全国のドクター8,992人の想いを取材
クリニック・病院 161,454件の情報を掲載(2020年2月25日現在)

  1. TOP
  2. 東京都
  3. 三鷹市
  4. 三鷹駅
  5. 医療法人社団 壮仁会 三鷹あゆみクリニック
  6. 高橋 壮芳 院長、山根 秀章 先生

高橋 壮芳 院長、山根 秀章 先生の独自取材記事

三鷹あゆみクリニック

(三鷹市/三鷹駅)

最終更新日:2020/01/08

30370 %e4%b8%89%e9%b7%b9%e3%81%82%e3%82%86%e3%81%bf%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%8b%e3%83%83%e3%82%af

自然が豊かな地として人気の三鷹市において、在宅療養支援診療所として24時間365日体制で訪問診療に取り組んでいるのが「三鷹あゆみクリニック」。同院は、高齢者などに対する一般的な訪問診療から在宅酸素療法、末期がん患者に対する疼痛ケアなどさまざまな症例に対応し、患者一人ひとりに合わせたオーダーメイドの診療を実践することで、何かしらの事情で病院に通院できなくなった患者の健康を支えている。そんな同院の高橋壮芳(たかはし・たけよし)院長と山根秀章先生に、同院のことや訪問診療にかける思いを聞いた。
(取材日2019年5月28日)

診察では治療以外の話も大切に

クリニックを紹介していただけますか?

1

【高橋院長】当院では、訪問診療を専門的に行っています。在宅療養支援診療所として2011年3月に井の頭に開業し、2014年1月に現在の場所に移転しました。地域の医療機関や訪問看護ステーション、ケアマネジャーさんなどから紹介された患者さんのご自宅にお伺いして診療をしています。現在、常勤の医師が私を含めて4人、ほかに非常勤の先生にも手伝ってもらっています。対象になるのは、病気や年齢に関係なく外来にかかっていたけれど足腰が弱ってしまった方、脳梗塞などで車いす生活となってしまった方、認知症のため外来で待つことができない方、末期がんの患者さんなど、通院することが難しくなってしまった方になります。

外来診療と訪問診療の違いは、どんなところでしょうか?

【高橋院長】医学以外の部分が多いことでしょうか。われわれが患者さんのところで話すのは、病気以外のことが9割です。例えば血圧の高い人が外来を受診すると、医師が医学的な判断から最適な薬を選んで処方しますよね。訪問診療の場合は、もちろん薬の種類の選択もありますが、それ以前に「薬が飲めるのか、飲めないのか」から入らなければならないこともあります。一人暮らしの認知症の方だと薬を飲むという認識がなく、1日3回は飲めないことがありますし、たとえ1回に減らしたとしても飲めないかもしれない。では、どうやったらこの1回の薬を飲めるようにすることができるだろうかといった体制づくりから考えます。つまり一般の診療では、治療に関わる医学の話が中心ですが、在宅医療では、患者さんのおかれている状況や日常生活に合わせて治療法を選択する必要があります。

それは大変ですね。

2

【高橋院長】中には診察は嫌だ、薬だけでいいと言う患者さんもいますし、血液検査をやろうと言ってもやりたくないと拒む患者さんもいます。でも私は、それはそれでいいと思っていますし、そういった選択肢が持てるのも在宅医療の一つの姿だと思います。「私は医師であなたは患者だから、言うことを聞きなさい」といったスタンスでは、決して在宅医療はうまくいきません。必要なことは、患者さんに寄り添い、側にいることです。具合が悪くなった時に駆けつけて「やっぱり血液検査してみようよ」と言えば、それが一歩踏み出すきっかけとなり信頼関係が生まれると思っています。患者さんの「あれは嫌だ」「これだけでいい」といった言葉は、希望や本心の表れでもあるので、それをできるだけ生かした診療ができたらと考えています。

明るい在宅医療を心がける

診療の際に心がけていることはありますか?

3

【高橋院長】単純ですが、明るい在宅医療を心がけています。末期がんの患者さんや脳梗塞で寝たきりになってしまった患者さんなど、在宅医療はご本人やご家族にとっても生活が一変し、不安が大きいものです。特に、介護が初めてだというご家族ではなおさらですから、あらゆる視点から「在宅医療を堅苦しく考えないで」ということを、ご家族には伝えています。例えば、胃ろうは食事と同じですから病院だったら正確に量を計って与えますが、普通は自分の食事や水を飲むのにわざわざ量を計りませんよね。食べない時もあるし、目分量でも大丈夫なんです。人間の体はそんなに弱くできていないからとアドバイスするようにしています。大切なのは、患者さんと家族の生活が普段どおりにできるよう、専門知識を持っているわれわれがサポートしていくというスタンスでいることだと思っています。

訪問診療のやりがいは、どのようなところですか?

