では血管をクリアに観察できる機器を導入したり、2023年には超音波検査の機械をリニューアルしたりしました。どれだけ詳細にその部位を検査できるかがとても重要です。例えば大腸の内視鏡検査でポリープが見つかったときに、当院で切除するか否か判断しなければなりません。私には長年の経験がありますが、より詳細に検査できることは判断の助けになります。

胃腸の不調で気をつけるべきことは何でしょうか。

ストレスを抱えないことです。近年、消化管のストレス関連性疾患と大腸がんが増加しています。腸は免疫の源です。糖尿病などの生活習慣病に派生することもありますから、生活習慣および腸内環境を整えることも大切だと思います。生活習慣病の治療はもとより、ストレスから来る腸内の悪い環境を整えることは、機能性胃腸症、難治性逆流性食道炎、過敏性腸症候群、慢性便秘などの改善をめざす上でもとても重要です。また大腸がんは、早期発見・早期治療できれば完治が期待できる病気のため、早めの受診と治療が大切です。しかし、患者さんの検査への抵抗感や治療への懸念から、早期発見が難しくなっているのが現状です。消化器病は、ストレス社会の窓のようなもので、患者さんは医師にしか打ち明けられないこともあると思います。何かお悩みがありましたら、ストレス発散のつもりでご相談いただければと思います。

間もなく開院から20年ですが、今後の展望をお聞かせください。

山口俊一院長 山口内科クリニック6

クリニックをもう少し大きくしたいと思っています。現在は私と妻の交代制ですが、二診制にして今より多くの患者さんを診るのが理想ですね。将来的には内視鏡専門のクリニックを開業する夢もありましたが、開業してから地域の患者さんを大切にすることをモットーに診察を行ってきたので、その姿勢を変えるつもりはありません。最近は、子どもの頃から通われていた患者さんが成人して来院することも増えました。患者さんを長期にわたって診られるのは、地域医療の醍醐味(だいごみ)だと思います。10年ほど前のことですが、要請を受けて災害地域に医療応援に行く機会がありました。その際、当院の患者さんに「院長に診てもらわないと困る。災害への応援も大切だけど、ここにいてほしい」と言われたことがとても印象に残っています。地域に必要とされているのだと実感した出来事でした。この先も患者さんを大切にし、地域医療に貢献し続けたいと思います。

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