柳本 典子 院長の独自取材記事
フェリーチェレディースクリニック吉祥寺
(武蔵野市/吉祥寺駅)
最終更新日:2024/04/24
「勤務医時代に17歳で卵巣がんの手術をした女の子が、12年たって妊娠の報告に来てくれたんです。あの時は本当にうれしかったですね」と朗らかに笑うのは、「フェリーチェレディースクリニック吉祥寺」の院長、柳本典子先生。2006年の開院以来、患者へ親身になった治療に努め、子どもから高齢者まで幅広い年齢層の患者が診療に訪れる婦人科クリニックだ。中にはわざわざ鹿児島や北海道から定期的に通う患者もいるという同院。「患者さんに会いに来たい、話を聞いてもらいたいと思っていただけたらうれしいですね」という柳本先生に、女性医療に対する思いや今後の展望などを聞きながら、大勢の女性に支持される同院の魅力に迫ってみた。
(取材日2019年4月9日)
気軽に話せるような雰囲気にして、患者に寄り添いたい
まずはクリニックの特長を教えてください。
もともと私は大学卒業後に社会福祉士として現場に携わっていたのですが、女性や障害者の立場に立った医療が必要だということを痛感して、医学部に入りなおしたんです。ですので、開院する時に思ったのは、とにかく気軽に通いやすいようなクリニックにしたいということ。ビルの2階まで階段を上がっていただかなくてはなりませんが、小さいお子さんから高齢の患者さんまで、もちろん障害のある方も大歓迎です。当院では、お産とがんの開腹手術以外ならなんでも診るつもりで診療しています。症状としては、不妊症、腫瘍、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣腫瘍などが多いですね。中にはひどい生理痛で受診された患者さんに腫瘍が見つかるケースも少なくありません。基本は予約制ですが、「もっと早く来ていれば」と後悔する患者さんが1人でも減るよう、思い立った時に気軽に立ち寄れるクリニックをめざしています。
近隣の学生からもとても人気だそうですね。
当院は特に宣伝もしていなくて、2ヵ月前にやっとホームページを作ったくらいなのですが、ご家庭や学校でご紹介してくださっているようで、高校生や大学生の患者さんも多いですね。お母さんと一緒の子もいれば、親には内緒で来る子もいます。「あの先生は内緒で話を聞いてくれる」という友達の紹介で来てくれるようで、もちろん基本的に秘密は守ります。ただ、治療内容によっては保護者の同意が必要なものもあるので、その場合はきちんと理由を説明して、保護者の方にも来ていただくようにしています。時には上京したてで頼れる親が身近にいない学生からの相談を受けることもあります。困った時、心細い時、いつでも気軽に相談に来てください。
患者と接する時にどのようなことを心がけていますか?
患者さんをジャッジせず、誰に対しても同じように接することでしょうか。何度も堕胎している子でも、どんな患者さんでも「いらっしゃい」「今日会えてよかった」という気持ちでお迎えするようにしています。また、産婦人科は内診があるから嫌だという患者さんも多いと思いますが、当院ではいきなり足を開かせて内診するようなことはしません。内診しないで済むようであれば極力そうしますし、必要な場合は事前にきちんと説明したうえで、「これから触ります」というようにその都度声をかけるようにしています。どうしても恥ずかしいという場合は下着をつけたまま診察台に上がっていただいて、私が下着をよけながら診察することもあるし、3~4歳のお子さんの場合は膣鏡は使わずに髪の毛くらいの細い管で消毒することもあります。できるだけ患者さんの負担にならない最適な方法を考えるので、遠慮なくご相談くださいね。
「もっと早く来ればよかった」と後悔しないために
不妊症に悩む患者からも多くの相談があるそうですね。
当院には結婚が決まった女性がブライダルチェックに来られることもあれば、妊娠を望むカップルが相談に来られることもあります。また、他の医院で「年齢的に厳しい」と断られて、傷ついて来られる患者さんも少なくありません。50歳過ぎても「妊娠したい」と来られる方も大勢います。妊娠は確率の問題なので、たしかに高齢になれば確率は低くなりますが、「妊娠したい」と思うのは人間の権利です。まずはしっかりと患者さんの気持ちを受け入れて、どのような可能性、どのような選択肢があるかを一緒に考えていくようにしています。
働き盛りの女性に多い症状はありますか?