【山根先生】先ほど薬の話が出ましたが、自宅に訪問すると患者さんが薬を飲んでいるのかどうかが一目瞭然でわかるんです。そうすると飲んでいないでこの状態なら飲まないでいいですと言えますし、飲む必要があるのなら、看護師さんやヘルパーさんと相談して、どうすれば飲めるのかを考える。いろいろな人と協力しながら、患者さん一人ひとりに合った診療ができるということにすごくやりがいを感じます。それに、私たちは15分や30分をかけて、本人や家族も含めて話をするため、その方の人柄や歴史がわかります。それと医療を組み合わせることができるのも、訪問診療の良いところだと思います。

温かいクリニックですね。

4

【山根先生】そうですね。常勤の先生方はみんな同じ志を持ってくれています。ある先生が以前にいたクリニックでは、午前中は外来で午後から往診という形でやっていたそうですが、対応できる病気も限られ、重症の患者さんはお断りしていたそうです。でもここでは、皮膚科や精神科が専門の先生もいるので、今までだったら断っていたような患者さんも診ることができることにやりがいを感じてくれています。もう一人の先生は、一人ひとりの患者さんを時間をかけて診てくれ、医学的なことだけではなく、その「人」と仲良くなって、その上で診療ができることが訪問診療の良さと言ってくれています。またその先生は、与えられた時間の中で、すべて満足にということはできないかもしれないが、できることは少しでも何とかしたいと努力してくれていますし、今までより質の良い時間を過ごせていると感じてくれているようですね。

医師が一番ではない

クリニックを運営する上で心がけていることはありますか?

5

【高橋院長】一つは、医師が一番ではないということを言っています。医療の世界というのは、例えば点滴指示や看護指示など、指示書を書くと看護師さんなどが動いてくれる。依頼ではなくて指示。ある意味、すごく偉そうなんです。でも先ほども話したように、われわれが自宅ですることは日常生活のサポートが多いですし、薬よりも3度の食事のほうがよほど大切。そして、家で生活をするには治療と生活のサポートの両方が必要ですが、私たちは医療しかできません。しかし、看護師さんやヘルパーさんは、生活のサポートができるんです。その両輪がないと成り立たないのに、なぜ医師だけが偉いのか? 私は、それは違うと思うので、どちらが偉いとかではなく、患者さんのために一緒に取り組むということを大切にしています。

今後の展望を教えてください。

【高橋院長】現在も新百合ヶ丘に分院がありますが、さらに分院展開を考えています。西東京と府中を予定していて、現在もそれらの地域の患者さんも診ているのですが、西東京は田無辺りにクリニックを構え山根先生が院長になる予定です。府中も患者さんが増えてきたらクリニックを構えたいと思っています。人口統計を見れば、これから高齢者がどれくらいになるかわかりますが、訪問診療はまだまだ足りないんです。それをすべて当院で対応するのは無理ですが、できることはやっていきたいと考えています。あとは、三鷹駅の近くに移転を予定しています。現在、3階建ての建物を建設中ですが、1階は子育て支援スペースにしようと考え中です。当院のスタッフが子どもを預けたり、親が共働きで夕食を一人で食べているような子どもを預かり、親が帰ってくるまで一緒に過ごせるような場にしたいと思っています。

素晴らしい展望ですね。

6

【山根先生】基本的に当院は、どんな患者さんでも断りません。今日来てほしいという場合でも行きます。その信頼があるから現在はいろいろな依頼をいただけているのではないかと思っています。頼みづらいことがあると、ケアマネジャーさんや看護師さんは引いてしまいますから、頼みやすい状況をいかにつくるかということを、これからも心がけていきたいと思います。また他の先生方も、どんな重症の患者さんで自分が経験したことがないような症状でも、しっかり対応できる医師になっていきたいと言ってくださったり、病気を診るのではなく、「人」を診ることを大切にして、患者さんに寄り添う存在になりたいと言ってくださっています。今後もチームとしてやっていきたいと思います。

Access