中里政可院長の独自取材記事

三鷹グリーン歯科

(三鷹市／仙川駅)

最終更新日：2025/03/10

三鷹市北野の内科や小児科の医療機関が集まる医療モールの2階にあるのが、「三鷹グリーン歯科」だ。大学病院の歯科口腔外科出身の中里政可（なかさと・まさよし）院長は、虫歯や入れ歯、噛み合わせの治療といった一般的な歯科診療の他、インプラントや外傷、顎関節症、口腔粘膜疾患などの治療経験も豊富な歯科医師。有病者の治療も得意としており、生活習慣病などの複合疾患を持つ高齢者への治療の際には、全身状態を診ながら安全性に配慮した処置に努めている。「お口の中のことはもちろん、顔面や顎に痛み・違和感がある時など、変だなと思ったら気軽に相談してほしいですね」と話す中里院長に、得意分野や治療のモットーについて聞いた。

（取材日2024年11月20日）

さまざまな設備を整え、幅広いニーズに対応
ゴールを押しつけず、患者とともに最善策を探る
患者第一主義で、満足してもらえる治療を追求

さまざまな設備を整え、幅広いニーズに対応

院内設備がとても充実していますね。

当院にはお子さんからご高齢の方まで利用していただいていますから、さまざまな症状や悩みに対応できるよう設備の充実に力を入れています。デジタルエックス線撮影機や口腔内カメラ、CO2レーザー、拡大鏡などの機器をそろえており、詰め物やかぶせ物などの技工物を院内で迅速に作製できるCAD／CAMシステムも導入しています。また、インプラント治療ではシミュレーションソフトやガイド用の口腔内装置を使って、安全性に配慮した精密な治療を心がけています。さまざまな年齢層に向けて、虫歯や入れ歯といった一般的な治療からインプラント治療やホワイトニングまで、幅広く提供していきたいですね。矯正は、専門の先生が開院から長く診療を担当してくれています。

インプラント治療について教えてください。

最近では、ガイド用の口腔内装置を使った手術が増えてきています。CT撮影データをシミュレーションソフトに入れると、骨や神経の位置などが3D画像で把握できます。さらに、そのデータをもとに埋入する角度や深さに合わせたガイドシステムを作り、手術時にはガイドシステムで設定された位置にインプラントを埋入していきますので、精密さや安全性の面でもメリットが期待できます。また、銀座にあるインプラント治療専門の「マロ　デンタル＆メディカル東京」とも連携をしています。院長の下尾嘉昭先生は、私が帝京大学医学部附属病院の歯科口腔外科に入局した時の外来長で、私にとってインプラント治療はもちろん、歯科口腔外科の師匠といえる方です。全顎的なインプラント治療や全身麻酔が必要な場合には、こちらのクリニックを紹介することも可能です。

CAD/CAMシステムは、どのような治療に使うのでしょうか？

CAD/CAMシステムで作製した白い詰め物での治療が保険診療となり、すべての歯で行えるわけではないですが、治療の選択肢として広がってきています。保険診療でできるのならそっちのほうが良いという方も多く、使いたいという方が増えてきています。歯科用の3Dスキャナーも使いますので、患者さんも比較的楽に、精密な型採りができて、高精度な補綴物を作れるのもメリットです。ただ、詰め物をするすべての治療でお勧めできるわけではありません。CAD／CAMシステムで使う材料であるハイブリッドセラミックは、金属に比較して弱いことから厚みが必要で、その分だけ歯を削る量が増えてしまうのです。金属は薄くても丈夫という特性があり、歯をあまり削ることができない人には、金属のほうがお勧めですね。また、色も限られたものしか使えません。ですから、患者さんとよく相談しながら治療を進めるようにしています。

ゴールを押しつけず、患者とともに最善策を探る

顎関節症の治療にも取り組んでいると伺いました。

顎関節症は、関節や筋肉の異常により顎の構造バランスが崩れることで起こります。顎関節症には、口の開け閉めや食べ物を噛む筋肉が原因の1型と、顎関節やその周りの組織に原因がある2型があります。加えて、噛み合わせが悪いとか、強い食いしばりや就寝中の歯ぎしりなどの癖などが根本的な原因。食生活や仕事、スポーツなど日常の生活習慣によって顎に負担がかかっている場合、長期にわたると影響が出てくることもありますので、それを見極めることが重要になります。治療では、まず日常生活の中で顎にとって良くない習慣があれば、それを是正し改善を図ります。痛みがある場合は、薬や超音波治療器も使い、痛みの軽減を図ることを最優先にします。また、顎関節症はマウスピースをすれば良くなると思っている人もいますが、そうではありません。確かに、マウスピースを使うこともありますが、やはり根本的な原因を把握して対処することが大切です。