20~30代半ばくらいの女性は女性ホルモンの分泌がもっとも多くなり、さまざまなトラブルが起こりやすくなります。症状としては、不妊症、腫瘍、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣腫瘍などが多くみられる年代といってもいいかもしれません。仕事への責任感や婦人科を受診することへのためらいからつらい生理痛を我慢している女性も多いようですが、つらい生理痛を放置していたため子宮内膜症ががん化してしまったり、子宮腺筋症が進行して妊娠が難しくなってしまったケースなども少なくありません。早期発見できれば、気持ち的にも治療面でも患者さんの負担も小さくて済むんです。市販薬が効かなかったり、寝込むほどの痛みがあるようだったら迷わず受診してほしいですね。
印象に残っている患者とのエピソードを教えてください。
中学生の妊娠などは「正しい知識さえあれば防げたかもしれないのに」と胸が痛むことが多いですね。中には知らない間に妊娠、流産してしまい、出血が止まらないと慌てて駆け込んで来た子もいます。近くの大学生がカップルで来院することもありますが、中には3歳くらいから通ってくれている子が高校生になって彼氏ができたと2人で避妊の話を聞きに来てくれたこともあります。今はインターネットの普及で避妊について簡単に調べられるようになった半面、中にはこんなこと絶対に信じたらダメというような情報も多いです。ネットの情報を鵜呑みにせず、1度医師に質問してもらいたいなと思います。何か起こってから「そんなこと知らなかった」と嘆くより、自分を守るために勇気を出して相談しに来てほしいんです。だから、若い子がパートナーとともに避妊や女性の体について、きちんと話を聞きに来てくれた時は本当にうれしいですね。
女性医療のさらなる向上をめざして
いつも朗らかな柳本先生の趣味やストレス発散法について教えてください。
基本的に考えてもどうにもならないことは考えないようにしているので、ストレスを感じることは少ない方かもしれません。目の前のことにわーっと集中するタイプなんです。そういう意味では昔からケーキを焼くのが趣味で、夜中にがばっと起きてケーキを4台一気に焼くこともあります。得意なのはシフォンケーキ。計量したり、メレンゲを泡立てたり、無心で作業して上手に焼き上がったケーキをみると、とても満足というか達成感がありますね(笑)。
今後の展望をお聞かせください。
できるだけ婦人科への来院のハードルを低くして、気軽に受診してもらえるようにしていきたいですね。当院は予約制ですが、予約なしで来られる方が8割くらいいらっしゃいます。日によっては待ち時間が長くなってしまうこともあるのが心苦しいのですが、勇気を出して「病院に行ってみよう!」という気持ちになれた時に、その足で来てもらいたいんです。クリニック名の「フェリーチェ(Felice)」はイタリア語で「幸せ」という意味です。つらい症状を我慢することなく、重症化を未然に防ぐことで女性がもっともっと幸せに生きられるよう、さらなる情報の発信と女性医療の向上をめざしていきたいですね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
女性の体は思春期、青年期、壮年期、老年期とさまざまなステージがあり、常に変化し続けます。ライフスタイルの多様化で妊娠をのぞまない女性も増えてきていますが、大切なのはどのような選択をしようとも、自分自身の体について正しい知識をもち、きちんと向き合うこと。そのためにも何でも気軽に話せる婦人科のかかりつけ医をもつことはとても意味のあることだと思います。気になる症状が出た時はもちろんですが、初潮を迎えた時、妊娠が可能な年齢になった時、閉経を迎える時などそれぞれのステージにおける体や生理の仕組みについて正しい知識をもつことで防げるトラブルはたくさんあります。たとえ当院でなくても、ご自身に合うクリニックが必ずあるはずです。まずは電話だけでもかまいません。どうかためらわず、気軽に尋ねてみてください。
自由診療費用の目安
自由診療とはブライダルチェック/2万円(税別)、不妊治療(人工授精)/1万5000円(税別)
不妊治療は基本、保険診療を適応しております。詳しくはお問合せください。