診療の際に心がけていることはありますか？

患者さん個々の状況に応じて、最善の方法を考えることです。こちらから「悪い所は全部治しましょう」といった押しつけはせず、ストレスなく治療を受けていただけるよう配慮しています。ゴールを共有するため、診療時間の多くをカウンセリングに使うことも。「やっぱりこういう治療にしたい」と途中で患者さんの希望が変わったら、改めて治療計画を相談し、治療の方法や通院間隔などにも柔軟に対応することで、治療に満足してもらえるよう心がけています。全身疾患の状態によっては治療のゴールを変えることもありますね。また、モニターに口腔内カメラで撮影した画像を映して見せたり、治療の流れなどがわかる動画を流したり、視覚的にすることで、状況を理解してもらえるよう工夫しています。治療前後の映像を見比べることで患者さんの理解を促し、治療のモチベーションにつながればと考えています。

歯科口腔外科を専門にした理由を教えてください。

もし目の前で患者さんが転んだときなどに、スムーズに対応できる歯科医師でありたいと思ったからです。大学卒業後は、医科大学病院の歯科口腔外科で、内科や整形外科、耳鼻咽喉科や脳外科といったあらゆる診療科と連携したより全身と関わりの深い治療がしたいと思いました。それで、帝京大学医学部附属病院の歯科口腔外科に入局したんです。最初の1年はほとんど歯を削らず、病棟で入院患者さんのケアをしたり、手術室に入ったりしていましたね。

患者第一主義で、満足してもらえる治療を追求

歯科口腔外科では、多くの経験を積まれたそうですね。

大学病院の歯科口腔外科では、交通外傷などで搬送された患者さんの治療をする他、インプラントや顎関節症のチームにも所属していました。入院患者さんを診る機会も多かったので、他科の先生に入院理由や治療内容、服用している薬などを確認しながら診療していました。開業後もそうした習慣は変わらず、複合疾患のあるご高齢者や有病者に対しては、それを考慮して治療を進めるようにしています。高齢者は、高血圧症や糖尿病、心臓病などで通院中という方が珍しくありません。血液検査のデータがあればそれを見て、状態を確認した上で治療をしますし、必要があれば担当の先生と連絡を取り合ったり、内科の先生を紹介したりすることもあります。

やりがいを感じるのはどんな瞬間ですか？

大学病院は、病院としてのやり方や方針を重んじ、一人ひとりがそれぞれのスタイルで仕事をしますが、開業医の場合はどんなときも患者さん第一。あらゆる場面で、患者さんを優先して診療を行っています。説明の仕方や治療方針を一人ひとり変えるのは大変ですが、今はそれが普通だと考えています。患者さんにご満足いただけたら、やはりうれしいですしね。一方で、「あれ持ってきて」「今日はこういう方法でやります」と突然言われるスタッフは大変だと思いますが、いつも柔軟に対応してくれるので本当に感謝しています。

今後の展望と読者へのメッセージをいただけますか？

開業から15年以上がたち、その間に歯科診療ではメタルフリーが浸透し、当院の診療の幅も広がりました。私の専門性を生かしたインプラント治療や顎関節症の治療、全身疾患を考慮した治療やCAD／CAM システムを活用してのセラミック治療などに今後も力を入れつつ、患者さんや時代のニーズにさらに応えていきたいですね。お子さんが小さいため歯科医院に行けないという方もいると思いますが、当院のスタッフには子育て経験者もおり、親御さんの治療中はスタッフがお子さんをあやすなどの対応も行っています。また、ユニットのモニターにお子さんの好きなDVDを映すこともできます。院内はバリアフリーで、ベビーカーや車いすでユニットの真横まで入っていただくこともできますから、ぜひ気兼ねせずにご来院ください。